タビマエに観たい。北海道・空知が登場する映像作品とそのロケ地を完全網羅!

北海道

2023.07.19

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タビマエに観たい。北海道・空知が登場する映像作品とそのロケ地を完全網羅!

(C)2014 芦別映画製作委員会/PSC

10の市と14の町からなる北海道・空知エリア。札幌と旭川の間に位置し、ドライブで立ち寄りしやすい立地です。明治以降大規模な農地開拓が進み、鉄道が開通し、炭鉱で近代産業化の礎を築きました。そんな豊かな自然と歴史遺産から、多くの映画やドラマのロケ地になっています。ロケ地で登場する作品に触れてから訪れることで、より思い出深い旅が実現するはず。

Text:アントレース

目次

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鉄道と生きる女性の苦難の道のり 『すずらん』×「明日萌駅(旧恵比島駅)」(沼田町)

東京と北海道を結んで展開する、かなしい青春グラフティ 『昨日、悲別で』×「悲別ロマン座」(歌志内市)

倉本作品で2度登場する駅が舞台 『駅 STATION』×「旧上砂川駅(悲別駅)」(上砂川市)

祖父の死をきっかけに戦争をみつめる 『野のなななのか』×芦別市

渡部篤郎が熱望したこの地での撮影 『コトバのない冬』×由仁町

歴史に幕を下ろした路線になぞらえたシーン展開 『西村京太郎トラベルミステリー72 十津川警部のラストラン』×新十津川町

山田洋次監督の「学校」シリーズ第2弾 『学校Ⅱ』×雨竜町

おわりに

鉄道と生きる女性の苦難の道のり 『すずらん』×「明日萌駅(旧恵比島駅)」(沼田町)

駅前の通りも昭和初期の雰囲気が残されている

駅舎内の見学も可能で、待合室で窓の外を見る萌や駅長室のデスクに座る駅長のリアルな人形も!

平成11(1999)年放送のNHK連続テレビ小説『すずらん』では、明日萌(あしもい)駅に捨てられ、駅長に拾われた萌(遠野なぎこ)が逆境を乗り越えて成長していく姿が描かれています。明日萌駅は架空の駅で、実際はJR留萌(るもい)本線の無人駅「恵比島駅」の隣にドラマの舞台となる昭和初期の雰囲気の木造駅舎を建築、ロケが行われました。駅前には木造の旅館や商店が建ち並び、物語の舞台となる大正から昭和初期までの雰囲気がそのまま残っていることも、ロケ地に選ばれた理由の一つだったそう。JR留萌本線の石狩沼田駅~留萌駅は2023年3月に廃線、恵比島駅も廃駅になりましたが、明日萌駅は保存されていて、今でも観光客が絶えません。


◆明日萌駅(旧恵比島駅)
住所:雨竜郡沼田町字恵比島
営業時間:外観見学は自由、駅舎内の見学は要事前申し込み
定休日:駅舎内見学は11~4月休業
アクセス:電車:JR留萌本線「石狩沼田駅」より車で約15分
車:深川留萌道「沼田IC」より約10分
電話:0164-35-2155(沼田町役場産業創出課商工観光グループ)

東京と北海道を結んで展開する、かなしい青春グラフティ 『昨日、悲別で』×「悲別ロマン座」(歌志内市)

映写室には当時使用された映写機が保存されている

映写室には当時使用された映写機が保存されている

昭和59(1984)年に放送された、倉本聰脚本によるテレビドラマ『昨日、悲別で』は、炭鉱が廃れて過疎化が進む北海道悲別(かなしべつ)町からタップダンサーになるため東京に出た主人公と、故郷に残る若者たちとの交流を描いた作品です。舞台となった悲別町は架空の町で、ロケは歌志内(うたしない)市や上砂川町(かみすながわちょう)で行われました。ドラマのクライマックスで登場するのが歌志内市内の上歌(かみうた)地区にある「悲別ロマン座」。故郷に戻った主人公がタップダンスを披露するシーンで使われました。建物は昭和28(1953)年に炭鉱職員のための映画館・劇場として建設された「旧上歌会館」。昭和46(1971)年に炭鉱が廃鉱となり会館も廃墟と化しましたが、ドラマのロケ地になったことで人気を呼び、現在まで管理・保存されています。


◆悲別ロマン座
住所:歌志内市字上歌1-5
営業時間・定休日:外観見学は自由
アクセス:電車:JR函館本線「砂川駅」より車で約30分
車:道央自動車道「砂川SAスマートIC」より約20分
電話:0125-42-3215(歌志内市役所産業課ふるさと振興グループ)

倉本作品で2度登場する駅が舞台 『駅 STATION』×「旧上砂川駅(悲別駅)」(上砂川市)

「駅 STATION <東宝DVD名作セレクション>」 DVD発売中 2,750円(税抜価格 2,500円) 発売・販売元:東宝 ©1981 TOHO CO., LTD. All rights reserved.

「駅 STATION <東宝DVD名作セレクション>」 DVD発売中 2,750円(税抜価格 2,500円) 発売・販売元:東宝 ©1981 TOHO CO., LTD. All rights reserved.

『駅 STATION』は、倉本聰が高倉健のために書き下ろした脚本による映画作品で、昭和56(1981)年に公開されました。物語は、北海道警察の刑事であり、オリンピックの射撃選手にも選ばれていた主人公が、昭和42(1967)年にJR函館本線の銭函(ぜにばこ)駅で妻と別れるところから始まります。その後の約12年に渡る出会いと別れを、駅に停車する列車に例えながら描かれています。

木造平屋建ての駅舎

「上砂川駅」のほか「悲別駅」の名称の看板も掲げられている

主人公が凶悪犯と対峙する場面は、JR留萌本線の旧増毛駅とJR函館本線支線の旧上砂川駅で展開。どちらも廃駅になっていますが、駅舎は管理・保存され見学可能に。旧上砂川駅は、『駅 STATION』の撮影が行われた3年後、同じく倉本脚本のドラマ『昨日、悲別で』の中で「悲別駅」という名で登場します。


◆旧上砂川駅(悲別駅)
住所:空知郡上砂川町中央北1条1-3-1
営業時間・定休日:開場は4月下旬~11月中旬の09:00~17:00
アクセス:電車:JR函館本線「砂川駅」よりバスで約30分
車:道央自動車「奈井江砂川IC」より約15分
電話:0125-62-2223(上砂川町役場企画課産業振興係)

祖父の死をきっかけに戦争をみつめる 『野のなななのか』×芦別市

(C)2014 芦別映画製作委員会/PSC

(C)2014 芦別映画製作委員会/PSC

平成26(2014)年に公開された『野のなななのか』は、芦別(あしべつ)市で古物商「星降る文化堂」を営む92歳の祖父・光男が亡くなり、久しぶりに家族が集うところからスタート。“なななのか”とは四十九日を意味しています。これを機に、家族は光男が樺太でソ連軍侵攻を体験していた過去を知ることに。

それぞれ光男の孫娘であるカンナとかさねが園内を散策する「カナディアンワールド」

光男の病室の窓から常に映り込む「星の降る里大橋」

ロケは芦別市の各所で行われ、平和でのどかな美しい風景を背景に少しずつ明らかになる戦争の記憶とが相まって、大林監督の平和への強い思いが伝わってきます。街中には、映画に登場する駅や公園、グルメなどがあふれ、撮影時の面影を残す「星降る文化堂」を再利用したサロン「野のおもひで館」など見どころ満載です。


◆芦別市
アクセス:電車:札幌駅より芦別駅まで約1時間40分
車:道央自動車道「滝川IC」より市中心部まで約30分

渡部篤郎が熱望したこの地での撮影 『コトバのない冬』×由仁町

俳優・渡部篤郎が愛してやまない北海道夕張郡の由仁町(ゆにちょう)。北海道を訪れた際は必ず立ち寄るというこの町でロケをしたいという思いから生まれたのが、平成16(2004)年製作の映画『コトバのない冬』。物語では、由仁町で父親と暮らす主人公の冬沙子が、言葉の話せない男と出会います。その後、冬沙子は仕事先の牧場で落馬事故を起こし、後遺症で一部の記憶を失ってしまうことに。愛の記憶を失った女と言葉のない男の切ないストーリーが、雪に覆われた北海道の風景とともに繰り広げられ、心にじんと染み渡ります。ロケは冬の由仁町の各所で3週間に渡って行われました。


◆夕張郡由仁町
アクセス:電車:JR新夕張駅よりバスで市の中心部まで約40分
車:道央自動車道「夕張IC」より市中心部まで約20分

歴史に幕を下ろした路線になぞらえたシーン展開 『西村京太郎トラベルミステリー72 十津川警部のラストラン』×新十津川町

高橋英樹主演の人気シリーズの第72弾として令和2(2020)年7月に放映されたドラマ『十津川警部のラストラン』。新十津川町出身の男女3人の幼なじみに関係する悲しい運命のミステリーで、放送直前の2020年5月に廃駅となったJR札沼(さっしょう)線の旧新十津川(しんとつかわ)駅で主人公たちの別れシーンが演じられるなど、路線がふんだんに登場します。新十津川町は、明治22(1889)年の水害で被災した十津川村の住人が移住・開拓した町。総面積の半分以上を森林が占める自然豊かな町で、北海道でも有数の穀倉地帯となっています。原作者の西村京太郎が十津川村では観光大使、今回の舞台である新十津川町では応援大使を務めるゆかりの地でもあります。四季折々の自然が生み出す景観は、写真愛好家たちが足繁く通う魅力的なスポットです。


◆樺戸郡新十津川町
アクセス:電車:JR滝川駅より徒歩約25分
車:道央自動車道「滝川IC」より町の中心部まで約2分

山田洋次監督の「学校」シリーズ第2弾 『学校Ⅱ』×雨竜町

『 学校Ⅱ』好評発売中&デジタル配信中 DVD:4,180円 発売・販売元:松竹株式会社 ©1996松竹株式会社/日本テレビ放送網株式会社/住友商事株式会社 ※2023年7月時点の情報です

『 学校Ⅱ』好評発売中&デジタル配信中 DVD:4,180円 発売・販売元:松竹株式会社 ©1996松竹株式会社/日本テレビ放送網株式会社/住友商事株式会社 ※2023年7月時点の情報です

1993年~2000年までに4部作が公開された山田洋次監督の映画『学校』シリーズ。第2弾となる平成8(1996)年公開の『学校Ⅱ』は、北海道・雨竜町に実在する「道立雨竜高等養護学校」をモデルとした実話ベースのストーリーです。「滝別高等養護学校」の教師と障害を持つ生徒たちの3年間に渡る交流や葛藤、就職問題などが描かれています。


◆雨竜郡雨竜町
アクセス:電車:JR滝川駅よりバスで約25分
車:道央自動車道「滝川IC」より約20分

おわりに

今回解説した以外にも、美唄市・空知エリアを一冊でたっぷりフィーチャーしている『月刊旅色2023年7月号』も読めば、タビマエ準備は完璧です。この記事では出てきていない映画のロケ地を巡る南空知日帰り旅や、記事で紹介した「カナディアンワールド」や「雨竜沼湿原」を旅程に盛り込んだ、中空知の大人スイートな日帰り旅など、内容盛りだくさんです。

月刊旅色2023年7月号
「月刊旅色2023年7月号」はこちらから

北海道・空知エリアが舞台となっている小説や漫画をまとめた記事も併せてご覧ください。

タビマエに読みたい。北海道・空知エリアが登場する文学作品とその舞台を完全網羅!

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#旅 #ロケ地 #映画 #雨竜町 #芦別市 #沼田町 #歌志内市 #上砂川町 #由仁町 #新十津川町 #聖地巡礼 #夏休み #お盆

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