

改心した鬼が里を発展させ、
その末裔が開いた清流・山上川沿いの温泉
紀伊半島を流れる一級河川・熊野川。その源流となるのが、霊峰・大峯山から湧き出ている山上川です。洞川温泉は、この山上川のほとりにある山里、天川村にある温泉地。標高820mの高地にあり、冷涼な気候から関西の軽井沢とも呼ばれています。温泉が湧出したのは1970年代と歴史は浅いものの、このあたりは大峯山を訪れる修行者たちをもてなす宿場町として、1300年以上前から栄えてきました。洞川温泉にまつわる物語として、温泉は修験道の開祖である役行者(えんのぎょうしゃ)が従えていた鬼の末裔によって開かれたといわれています。
鬼の前鬼と後鬼の夫婦は、役行者が山中で修行をしていたときに危害を加えようとしました。それまでも、人に悪さをしていた2匹の鬼。ですが、役行者が諭したことから改心し、一緒について修行を行い、役行者を助ける高弟になりました。あるとき役行者から、それぞれ里に下りて生活するよう命を受け、後鬼は洞川の地に住み着くようになったそうです。龍泉寺を訪ねると、本堂の前に立つ前鬼と後鬼の石造を見ることができます。多くの登山者たちの疲労を回復してきた湯に浸かり、山々を眺めながら心身ともに癒されましょう。
- 泉質/
- 弱アルカリ性純泉
- 効能/
- 神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性 など

面不動鍾乳洞
海抜878mの高地で発掘された鍾乳洞。延長280m、洞内の平均気温は8度で、貴重なストロー鍾乳管(ストロー上の鍾乳石)を見ることができます。モノレール「ドロッコ」に乗って向かいましょう。

河鹿の滝
山上川にある滝で、洞川温泉から大峯山に向かう途中にあります。透明度が高く、滝つぼに日が差すと、美しいエメラルド色に輝きます。春夏になると鈴のような声で鳴くカジカガエルが名の由来です。

天川村立資料館
天川村の生活や民俗の歴史、山岳信仰の様子がわかる資料が展示されています。そのほか、大峯山の中から引き上げられた米軍B29の貴重なエンジンも。エントランスは無料開放されています。

ごろごろ水
大峯山麓の石灰岩層で長い時間磨き上げられた、ミネラルが豊富な水。もともと水販売の専門店だった、ごろごろショップなどで購入できます。ひょうたん型のボトルがかかるショップの向かいの壁はフォトスポットとしても人気です。(ひょうたん型のボトルは販売終了)
ごろごろショップ
電話/0747-64-0556

洞川ならではの湯で
花屋徳兵衛
創業約500年の洞川温泉でも最も古い老舗宿。館内には3種類の温泉があり、木のぬくもり感じる内湯「前鬼の湯」、開放感たっぷりで庭が眺められる半露天風呂「後鬼の湯」、貸切の半露天風呂「是空の湯」と、洞川温泉らしい名称です。とくに前鬼の湯と後鬼の湯には、鬼の置物もあり、鬼の物語の世界観に浸りながら湯浴みができます。客室は、温泉風呂付の客室「天空の間」や、デッキから庭を望める「楽天の間」など和の空間がくつろぎのひとときを提供。料理には、地元名産の名水豆腐や大峯猪、川魚、山菜など地元の食材を生かした旬の料理が味わえます。
住所/奈良県吉野郡天川村洞川217
電話/0747-64-0878

山々と名刹を望み
湯浴みを楽しむ
あたらしや旅館
洞川温泉の宿屋のなかでも、初めて温泉を引いた旅館。館内の展望大浴場からは、山上川のせせらぎや涼風を感じられ、山々の眺めとともに龍泉寺も望むことができます。客室はむくの銘木をふんだんに使用し、ほのかな木の香りも。純和風の部屋は、それぞれ欄間や床の間など細部にもこだわった造り。とくに川縁の部屋は、龍泉寺や鍾乳洞、かりがね橋を一望でき、ロケーション抜群です。料理は、鮎の塩焼きや鹿の刺身、山菜料理など、季節ごとにメニューが変わる会席料理。そのほか、年中牡丹鍋をいただくことができます。
住所/奈良県吉野郡天川村洞川215
電話/0747-64-0045