みなさん、新しい地元はどう作りましたか? 移住者の、地域と繋がるそれぞれのカタチ。
近年、幅広い世代で地域に移住する人が増えています。そこで、旅色FO-CALで今まで移住者インタビューをしてきたうちの、女性4名のストーリーを改めてご紹介。それぞれの目線から話してもらう移住理由やオススメイベントは、そのまちの魅力を深く知れるヒントになりました。
目次
「頼れる移住者のつながりと、人が作り上げてきた自然の美しさ」熊野円香さん(愛媛・内子町)
<プロフィール>
埼玉県出身。地元で舞台関係や販売の仕事をしていたが、田舎暮らしにあこがれ、2018年9月から内子町に移住。移住後、出産を迎えるまで「内子町地域おこし協力隊」のメンバーとして従事。閉校した小学校の空き教室をテナント活用している施設「コミュニティースペースみそぎの里」のリニューアル事業や、配食サービスの展開、地域ブランド米「みそぎ米」の商品化など、多くのプロジェクトに関わっている。
内子町に移住してから、移住者同士で横のつながりがあることに助けられました。内子町には、各エリアに頼れる移住者の方が住んでおられます。私も移住してきたときに「移住者の誰々に会うと面白いよ」など、人から情報を入手していました(笑)。 自然と周りの人が人とつなげてくれるので、移住者も環境に溶け込みやすいと思います。もし内子町に来たら、「泉谷の棚田」の絶景はぜひ見ていただきたいですね。農林水産省が公表している「日本の棚田100選」にも選ばれている急こう配の棚田なんです。ただ自然が広がっているのではなく、人が作り上げてきた風景だからこそ、感動するのかなと思います。
「小さな町ならではの安心感と、都心部へのアクセスが魅力」山口保恵さん(福岡・糸田町)
<プロフィール>
2008年に結婚を機に糸田町へ。陶芸教室「器家EMU」主宰、2児の母。保育士をしていたが「ゆっくり子育てがしたい」という思いから退職。その後、「子どもの成長に負けないように」と、以前から興味があった陶芸を学ぶため「無双窯元」の長末修次さんのもとで修業、2018年に独立して「器家EMU」を立ち上げる。子育ての傍ら、親子陶芸教室や保育園などでの出張教室を通して、気軽に陶芸体験ができる場を提供している。
町内に小学校、中学校が1校ずつというのが、子育てをするうえでの安心感につながっています。子どもも親もみんなが顔見知り。学年を超えた交流もあって、みんなに見守られているという感覚があります。これは小さな町ならではの良さだと思います。また、国道201号線ができてから交通の便が一気に良くなりました。
町のイベントでオススメなのが300年以上続いている「糸田祇園山笠」ですね。毎年5月の第2土曜と、その翌日に行われる伝統行事で、コロナ禍以前は町民の3倍以上、3万人もの見物客が集まっていたとか! 各地区ごとに高さ最大9m、重さ2t以上と言われる大きな山笠を担いで町を練り歩くんです。
◆糸田祇園山笠
住所:福岡県田川郡糸田町2424(フェスティバルパーク)
電話:0947-26-4025(糸田町役場 地域振興課)
開催日:5月第2土曜日、その翌日
「豊かな自然と、地元の方々のあたたかさが活きる子育て」松野夏子さん(岡山・高梁市)
<プロフィール>
2015年、神奈川県横浜市から移住。元々地域の名家だったという築約150年の古民家を、家族で地道に再生工事を行なう。工事は途中段階ではあるものの、2020年に『古民家café茶蔵』としてオープン。地域の人々が育てた新鮮な野菜や、ぶどう農家に転身したご主人のピオーネ等をメニューに。現在2人のお子さんと家族4人暮らし。
自然が豊かなところで子育てしたいと思っていました。移住先を高梁市に決めた理由の1つは、下見に訪れた際に出会った穏やかな里山の景色と地域の方々とのお話でした。例えば他の家の子でも叱ってくれそうな古き良き昭和というか、温かい人の関わりを感じました。
実際移住してきた今は、子どもと一緒に薪風呂を炊きながら、生活の中で火の扱いを教えられます。ほかにも、虫や動物が周囲にたくさんいるので、昆虫図鑑や動物園じゃわからない危険や命の尊さをリアルに学べます。それから地域の方々が自分の孫のように子どもを可愛がって、いつも声をかけてくれるんです。
【番外編】「若い子育て世代が集まり西谷地域の魅力を発信」龍見奈津子さん(宝塚市へUターン)
<プロフィール>
一般社団法人 宝塚にしたに里山ラボ 代表理事。宝塚市の北部に位置する西谷地域で生まれ育ち、大学進学を機に上京。アメリカ留学などを経て、西谷地域にUターン。会社員として働きながら2017年に、宝塚にしたに里山ラボを立ち上げ。“里山西谷の魅力をつたえる・つなげる・ひろがる”を掲げ、子育て世代の若いメンバー構成で、イベント開催やレシピ集の発行などに取り組む。
市内から30分も車を走らせれば、豊かな自然が広がっています。例えば西谷地域は全国屈指のダリア球根の生産地で、田んぼ2枚分の大きな花摘み園「宝塚ダリア園」が広がっています。「一般社団法人 宝塚にしたに里山ラボ」は、そんな里山の風景や美味しい農産物を通して西谷の魅力を伝えたいと活動しています。私たちが運営する「宝塚自然の家」は、広大なフィールドにアスレチックや料理ができる野外キッチンも充実しているので、ぜひ西谷の自然を体験しに来てください!
また、西谷ではすごく美味しいお米がとれるので、宝塚自然の家を会場に毎秋「ごはんフェス」というイベントを開催しています。新米を自然と遊びながら味わえるように、飯盒炊さん体験と藁を使った衣装作りといったワークショップなどを組み合わせているので、家族で楽しんでいただけますよ。
◆宝塚にしたに里山ラボ(宝塚自然の家)
住所:宝塚市大原野字松尾1
電話:0797-91-0303
時間:10:00〜16:00
定休日:月曜日、火曜日、水曜日 ※12月から2月は休所
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回紹介したインタビュー以外にも、FO-CALには移住・定住者からの素敵な暮らしをたっぷり掲載しています。ぜひそれぞれの本誌でご覧ください。