朝食ブッフェがすごいビジネスホテル3選(東日本編)/ホテル評論家・瀧澤信秋 連載vol.2

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2022.07.08

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朝食ブッフェがすごいビジネスホテル3選(東日本編)/ホテル評論家・瀧澤信秋 連載vol.2

コロナ禍前の訪日外国人旅行者激増というフェーズの中で、ホテルカテゴリー全体で見た場合にビジネスホテルの増加は顕著でした。コロナ禍が続いてきた中で開業したホテルもやはりビジネスホテルが多くあります。スピーディーに開業、運営効率という点でも激増した需要への供給補完に適したスタイルなのでしょう。
ゆえに競合も激化してきた業態ですが、競合がおきれば差別化は必至となり、ほかのホテルにはない特色を打ち出そうとするのは当然の流れではあります。とはいえ、リニューアルや建て替えなどは時間やコストという面からもハードル高きところ、宿泊・朝食と差別化できるポイントが限られる業態にして、各ホテルが朝食を極めていくというのはとても理解できます。
すなわち、いまビジネスホテルの朝食は注目すべき進化を遂げているのですが、そんなアプローチから今回はビジネスホテル朝食にフォーカスしたいと思います。相当なボリュームゾーンだけに東日本編、次回西日本編と分けて掲載することをお許し下さい。

写真/瀧澤信秋

目次

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【北海道】好き勝手に盛り付けられる海鮮丼「ベッセルイン札幌中島公園」

【岩手県】あのご当地麺が朝食に!「天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡」

【東京都】無料朝食であの人気スイーツも!「ホテル ココ・グラン北千住」

おわりに

【北海道】好き勝手に盛り付けられる海鮮丼「ベッセルイン札幌中島公園」

北海道は朝食ブッフェ激戦区です。換言すると“海鮮激戦区”とも表せます。北海道のホテル朝食ブッフェでは、高価格帯のシティホテルやリゾートホテルではもちろんのこと、ビジネスホテルでさえも朝食に海鮮はデフォルト。海鮮がない朝食ブッフェは勝負にならないと話すホテル関係者も珍しくありません。

そんな北海道ビジネスホテル朝食ブッフェ海鮮激化ですが、火付け役ともいえるのが「ベッセルイン札幌中島公園」です。筆者がホテル評論家になる以前ですから10年くらい前に感動したことをいまでも覚えていますが、最近またアップデートしたということで出向いてきました。

札幌観光で外せないのがグルメも満喫できる“すすきの”。特に夜の賑わいは圧巻なので、周辺のホテルに泊まれれば存分に満喫できそう。かの立地のホテルは多くありますが、ベッセルイン札幌中島公園はすすきのでも中島公園寄りに位置します。

明るさ、清潔感などからも人気のホテルです。ロビースペースは開放的で明るく、シティホテルのような雰囲気すらあります。客室面積も広く、シングルルームでも16平方mと余裕のあるスペース。そしてこのホテルが人気という最大の秘密が“朝食”です。さまざまなカテゴリーのホテルを交えた全国ランキングでもランクインしたことがあります。夜にすすきので出合った海鮮に、こんな形でまた朝に体験できるとはなんたる贅沢。

一番人気のメニューが海鮮丼。こぼれいくら、ほぐしカニ、ホタテ、イカそうめん、タラコ、甘えびなど具材が提供されます。好きにそして勝手に盛り付けられるスーパー丼!? とも表せます。そのほか、豚丼やスープカレーなどご当地メニューもかなりのレベル。80種類という豊富なブッフェに朝から大満足です。

公式サイト

【岩手県】あのご当地麺が朝食に!「天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡」

ドーミーインといえば、ビジネスホテル人気ランキングでも常に上位という好感度の高いチェーンです。その秘密は突き抜けたコンテンツ。天然温泉大浴場、露天風呂、サウナ、無料のアイスに乳酸飲料、夜鳴きそばなど全店舗で一貫してクオリティ高きサービスを提供し続けています。それも新店舗が誕生する度に進化しているのがすごい。

サウナ好きな筆者はドーミーインの全店舗への宿泊体験がありますが(2018年9月時点)、大浴場やサウナに加えてやはり朝食という点もドーミーインをセレクトしてきた理由です。“ビジネスホテル朝食といえばドーミーイン”といわれるほど、朝食への評価も高いです。

ドーミーインの「夜鳴きそば」。提供時間は施設により異なります

ドーミーインの「夜鳴きそば」。提供時間は施設により異なります

いずこの店舗の朝食もご当地メニューや実演メニューなど特筆すべき内容ですが、最近感動したのが「天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡」。JR東北新幹線盛岡駅の南口から徒歩約12分と少々離れている立地ですが、飲食店や商店などが密集する繁華街エリアに隣接ということで、盛岡グルメもたっぷり楽しめるホテルです。

朝食は1階のレストランHatagoで提供されますが、ドーミーイン朝食で人気の味めぐり小鉢横丁も充実。一口分ずつ小鉢に取り分けられて温かいものは“温かく”、冷たいものは“冷たく”用意、何種類でもいくつでもピックアップできます。バイキングの選ぶ楽しさに、安心と優しさを備えて進化していると言えるでしょう。

盛岡で体験したいご当地グルメとしてわんこそばが知られる中で、同じ麺類として盛岡冷麺も外せません(じゃじゃ麺も有名)。つるりと食べられる麺に、キムチ、きゅうりなど付け合わせも用意されているのが嬉しいところ。コシの強さもクセになる逸品です。

公式サイト

【東京都】無料朝食であの人気スイーツも!「ホテル ココ・グラン北千住」

最後に少し変わったアプローチから取り上げたいと思います。これまで紹介したホテル朝食で共通しているのが“有料”ということ。宿泊料金のほかに朝食料金が設定されており、朝食付きプランや別途朝食券を購入するなどして食します。一方、ビジネスホテルでは宿泊者全員に朝食を提供する“無料朝食”をウリにするホテルもあります。

無料とはいえ、宿泊料金に転嫁されているとツッコミが入りそうですが、ここでいう無料朝食とは有料朝食の対比表現ということでお許し下さい。そうした無料朝食ですが、やはりコストがかけられた有料朝食と比較すると相応の内容というケースが一般的です。そんな“ビジネスホテル無料朝食の世界”で異色のクオリティを堅持しているホテルがあります。

北千住という穴場エリアのハイセンスホテル「ホテル ココ・グラン北千住」です。バラエティに富んだ客室は特色として挙げることができます。最も狭い部屋でも16平方mと余裕の広さを確保します(エコノミーシングル)。そのほか、ダブル、ツイン、露天風呂付きのスイートと多彩。インテリアや調度品も多様で選ぶのに迷ってしまいそう。大浴場も併設されており男性はサウナ、女性は岩盤浴(予約制)が利用できます。

そんなホテルへ実際に訪れて驚くのが、ホテルの1階に併設された「ドンレミーアウトレット北千住店」。コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでもお馴染みのドンレミーが格安でゲットできます。ドンレミーとホテルの経営会社が同一ということから実現しているのですが、ホテルにステイしつつ格安スイーツを客室で楽しむなんてことも可能です。

全室に配されたシモンズ製マットレスで熟睡した翌朝の無料朝食はかなり嬉しい内容。無料とはいえ、煮物・揚げ物・焼き物とメニューの豊富さは驚愕。サラダバーも充実しており、種類多きパン、汁物も味噌汁のほかスープまで用意。そしてドンレミーのスイーツまで並びます(個数限定)。

※ホテル ココ・グラン北千住では、現在各種情勢など鑑み無料朝食が一時休止され、素泊まりプランと朝食付きプランでの提供で実施しています。再開の情報なども含め実際の利用に際しては公式サイト等で確認の上、ご利用下さい。

公式サイト

東日本編いかがだったでしょうか? 多彩なビジネスホテル朝食の世界ですが、ここで紹介できなかった凄い朝食のホテルは東日本エリアだけでもまだまだ多くあります。

次回は西日本編、乞うご期待!

おわりに

本記事のタイトルのビジネスホテル、リーズナブルで機能的だけどオシャレやアーティスティックなど高いコンセプト性という雰囲気とは無縁というイメージもありますが、ここでは宿泊に特化した(宿泊サービスと朝食のみを提供するホテル)という括りでビジネスホテルというワードを用いていることを最後に付言しておきます。

コスパ最高! 朝食ブッフェがすごいリゾートホテル3選 /ホテル評論家・瀧澤信秋さん連載vol.1

朝食ブッフェがすごいビジネスホテル3選(西日本編)/ホテル評論家・瀧澤信秋 連載vol.3

朝食がすごいシティホテル3選/ホテル評論家・瀧澤信秋 連載vol.4

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#ホテル #宿 #ビジネスホテル #瀧澤信秋 #コスパのいい宿

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ホテル評論家 瀧澤信秋

ホテル評論家

瀧澤信秋

1971年生まれ。ホテル評論家、旅行作家。国内ホテルを対象に、利用者目線やコストパフォーマンスを重視した取材調査、評論、批評を行う。財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボードを務めるほか、多数メディアでも幅広く活躍。著書に『辛口評論家、星野リゾートに泊まってみた』(光文社新書)など。 (プロフィール画像撮影:片桐圭)

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