
旅色プラス
自由に海外に行きづらくなった昨今、せめて料理だけでも現地の雰囲気を感じていたいと思う人は多いでしょう。エスニック料理というと夏に食べるイメージですが、実は、冬にもおすすめです。鍋料理やスープに香辛料を使うことで、さらに体が温まるほっこりした料理がたくさんあります。さぁ、アジアを出発して、はるかアフリカ大陸まで。都内で楽しめるエスニック料理の旅に出かけましょう。
Text&Photo:伊能すみ子
まずは、中国から。火鍋は日本の鍋料理と同様に、地方それぞれに特徴があります。特に昨今の麻辣ブームによって人気となった四川料理代表の火鍋は、花椒や唐辛子をたっぷり使っていて、辛い物好きにはたまらない鍋です。
数ある火鍋専門店からセレクトしたのが、今や東京のリトルチャイナタウンと言われる池袋北口エリアにある火鍋食べ放題店「熊猫火鍋」。 “熊猫”(中国語)とはパンダのことで、店内にはさまざまな場所にパンダの装飾が。
麻婆豆腐の味でお馴染みの痺れる刺激の花椒と唐辛子の辛みである麻辣(マーラー)味をメインとした火鍋は、鍋に仕切りがあるのが特徴で、6種類のスープの中から1~3種類をセレクトできます。今回セレクトした、「三色鍋(麻辣、キノコ、白湯)」には、羊肉、牛肉、豚バラ肉と8種の野菜などがセットになっていて、90種類以上もの具やおつまみ、デザートを追加注文できるようになっています(税抜2,980円/1人2時間制)。
ここで注目したいのが、お肉などの具材ととともに提供される辣油と牛脂でできたクマ!(ニ色鍋を頼むとパンダがついてきます)。鍋に投入すれば、辛味とコクが増すのはもちろん、まるでお風呂に浸かっているかのようなビジュアルに。これを目当てに来店する人も多いほど、ついつい写真や動画に収めたくなります。
体がじんわりと温かくなってくる麻辣の痺れや辛みのスープだけでなく、キノコや白湯の優しい味のスープも同時にいただけるので、辛党の人ではなくても楽しめます。また、タレも17種類の調味料を自由にブレンドできるので、味変しながらいくらでも食べ進められるのも人気の理由です。
周りに気兼ねなく食べられる一人用テーブルもあり、スタッフさんが食べ方を教えてくれるので、おひとり様や火鍋初心者にもおすすめですよ。
◆熊猫火鍋(ぱんだほっとひなべ)
住所:東京都豊島区西池袋1-38-1 池袋YSステージビル7F
電話番号:03-6887-5070
定休日:なし
続いては、マレー系、中国系、インド系といった多民族国家であるマレーシアへ。中国系の代表的料理が、豚肉を煮込んだ漢方スープ「肉骨茶(バクテー)」です。一年を通して暑い国なのですが、その分交通機関や建物内は冷房ガンガンの寒さ。体を温めるうえでもバクテーは欠かせない料理のひとつです。
訪れたのは、創業20年のマレーシア料理店「馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)」。バクテーやカレーのレトルト食品の監修も手がけるマレーシア人店主エレンさんのお店です。
同店のバクテー(税抜大1,800円、小900円)は、豚スペアリブと一緒に八角、シナモン、クローブ、ニンニク、陳皮など、20種類もの香辛料を煮込んでいます。豚スペアリブは骨からするりと外れるほど柔らかく、醤油ベースのスープは香辛料の香りが豊かです。レタスやキノコ類などの具がたっぷり入っていて、黒々とした濃い見た目と違いあっさりしています。
スペアリブはニンニクと唐辛子入りの中国黒醤油のタレをつけて食べても美味。さらに、ごはん(税抜200円)にスープとタレをかけて、お茶漬けのようにして食べると、サラサラとご飯が口に吸い込まれていき箸が止まりません。おいしいのはもちろん、体を温めたり、代謝をアップしたり、香辛料ならではの体を優しくサポートをしてくれる役割をたっぷり堪能できるのは嬉しい限り。
エレンさんいわく「時間が大切! 数時間じっくりと煮込むことでスープにおいしさが浸透していく」とのこと。野菜もたっぷりで栄養満点! お子さんからお年寄りまで幅広く愛されている味です。
◆馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)
住所:東京都杉並区天沼2-3-7 SAKAIビルB1F
電話番号:03-5938-8633
定休日:月曜日
最後は、モロッコへと誘います。北アフリカに位置するモロッコは、城壁に囲まれた旧市街の街並みや砂漠地帯など、エキゾチックな雰囲気が漂う国です。水が貴重な土地柄で、必要最低限の水で調理できるタジンという円錐型の土鍋が定番の調理道具です。
そんなタジン鍋をオープンから10年もの長きに渡って提供している「リゴレット ショートヒルズ」。スパニッシュイタリアンにモロッカンスタイルを融合させた人気店です。モロッコから取り寄せた装飾もあり、店内もちょっとエキゾチックな雰囲気。
おすすめの料理は、魚介のタジンである「エッサウィラ・タジン」(平日ランチ税抜1,300円/サラダ、パンorクスクス、ドリンク付)です。鮮魚をたっぷりの野菜と共に蒸すことで、蒸気によって魚の身がふんわりと仕上がっています。
ここで味のポイントとなるのがスープ。冬に旬を迎える鱈の出汁と白身魚と相性のいいカルダモンやフェンネルといった爽やかさを持つ香辛料、さらにトマトが加わって、うま味たっぷり。温かい料理は香辛料の香りが広がるので、それだけで気分が向上しますよ。
タジン鍋のかわいらしい形も写真映えするので、ぜひ撮影してみてください。ディナータイムには、モロッカンスタイルのタパスもあり、大人のムード溢れる雰囲気もおすすめです。
◆リゴレット ショートヒルズ
住所:東京都目黒区中目黒1-2-13
電話番号:03-5773-1241
定休日:なし
◆伊能すみ子(いのう・すみこ)
アジアンフードディレクター/1級フードアナリスト。毎日エスニック料理三昧の幸せな日々。日本の飲食店情報をメディア中心に発信。年に数回アジア諸国を巡り、屋台料理から最新トレンドまで、現地の料理や食文化を伝えている。日本エスニック協会アンバサダーとして活動。「マツコの知らない世界」(TBS系列)では、エスニックレトルト食品の世界を紹介。著書に『マカオ行ったらこれ食べよう!』(誠文堂新光社)がある。
海外に行く人が増えて、現地の味を知る人が多くなったことで以前よりもエスニック料理が身近になり、マニアックの領域から少し脱出できたかなと感じています。とはいえまだまだ知られていない料理がたくさんありますので、ぜひ海外旅行気分を味わいつつ、新しい発見やお気に入りのエスニック料理を探してみてください。寒い季節に体も心も温かくなること間違いなしです。
旬な旅行・グルメ・旅ファッション情報や連載コラムを毎日配信する、女性向けニュースメディア。
旅色プラスを見る【都内近郊】イチゴで春色に染まる ホテルのアフタヌーンティーに行こう!
旅色プラス
大人も子どもも楽しめる! “謎解き”で都内ご近所旅を楽しもう
旅色プラス
絵画、映像、空間で体験。草間彌生のヴィジョンに没入する旅
旅色アンバサダー
いちご天ぷら!?いちごに染まるホテルランチが気になる!
旅色プラス
周囲を気にせずゆったり燻製料理を楽しむなら東京「完全個室 燻製工房 目黒」へ
旅色プラス
いちごスイーツ専門店で体感する、極上でドキドキの味覚体験
旅色アンバサダー
おうちで楽しむスイーツの新体験! 世界初“写真映えケーキ”のサブスクに注目
旅色プラス
3月13日は「サンドイッチデー」! いつもと違ったサンドイッチが食べられるお店に注目
旅色プラス
【京都府】新たなライフスタイル型ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 京都二条」は6月にオープン!
旅色プラス
【長野県】諏訪湖畔に佇む「かたくらシルクホテル」が2021年4月下旬グランドオープン!
旅色プラス
【台湾情報】故宮南館の開館で活気づく嘉義に、ブロックづくしの大型リゾートホテルが登場
旅色プラス
【都内近郊】イチゴで春色に染まる ホテルのアフタヌーンティーに行こう!
旅色プラス
都道府県から探す