新しい地元で「まちづくり」。移住者のそれぞれのカタチ vol.2
引っ越しシーズンを迎え「移住」のテーマにも関心が高まるいま、旅色FO-CALでこれまで移住者インタビューをしてきたうちの、4つのまちに住む方たちのストーリーを改めてご紹介します。移住先でまちづくりに奮闘するみなさんの話を伺うと、そのまちの魅力を深く知れるヒントもありました。
目次
vol.1では女性4名の移住者インタビューをまとめています。
両親も同市に移住。さらなる魅力発信にと「ふじ応援部」に参加:林 叶恵さん(静岡・富士市)
<プロフィール>
広島県出身。2018年10月、夫の転勤をきっかけに富士市へ移住。移住にあたり、SNSやインターネットを通じて富士市に関する情報収集を行ったことでまちの魅力に気づく。現在は0歳の子どもとの3人暮らし。叶恵さんが富士市に転居した後、両親も広島県から同市に移住し、現在は市内で広島風のお好み焼き屋を経営している。
知り合いがいないところからのスタートだったからこそ、とてもアクティブになったと思います。とにかく行動して調べていくと、富士市には子育て団体やイベントが充実していて、一歩踏み出すための場がたくさん用意されていることがわかりました。現在は富士市の魅力を発信する「ふじ応援部」に参加しています。富士市のいいところはもちろん、足りていないと感じるところもあるので、それらも包み隠さず素直に発信していきたいと思っています。
富士市は自然豊かなところが魅力的です。何かモヤモヤすることがあっても近くに自然がたくさんあるので足を運ぶだけでリフレッシュできます。子どもが大きくなったら積極的に自然に触れさせたいです。
独自のカルチャーが生まれ始めている商店街で「参道WEEKENDERS」など地域おこしイベントを開催:平山二朗さん(兵庫・宝塚市)
<プロフィール>
大阪府梅田の眼鏡店での勤務を経て、2013年に大阪府豊中市に器と生活雑貨のお店、ミズタマ舎をオープン。2021年9月に宝塚市の清荒神参道近くに移転し、家族で移住。店内には北は北海道、南は沖縄まで全国各地から、作家のストーリーを大切にしてセレクトされた器が揃うほか、オリジナルのアパレルや調味料でも人気を集めている。
ミズタマ舎を清荒神参道近くに移転するきっかけをくれたのは、市内で建築家として活動されている奥田達郎さんという方。「この商店街を若者が集まるスポットへ盛り上げていくために手伝ってくれませんか?」と誘っていただきました。宝塚市は都会と田舎が混じり合う“とかいなか”。必要なものがすぐに手に入る都会の利便性がありながら、古き良き田舎の伝統も残っています。
アーティストやクリエーターと、伝統ある歴史のミックスで、清荒神参道商店街には独自のカルチャーが生まれ始めています。その一環としてイベントにも力を入れており、以前に開催したのが「参道WEEKENDERS」です。通常は夕方に閉店するお店を夜まで開けるという趣旨なのですが、スタイリッシュなポスターを作成し、オリジナルの提灯も軒先にぶら下げて、まるで夜市のような盛り上がりで大盛況でした。
◆ミズタマ舎
住所:兵庫県宝塚市清荒神4-17-5
電話:0797-26-8161
時間:10:30〜17:00
定休日:月曜日、第2日曜日
高梁茶がきっかけで「地域おこし協力隊」としての移住を決意:西原千織さん(岡山・高梁市)
<プロフィール>
日本茶インストラクターの資格を取得するほどお茶が大好きで、東京では日本茶のカフェを開いていた。高梁市の友人に勧められて飲んだ高梁茶が、移住のきっかけに。「地域おこし協力隊」として、2017年に東京から移住。2019年には、中四国のお茶を中心に提供する「茶や まのび堂」を開き、現在も地域おこしに邁進している。
元々田舎暮らしには憧れを抱いていて、何度か高梁市に足を運ぶうちに、高梁茶だけでなく気候や風土にも惹かれたので、数年前、引越すことを決意しました。
私がカフェを営んでいるお店は、以前夏祭りでビアガーデンになっていたそうで、私もいつか開催したいなという話をしていたんです。すると、その話を知ったコミュニティの会長さんが『せっかくなら、協力してお祭りを復活させましょう!』と言ってくださって。実際に開催したら地元の方々にすごく好評だったので、実は今も数ヶ月後に開催する夜市の準備をしています。都会とは違う周囲の人々の距離感に最初は少し戸惑うこともあったのですが、今はそれがすごく心地よいし、私に合っているなと思います。今後はそうしたイベントをみなさんと一緒に行ないながら、高梁市を盛り上げていければと考えています。
ご近所から借りた山でのびのびとした保育を目指し「里山保育やまぼうし」を開園:若林さん一家(京都・宇治田原町)
<プロフィール>
2017年にお隣の宇治市から移住。3人の娘さんと家族5人暮らし。移住から1年後には、宇治田原の自然を生かした、自然のなかで子どもを育む「里山保育やまぼうし」を運営。
住んでみて意外だったのは、アクセスのよさですね。京都市内は1時間弱で、故郷の岐阜にも2時間もあれば行けます。それから、周囲の方々が優しくて。今の家も人づてに紹介してもらったので、そういう部分でも人のご縁を感じますね。
森のようちえん「里山保育やまぼうし」では、宇治田原町の豊かな自然の中で、のびのびと子どもたちと遊ばせてもらっています。近所の方には山を貸していただいて、柿や栗、梅、たけのこなどを子どもたちや妻と一緒に採らせてもらえるのも良い体験です。旬のものを自分たちで採って食べられるというのは、すごく贅沢なことだなと感じています。山の恵みをたくさんいただいて、自然にも、山を貸していただいている方にも、本当に感謝しています。
おわりに
地域との関わり方はさまざまなカタチがあり、移住した方たちが地域の可能性を広げている姿は、旅先で地域貢献を考えるヒントにもなりそうです。今回紹介したインタビュー以外にも、FO-CALには移住・定住者からの素敵な暮らしをたっぷり掲載しています。ぜひそれぞれの本誌でご覧ください。