浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。夢心地の宿泊体験を切り取る写真連載。第21回は、宝塚歌劇の世界につながっているかのようなホテル。あなただけのステージが広がっています。
写真家 浅田政志の宿旅
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Vol.21「宝塚ホテル」兵庫県宝塚市

くればいいのに。
宝塚歌劇の大階段を彷彿とさせるロビー中央の階段。
決めポーズは、支配人である元タカラジェンヌの憧花ゆりのさん直伝です。
夢の入口
開業は1926年(大正15年)。
2020年6月に、宝塚大劇場の隣に移転開業しました。
その外観は、まるで貴族のお屋敷のよう。
時と共に去らぬ
ロビーのシャンデリアは旧ホテルの天井を飾っていたもの。共演を許された緞帳(どんちょう)は、宝塚大劇場で昭和50年代に使用されていたもので、クリーニングで色鮮やかに復活しました。
床の上で豪華な共演
客室フロアのカーペットには、宝塚歌劇それぞれの組のモチーフが散りばめられています。推し組の隠れモチーフを探すのもひとつの楽しみです。
その席、テッパンにつき
ホテル内のレストランも魅力的。館内2階の鉄板焼「風雅」からは、鉄板越しに宝塚大劇場が望めます。
目の前でご馳走が仕上げられ、奥には夢の世界――。ここが隠れた特等席です。
不動のトップスター
ホテルショップ「アルモニー」で人気のアップルパイは、旧ホテルの味を引き継いでいます。
ゴロゴロとしたりんご、甘すぎないパイ生地が魅力で、客室で味わうファンも多いそう。
寝ても覚めても。
全200の客室のうち、2部屋しかないレビュールームは、その日の公演にちなんだ組カラー、ロゴで彩られます。宝塚歌劇関連の書籍が並び、テレビではホテル限定のコンテンツが無料で楽しめます。
「今日のタカラジェンヌは、わたし」
客室「レビュールーム」はまるでタカラジェンヌの楽屋。
ベッドの上にはシャンデリアがあり、女優ミラーも設置。
緞帳を模したカーテンを引いたら、そこが今宵のステージです。
360度、スキなし。
館内には宝塚歌劇に関する貴重な品が並ぶギャラリーも。時期に合わせて展示された衣装は360度全て見学でき、その繊細さに驚かされます。また、支配人の憧花ゆりのさん自ら監修した小道具の展示では、元タカラジェンヌならではの裏話なども知ることができます。

宝塚ホテル

宝塚歌劇ゆかりの品々が並び、宝塚大劇場のオフィシャルホテルとしてファンに、そして親子3代で通う方もいるほど地元の人々にも愛されているホテル。ホテルのコンセプトは「夢のつづき」。宝塚歌劇を堪能したあとは、館内のレストランで舌鼓を打ち、客室で余韻を楽しみましょう。滞在の間は夢の時間が続きます。

住所 / 兵庫県宝塚市栄町1丁目1番33号
電話 / 0797-87-1151
料金 / 26,620円~(スタンダードシングル、食事なし)

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『家族写真は「」である』(亜紀書房)など。最新作は『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)。また、国内外で個展やグループ展を精力的に開催している。
http://www.asadamasashi.com/