ヘアメイク/常盤美帆 文/西 倫世
和食文化の要・醤油の発祥の地として有名な湯浅町。熊野古道の宿場町として栄え、国に選定された重要伝統的建造物群保存地区がある、古き良き文化が色濃く残る町でもあります。自然の恵みをたっぷりいただいた中村さんと湯浅の旅を振り返ります。
大阪のご出身ですが、
和歌山に行かれたことはありますか?
父方の親戚が住んでいるので、子どもの頃は何度も来ていました。湯浅町を訪れたことは無いと思うのですが、今回行くことを母に伝えたら「お醤油買ってきて!」と頼まれて。みかんが有名なのは知っていたけれど、醤油が発祥というのは知らなかったです。温泉があったり、古い町並みが残っていたり、そういうのも初めて知りました。年齢を重ねることでそういった文化や歴史を知りたいという好奇心が高まってきていたので、すごく楽しみにして来ました。
ベスト付きブラウス19,250円、スカート24,200円(AMERI|Ameri VINTAGE 03-6712-7887)、コート93,500円(ソブ|フィルム 03-5413-4141)、ピアス16,500円(253ビジュー|ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、バッグ162,800円(ファビアナフィリッピ|アオイ 03-3239-0341)、靴スタイリスト私物
湯浅グルメをたくさん味わいましたが、いかがでしたか?
本当においしいものだらけで、幸せでした! 「蔵野米穀店」の焼もちは、素朴で丁寧に作ってはるんやなって伝わるようなやさしい味で、甘さも絶妙でお気に入り。「湯浅美味いもん蔵」の「釜揚げしらす丼」は、シラスがふわふわで、今まで食べていたシラスと全然違って感動しました。みかんジュースの飲み比べもさせてもらったのですが、みかんの“みかん具合”にびっくり(笑)。あと「湯浅ワイナリー」で味わったワインは、醸造期間が1~2年と若いのにカドがなくまろやかで飲みやすかったです。私、実はワイン好きで、毎日晩酌しているので至福の時間やった〜。「花莚」のいちじくのパフェも贅沢でしたね。いちじくってとびきり甘い果物じゃないから、生クリームとの相性が良くて。切り方も美しくてフォトジェニックでした。
特に印象的だったのは?
「レストランドリーム」でいただいた鯛のお刺身。身がぎゅっと締まっていて鮮度の良さを感じました。お店のご主人が釣ってらっしゃるんですよね。朝、漁に出て朝日を浴びて釣りをして、それを調理して人に食べてもらうって、精神衛生上すごく健康。理想的な生活だなって思いながら、お話を聞いていました。
古い町並みが残る伝統的建造物群保存地区は
どうでしたか?
私、銭湯が大好きで、普段からめちゃくちゃ通っているんです。今日伺った「甚風呂」はもともと銭湯なんですよね。営業中に行ってみたかったな。お醤油の資料館も古い器具がたくさん残っていて、貴重な場所でしたね。母から頼まれていたお醤油も「角長」でゲットできて、うれしかったです。
友だちを連れていきたいと思った場所はありましたか?
やっぱり伝統的建造物群保存地区かな。歴史的な建造物が単体である場所はたくさんあるけど、あんな風に町として残っているなんて、すごくめずらしいですよね。もっとゆっくり時間をかけて歩いてみたいです。撮影中に見かけたお魚屋さんもご夫婦でお魚をさばいて自分で干して売っているそうで、そういう丁寧な暮らしの良さが今、見直されている時期だと思うから、この町にはとてもいいものが残っているなと感じました。
ベスト付きワンピース23,100円(AMERI|Ameri VINTAGE 03-6712-7887)、ピアス16,500円(1DKジュエリーワークス|ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、バッグ21,450円(エフィー 03-3654-5343)、靴スタイリスト私物
プライベートの旅の思い出を教えてください。
栃木県・日光に旅をしたときの話なんですが、日光東照宮でお参りしてから近くの貸切サウナへ行きました。目の前に湖が広がっている場所で、サウナで汗をかいた後、水風呂に入る代わりに湖に飛び込むんです。サウナの本場・フィンランドみたいですよね。最高でした。あとは海が好きなので、毎年1度は沖縄に行きます。都会から完全に切り離した環境に行くと幸せを感じるので、それが日本だと南の島。石垣島を拠点に離島めぐりをするのが好きで、去年は波照間島に行きました。
宿やお土産にこだわりはありますか?
最近は泊まる場所にもこだわりたいなと思っていて、「エアビー(Airbnb)」を利用することが多いですね。エアビーは1棟貸しが多いから、友達と行くと人数で割るのでお得。冷蔵庫やキッチン、洗濯機もあるので、すごく便利なんです。沖縄に行ったときもエアビーを利用しましたが、3LDKの宿泊施設を借りても1人1泊3,000円くらいで。大阪生まれの女やから、コスパは気にしてるんですよ(笑)。お土産は、その土地にしかない食材に興味があるので、JA(農業協同組合)や道の駅でよく購入します。おいしい野菜って、凝った料理を作らなくてもそのままで充分、それこそが贅沢だと思うようになりました。軽井沢で見つけたキャベツはごま油をかけただけでも甘くてすごくおいしかったな。「旅先で野菜をお土産にするなんて、年を重ねた証拠だよね」って友達と笑い合いながら、お買い物を楽しんでいます。
今後、旅したい場所は?
南米に行ってみたい。気候も景色も人も、きっと日本とぜんぜん違うじゃないですか。まだ見たことがないものを見たいって意識が強いんだと思う。でも南米は遠いから、まとまった時間が必要ですよね。自分がすごく仕事をがんばったときのご褒美にとっておこうかな。スペインも料理がおいしそうだし刺激もありそう。国内にも行ってみたい場所はたくさんあります。基本的にはサウナ目的。サウナって外気浴がすごく大切なんですけど、自然豊かな場所での外気浴って昇天するくらい気持ちがいいんですよ。
中村ゆりさんにとって、旅時間とは?
海外旅行は、自分の視野の狭さを知る瞬間もあるし、自分の価値観が変わる機会でもある。リゾート地にいくと、ただただリフレッシュできて、また頑張ろうって気持ちになれます。フランス人の知人から「日本人って働き過ぎじゃない?何が幸せなの?」って言われたことがあるんです。そのとき、私すごく納得して、いろんな幸福を感じる時間を自分のために作りたいと思ったとき、それが旅行だったんです。きれいな景色を見て、おいしいもの食べて、ストレスのない数日間を過ごすっていうのは、今の私にとって大切な時間。若い頃は「自分が休んでいる間に頑張っている人がいるんだ」と考えてしまって、休むのが怖かったけど、今は自分へのご褒美のために、きちんと休むのも大切だと思うようになりました。
旅の必需品は、その人の旅スタイルを表すもの。中村さんの大切にする旅アイテムは、なんですか?

日焼け対策の帽子は、防水なので海の中でも使える優れもの。旅先ではたくさん動くので、夜はぐっすり眠りたい……そんなときの必需品はシリコンの耳栓。周りの音はピタッと聞こえなくなるのに、目覚ましの音はちゃんと聞こえるのでとっても重宝しています。
