世界遺産を築いた匠のふるさと 「雲」のある町・飛騨古川を歩く

歴史やものづくりに触れられる旅が大好きな旅色LIKESライター・長月あきです。岐阜県の観光地といえば高山市内にある飛騨高山が有名ですが、高山市に隣接する飛騨市の飛騨古川もおすすめです。伝統的な建築技術を受け継ぐ地元の大工の技により、城下町の情緒と美しい町並みを保ち続けているエリアなんです。今回はそんな古き良き町を散策してきました。
目次
飛騨古川とはこんなところです

『君の名は。』の聖地の1つ、飛騨古川駅
飛騨高山の最寄り駅・JR高山駅から普通電車で15分程、車なら30分程で到着する飛騨古川の町は〝高山の奥座敷〟とも呼ばれています。観光のメインエリアである飛騨古川駅の近くや市役所前には無料駐車場が整備されており、電車でも車でも訪れやすいエリアです。平成28年に公開された新海誠監督の大ヒットアニメ映画『君の名は。』の舞台となった町でもあります。
町歩きのスタートは「飛騨の匠文化館」から

飛騨の匠文化館
飛騨古川の散策でまず最初に訪れたいのが「飛騨の匠文化館」。奈良時代、〝飛騨の匠〟と称された飛騨地方の大工の歴史と技をわかりやすく学べる体験施設です。匠たちは優れた建築技術を持っていたことから、奈良時代には都に派遣され、世界遺産の構成資産でもある東大寺、興福寺、唐招提寺(とうしょうだいじ)、平城京など多くの寺社や都の建立・造営に携わりました。文化館は散策エリアの北端に位置しているので、施設見学後はその足で町歩きへ。町中には匠の技術を受け継ぐ大工が手がけた商家、寺社、民家が点在しています。事前に文化館で匠について知ることで、町並みに溶け込む建築物を一層楽しめます。
「飛騨の匠文化館」は〝飛騨の匠〟の技を受け継ぐ地元の大工たちにより、飛騨の木材を用い釘を1本も使わずに建てられています。伝統の技術が活かされた建物自体が大きな見どころです。館内には匠の技術をわかりやすく体感、理解できる体験コーナーや、実際に使用されていた様々な大工道具の展示などがあります。
中庭の軒下の肘木(ひじき※)は木口が白く塗られ、装飾が施された「雲形肘木(くもがたひじき)」、通称「雲」が30種類見られます。「雲」は地元飛騨の大工が自分で建てたことを示すための署名のようなもの。「飛騨の匠文化館」にも建築に携わった大工それぞれの「雲」があります。
※社寺などの建築で、柱の上方にあって上からの重みを支える横木のこと
◆飛騨の匠文化館
住所:岐阜県飛騨市古川町壱之町10-1
電話番号:0577-73-3321
営業時間:9:00~17:00 (12~2月 9:00~16:30)
定休日:木曜日、年末年始
入場料:大人300円、小人100円 ※未就学児は入場不可
「雲」のある町並みを歩く
飛騨古川の市街地は明治37年の古川大火でほぼ焼失しています。大火の後、地元住民らが協力し伝統的な建築様式と匠の技で建物を再建。その後、現在に至るまで住民の努力により、調和のとれた美しい景観を守り続けています。瀬戸川という小さな川沿いに白壁の土蔵が続くエリアや、古くからの造り酒屋や和ろうそくの老舗などが並ぶ通りなど、情緒漂う町並みは徒歩で散策するのにちょうどいい広さです。
散策していると、通りに立ち並ぶ家の軒下に「飛騨の匠文化館」で見た「雲」が見られます。植物や波の形をした装飾は、1軒1軒デザインが異なっています。「雲」は昭和29年頃から古川の町に拡がり、約170種類ほどあるのだそう。1つ1つの「雲」に飛騨の大工の矜持を感じます。
三寺まいりのお寺にも飛騨の匠の技が
飛騨古川には、毎年1月15日に多くの若い女性が着物を着て、町内の「円光寺」「真宗寺」「本光寺」の3つのお寺を良縁を祈りながら順番に詣でる「三寺(さんてら)まいり」という風習があります。ろうそくに灯された雪景色の中、着物姿の女性が祈る幻想的な光景が、新聞やテレビなどでよく取り上げられます。三寺まいりで訪れる3つのお寺にもそれぞれ飛騨の匠の技が活きています。
◆円光寺
住所:岐阜県飛騨市古川町殿町11-11
電話番号:0577-73-2954
◆本光寺
住所:岐阜県飛騨市古川町弐之町1-17
電話番号:0577-73-2938
◆真宗寺
住所:岐阜県飛騨市古川町三之町3-10
電話番号:0577-73-2730
夏のお疲れに薬草でリフレッシュ
森林が市の面積の9割を占めている飛騨市。市内には245種類以上もの薬草が自生しており、薬草を地域資源として活かすまちづくりに取り組んでいます。古川の町の中でもさまざまな薬草料理やスイーツを味わえます。
■蕪水亭OHAKO
かわいい外観が印象的な「蕪水亭OHAKO(ぶすいていおはこ)」。薬草ランチプレート、薬草カレーなど薬草を使ったランチを手軽に楽しめます。
◆蕪水亭OHAKO
住所:岐阜県飛騨市古川町壱之町3-22
電話番号:0577-73-0048
営業時間:11:00~16:00(カフェタイム11:00~16:00 (LO15:30)、ランチ11:00~14:00)
定休日:不定休
■FabCafe Hida
古民家をリノベーションしたデジタルものづくりカフェ。飛騨の森で採れたクロモジの葉を使ったクロモジ・クラフトコーラや、クロモジ茶、クロモジコーヒーなどをいただけます。カヌレもおすすめですよ。
◆FabCafe Hida
住所:岐阜県飛騨市古川町弐之町6番17号
電話番号:0577-57-7686
営業時間:10:00~17:00(LO16:30)
休業日:水曜日(祝日営業)
■味噌煎餅本舗 井之廣
100年以上続く老舗の味噌煎餅専門店。伝統的な味噌煎餅はもちろんですが、色々なトッピングを施したスイーツのような変わり種味噌煎餅が好きで、わたしもお土産に買ったことがあります。飛騨産の野草グラノーラをチョコと一緒に味噌煎餅にトッピングした「グラノーラ入り味噌煎餅」が意外な(?)おいしさです。
◆味噌煎餅本舗 井之廣
住所:岐阜県飛騨市古川町弐之町7-12
電話番号:0577-73-2302
営業時間:8:00~18:00
定休日:日曜日
おわりに/飛騨市ファンクラブでさらに飛騨市を楽しもう
飛騨市が主催しているコミュニティ「飛騨市ファンクラブ」に入会し、飛騨市を訪れると、市内にある飲食店や各種店舗で使用できるクーポン券がもらえます。クーポンが利用できるお店はたくさんあり、とてもお得なクーポンです。私もファンクラブ会員なので、古川での飲食やお土産の購入にクーポンを使わせていただきました。飛騨市ファンクラブは入会費、会費ともに無料なので飛騨市を訪れる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょう。