長野在住のトラベルコンシェルジュが食べ比べ! 名物【牛乳パン】5選
長野に根付くロングセラー食「牛乳パン」。60年以上も昔から県民に愛されてきた、ご当地パンをご存知でしょうか? テレビや雑誌、SNSなどで取り上げられ、辞書みたいな分厚い見た目で、かわいらしいレトロなパッケージが全国的に知られ話題となっています。今回は、長野県在住のトラベルコンシェルジュ・みっちゃんが県内中の牛乳パンを食べ歩き、魅力に迫ってみました。旅行の際のおやつに、おみやげに、要チェックです。
目次
牛乳パンってどんなパン?

牛乳パンは、昭和30年頃に誕生した県民なら知らない人がいないといわれる、ご当地パン。カステラのようなふわっふわのパンには、牛乳が練りこまれて焼かれています。そして、長方形の分厚いパンの間には、た~~っぷりのミルククリームがサンドされていて食べごたえ抜群。お値段は200〜300円ほどのお店が多くリーズナブル。甘党には夢のようなパンです。
県内各地に「オリジナル牛乳パン」があり、味は地域や店舗により若干違います。この記事では、牛乳パンが買えるお店を厳選してご紹介します。
小松パン店(松本市)|店頭にならばない!? 予約でのみ購入可能
大正10年創業の老舗パン店。複数のテレビ番組で紹介され、牛乳パン人気の火付け役。一番有名な牛乳パンかもしれません。

長さ約20cm、厚さ約9cmのビッグサイズ。パッケージの袋が破れてしまいそうなくらいのズシンとくる重さ。正体は、厚さ約3cmのクリーム。存在感をこれでもかと主張すべく、パン生地を上回るほどの厚さです。食べる前から楽しませてくれますね。
小松パン店の牛乳パンは甘すぎないクリームが特徴。どこか懐かしい甘さの、生クリームのようなバタークリームといったイメージです。豪快にかぶりつくと、周りからクリームが飛び出てきます。ちぎって食べるのがセオリーです。
●購入する際の注意点
コロナ対策で密を避けるために「前日までの事前予約販売」のみ。また、パンは「12時30分以降の受け取り」です。枠が埋まってしまうと予約ができません。公平を保つために徹底されているようです。車で行く際は、道幅が狭く歩行者も多いのでご注意を。
◆小松パン店
住所:長野県松本市大手4丁目9-13
電話番号:0263-32-0172
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜、祝日、第1・3月曜日
駐車場:あり
<周辺の観光スポット>
・松本城、なわて通り、中町通り
・旧開智学校
・上高地
・美ヶ原高原
かねまるパン店(木曽町)|元祖は宿場町にあり
木曽路の中核を担う「福島宿」の一角に佇む、昭和27年創業の老舗パン屋。諸説ありますが、「牛乳パンの元祖では? 」といわれていて、地元テレビ局や新聞、雑誌などにも度々取り上げられている人気店。
厚さおよそ6㎝あるパンは、ふわっふわで心地よい柔らかさ。バターが練りこまれた自家製の甘いミルククリームは多すぎず少なすぎず、ちょうどいい量。しつこすぎず、飽きがこない味でふわふわパンと絶妙にマッチしています。長年、牛乳パンを食べ続けてきた私からしても、「これぞ牛乳パンの元祖!」という味です。

近年では変わり種の牛乳パンが増えており、かねまるパンには「コーヒー牛乳パン」があります。三角形のパンで、コーヒーの苦味とクリームの甘さが絶妙にマッチしていて通常の牛乳パンとはまた違ったおいしさの食べ比べを楽しめます。
●購入の際の注意点
日曜日の営業は15時までです。祝日も含め何回か訪問したことがありますが、毎回、購入できました。売り切れが心配な場合は事前に電話をして取り置きは可能です。店舗には、駐車場がありませんが周辺に町営駐車場や駐車スペースがあります。
◆かねまるパン店
住所:木曽町福島八沢5354-1
電話番号:0264-22-2437
営業時間:月曜~土曜 8:00~19:00、日曜 8:00~15:00
定休日:不定休
駐車場:なし(近くに駐車スペースあり)
<周辺の観光スポット>
・木曽宿場町(11宿)巡り
・開田高原(木曽町)
・寝覚めの床(上松町)
・阿寺渓谷(大桑村)
小林製菓舗(長野市)|昭和30年創業! 牛乳パングッズも豊富
しなの鉄道豊野駅近くの路地裏に佇む、昭和30年創業の老舗パン屋。北信地域では、小林製菓舗=牛乳パンを思い浮かべる人も少なくないほど地域になじんでいます。
小林製菓舗の牛乳パンは少し形が違います。上から見ると正方形に近く平べったい形状です。イーストフード不使用の生地は、マーガリンの代わりに液体油脂を使うので口当たりよくしっとり。加糖ミルクペーストホイップクリームとの相性抜群で、「昔ながらのパン」という味わいでした。
Tシャツ、バック、手ぬぐい、ハンカチ、キーホルダーなど「牛乳パングッズ」が豊富に揃っています。お店の方によると「色々作っていたら増えてしまった」とのこと。牛乳パン愛を感じます。購入するファンも多いみたいです。
●購入の際の注意点
開店時刻は9:00ですが、牛乳パンが出来上がるのは「10:30以降」です。売り切れが心配な場合は事前に電話をして取り置きは可能です。店舗前は道幅が狭いのでご注意を。
◆小林製菓舗
住所:長野県長野市豊野町豊野1083
電話番号:026-257-2267
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜日
駐車場:あり
<周辺の観光スポット>
・善光寺
・善光寺仲見世通り
・戸隠(戸隠神社、鏡池)
・小布施の古い町並み、小径
・小布施の美術館巡り
小布施岩崎(小布施町)|季節限定の味もある
栗と葛飾北斎で有名な小布施町(おぶせまち)にあるお店は、文久2年(1862年)の創業以来、和菓子・洋菓子・パンを製造販売しています。お店の方によると「牛乳パンの販売は、昭和30年代頃からではないか」とのこと。
クリームの量が多いことでも知られ、店頭に並ぶとあっという間に売り切れてしまうことも。モチモチした食感の生地とクリームの牛乳の香りがよく合っていて、しつこくなくぺろりと食べることができます。少し固めのバタークリームは、暑くなると溶け出してしまい、口当たりが悪く味も落ちてしまうことから夏場は牛乳パンを作らないそうです。
「チェルシーバンズ」というパンも人気があります。クルミなどのナッツ類やレーズンなどがふんだんに入っていて、砂糖とバターを溶かしたシロップでコーティングされているタルトのようなパン。県内外問わず、多くの人が訪れています。2009年に刊行されたルポ絵本『世界一のパン〜チェルシーバンズ物語~』には、約70年前の先代である故・岩崎小弥太さんと、当時の新生病院総婦長ミス・パウルさんとの心温まるストーリーが描かれています。
●購入の際の注意点
店頭に並ぶとあっという間に売り切れてしまうことがあります。取り置きは可能ですので、事前に連絡することをおすすめします。夏場は牛乳パンは販売されていません。
◆小布施岩崎
住所:長野県上高井郡小布施町小布施620-1
電話番号:026-247-2200
営業時間:月曜~土曜 10:00~18:00 日曜10:00~13:00 ※季節により変動あり
定休日:水曜日
駐車場:あり
<周辺の観光スポット>
・小布施の古い町並み、小径
・小布施の美術館巡り
・善光寺
・善光寺仲見世通り
・戸隠(戸隠神社、鏡池)
ササザワベーカリー(上田市)|県産の牛乳・卵を使用
上田市丸子の路地裏にある昭和25年創業の老舗パン店。原料には、可能な限り各地域の無添加素材を使用するなど、こだわりあるパンを味わえます。

牛乳パンには、長野県産の牛乳と平飼い有精卵がふんだんに使用されています。「フワフワ」ではなく「ふかふか」という表現がピッタリとくるパン生地に、濃厚で甘さ控えめなクリームがたっぷり挟まれています。最後のひと口まで飽きずに食べることができます。

訪れたのは平日の正午頃。棚には空のカゴ。お目当ての牛乳パンがありません。恐る恐る「牛乳パン売り切れですか? 」と尋ねてみたところ……。「5分ほどで作れますよ♪ 」とのこと。すご〜く、長く感じる5分間でしたが、出来立ての牛乳パンをゲットできました! 袋の上からもお店の方の温かさが伝わってきました。
●購入の際の注意点
カーナビをセットしていましたが道に迷ってしまいました。スーパーデリシア上丸子店の駐車場を正面に見て左側の路地に入ってすぐのところにお店があります。赤い看板が目印です。近隣の商店街に1台分の駐車場があります。さっと買って帰る場合は、店舗の前や横のスペースに一時的に停車することもできます。
◆ササザワベーカリー
住所:長野県上田市上丸子259
電話番号:0268-42-2242
営業時間:7:00~19:00
定休日:日曜日・月曜日(祝日は不定休)
駐車場:あり
<周辺の観光スポット>
・別所温泉
・上田城址公園
・生島足島神社
・安楽寺・八角三重塔
・北国街道「海野宿」(東御市)
番外編|パン屋以外でも手軽に購入可能
牛乳パンが購入できるのは、「パン屋さん」だけではありません。県内のスーパー、コンビニ、道の駅、駅の売店、ホームセンターなど色々な場所で購入できます。

スーパーのパンコーナーでは「ヤマザキ」や「Pasco(パスコ)」の牛乳パンが販売されています。たいてい、どちらかが置かれています。スーパーによっては、オリジナル牛乳パンを販売しているお店も。

老舗パン屋も、近隣のスーパー・道の駅に卸しているケースがあります。南部の駒ヶ根市で、昭和30年頃より牛乳パンを作り続けている「丸六田中製パン所」は市内のスーパーや道の駅で購入できます。

変わり種だと、観光客にも人気がある県内を中心に展開するスーパーTSURUYA(ツルヤ)では、モンドウル田村屋の「牛乳パンのバタークリーム」が販売されています。好きなパンにクリームを塗って即席牛乳パンを楽しめます。色々と試してみましたが、焼き立てのワッフルとの組み合わせが最高でした。牛乳パンの概念を破壊するインパクトのある商品ですね。
牛乳パンのパッケージはレトロでかわいい
牛乳パンを語る上で欠かせないのが、白地に青色で男の子が描かれた昭和レトロでかわいいパッケージ。なぜか、いくつかの店舗でデザインが非常に類似しています。

もともと白地に濃紺の「牛乳パン」の文字と「牛」の絵が印刷された県統一のパッケージでしたが、木曽町福島の「かねまるパン店」の店主の母親が我が子をスケッチしたものが長野県パン組合で共有されたからなんだとか。“牛乳=子どもの栄養を補う”というイメージも相まって、さらなる普及の起爆剤になったようです。
おわりに
牛乳パンと聞いてイメージするパンとお店は、同じ長野県民といえど、それぞれ違うのではと思います。各お店にファンがいて、一人ひとりのマイベストがある。それが牛乳パンのすばらしき世界です。お店によっては不定休だったり、売り切れだったりすることもあるので、おでかけ前に店舗に確認してみてくださいね。多くの旅が実現しますように!