[タベサキ Vol.6]ご当地スーパーの味 イツモノ
「お福アイスマック」(三重・ぎゅーとら)
三重県
2019.04.25
タベサキ
ご当地スーパー研究家の菅原佳己さんが、そのエリアの食を支えるご当地スーパーで、地元の“いつも”の味をピックアップ!
写真・文:菅原佳己
「お福アイスマック」
139円(税抜)
老舗和菓子店がつくる アイスキャンディ!
観光で訪れる人でも、伊勢神宮への参拝は「外宮から内宮へ」という習わしを守る人が多いのだが「その前に二見浦の二見興玉神社から」との正式参拝の順番を知る人は少ない。浜参宮と言い、かつては海水で心身を清め禊(みそぎ)をすませたあと、伊勢神宮に詣でたという。
ここには、創業270年を越える餡餅の老舗がある、と聞くと、伊勢神宮の参道でおなじみのもう一つの老舗を思い浮かべるかもしれないが、そちらではない。こちらは二見浦の本店で、今も昔と変わらず、毎日炊き上げる小豆餡を人の手で餅にくるみ、手際よく箱に詰める製法を続けている「御福餅本家」。軟らかな餅に上品な餡の御福餅は、伊勢参りの旅人を癒してきたのだが、これからの季節、地元民に熱烈に支持されるのが「お福アイスマック」である。
餅の売り上げが落ちる夏の商品として商人魂のある七代目が考案した、御福餅の餡を使ったアイスキャンディが大当たり。Merchant Azuki beans Candy(商人のあずきキャンディ)の頭文字が、商品名「マック」の由来。某ハンバーガーチェーンやパソコンブランドの誕生よりずっと前の昭和24年のことだ。
伊勢市民にとって、御福餅の上品な“こしあん”の風味を味わえる「お福アイスマック」は、スーパーで気軽に買えるガリガリくん的存在の夏の定番となっている。つまり、二見浦にいかずとも街中で入手できる伊勢名物なのだ。とくに「ぎゅーとらラブリー藤里店」なら外宮からそう遠くない場所にあり、市民が愛してやまないご当地スーパーの雰囲気も満喫できる。もちろん、正式参拝を守る方々は、二見浦の「御福餅本家」で、御福餅と雰囲気ある和カフェを味わえるご利益にあずかることとなるだろう。
【買えるのはこのお店】
「ぎゅーとら ラブリー藤里店」
大阪の精肉店「牛虎(うしとら)」が、昭和24年、三重県伊勢市への移転時に「ぎゅうとら」と呼ばれたことで改名。現在は県内に約30店舗展開する。地元農家さんの産直コーナー「おおきんな」など伊勢の味が満載。
Profile
スーパーマーケット研究家
菅原 佳己(すがわら よしみ)
夫の転勤で国内外の転居を繰り返すうちに、スーパーの魅力に気づき、埋もれた日常食の発掘などの研究をスタート。ご当地スーパーやご当地グルメブームの火付け役として、テレビや雑誌、新聞などで活躍している。著書は『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』(講談社)など多数。新刊『東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食』(ぴあMOOK中部)では、より狭くディープに探究。
ご当地スーパーの味シリーズの記事
「飛騨パイン」(岐阜県・ファミリーストアさとう 桐生店)
「カルメル会修道院 ゴブレット詰め合わせ」(京都・フレンドフーズ下鴨店)
「かつお藁焼きたたき」(高知・サンシャイン)
「みそポテト」(埼玉・ベルク)
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