モデル・女優 香里奈
Special Interview
“富山は都会的な部分と
自然が融合された
素敵な街だなと思います”
全編を通して富山県で撮影された
映画『おもいで写眞』に出演している香里奈さん。
撮影の合間に散策した富山の印象をはじめ、
映画の重要なモチーフである写真や
旅行についてのお話も伺いました。
取材・文/小林未亜(エンターバンク)
撮影/山下陽子

主人公の結子(深川麻衣)に多くの気付きを与える存在となる、ソーシャルワーカーの美咲という役を演じられた映画『おもいで写眞』について。まずは完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

すごくあったかい気持ちになれる映画だなと思ったのが第一印象です。今回たくさんのおじいちゃん、おばあちゃんにも出演いただいたので、そういう方たちの出演シーンを見て、私も亡くなったおばあちゃんに会いたくなり、家族や友達に連絡を取りたくなりました。そして、何歳になっても挑戦できるということや、何に対してもキラキラ輝けるんだっていう、前向きになれるメッセージを感じました。

香里奈さんや深川麻衣さん、高良健吾さんが演じたキャラクターには共感できるシーンがたくさんありました。また、遺影ならぬ“おもいで写真”の被写体となる方々を演じた、吉行和子さんや古谷一行さんのお芝居も心に響きました。ベテランの方々の印象はいかがでしたか?

吉行さんとは、あまりお話はできませんでしたが、すごく存在感がありますし、沢山のことを経験されている大先輩なので、ご一緒できてうれしかったです。吉行さんが発する言葉一つひとつにいろんな感情がこもっているというか。今回の役だと、おばあちゃんを思い起こさせるような言い方やふるまいだったので、「ああ、すごいな……」と思いました。

古谷さんは、すごく気さくな方で、休憩の合間にいろいろなお話をしてくださいました。でも私は一緒のシーンが少なかったので、本編を見た時、すごくグッとくるお芝居をされていたのが心に残っています。

映画の中では、写真を撮ってもらうことで毎日が生き生きとしたり、その写真を見ることで元気になる、というお年寄りの様子が描かれています。そのような気持ちは理解できますか?

例えば、学生時代に友達と撮った写真だったり、「この仕事よかったな」という時の写真を見返すと、その時の記憶がよみがえり、また頑張ろうと思わせてくれたりしますよね。写真は、1秒違うだけで異なる画が撮れるので、それがすごく楽しいです。だから、私はモデル業を辞めることなく続けているんだと思います。年齢を重ねても、写真を撮られたり、昔の写真を見返すことでキラキラ輝くことができるのは素敵だなって、今回の作品で改めて実感しました。

その人の思い出の場所で撮影する“おもいで写真”を、自分だったらどこで撮るか考えましたか?

取材で聞かれたりもして考えましたが……悩むということは、いまだにその場所は見つけられていないんだなと思います。地元である名古屋や実家で撮るのも良いなとも思いましたが、それ以外だと、思い浮かばないですね。まだ探している途中だと思います。

すべて富山で撮影されたこともこの映画の特徴ですが、撮影の合間に観光されたりしましたか?

はい。空き時間があったので、一人で市内観光していました。日本三大仏に数えられる高岡大仏を見に行ったり、路面電車に乗ってうどんを食べに行ったり、ドラえもんがいる公園(高岡おとぎの森公園)に行ったり。そういう感じでぐるぐるしていましたね。

地元の食材は何か食べましたか?

富山はお魚が美味しいと有名なので、お寿司屋さんに行きました! そこで食べた白えび・バイ貝・ます寿司が、すごく美味しかったです。

かなり満喫されたんですね! 滞在されて、富山にどんな印象を持ちましたか?

自然はもちろんですけれど、都会的な部分もあり、都会的な部分と自然がバランス良く融合された街という印象です。東京のようなビルが建ち並ぶ忙しい感じはないけれど、魅力的なお店もたくさんあって、素敵な街だなと思いました。

今回の富山のように、ロケ地はお芝居に影響しますか?

しますね。特に地方で撮る場合は長く滞在することが多いので、日が経つにつれて、その土地ならではの空気感などをより感じることができます。特に今作のような、その場所ありきでの作品は、滞在することでなじみが出たり、愛着が湧いてくるので、スタジオ撮影より、リアリティが出ると思います。

劇中では富山弁を話していましたが、大変でしたか?

大変でした。名古屋出身の私からすると、名古屋弁と富山弁は少し似ているところはありますが、やっぱり微妙なイントネーションは違います。富山県内でも場所や人によって方言が微妙に違うので、正解もわからなかったり。もちろん現場でやれることはやりましたが、富山の方にご覧いただき意見を聞くまで不安です(笑)。

ここからは映画と話がそれますが、香里奈さんにとって「旅に行きたくなる映画・本」はありますか?

そういう本を購入することはないですが、以前、旅行でグレート・バリア・リーフに行った際、そこのリゾート地ならではの写真集を買ったことはあります。それを改めて見返した時に、「また行きたいな」って想い起こせるというか。私は行った後に買うことが多いかもしれません。本で想像するよりも、自分が行った場所の写真の方が、見たくなります。あと、旅行とはちょっと違いますが、宇宙本を読むと、宇宙に行きたいなって思います(笑)。

映画については、「行きたい」という気持ちで見たことがないのでわからないですけど……。こういう仕事をしているので、映画は映画としか思えないのかもしれないです。それなら、旅番組やドキュメンタリー番組等の方が、リアリティがあって、「行きたいな」って思うのかもしれないです。

海外旅行のお話をされていましたが、今までで記憶に残る旅先といえばどこですか?

家族(旅行)で行ったグランドキャニオンは、今までにない景色が見られて、今でも鮮明に覚えています。

そういった旅先で写真はよく撮る方ですか?

グランドキャニオンに行った時は、まだガラケーを使っていて、デジカメも画質が良くなかったので、残念ながらほとんど残ってないです。記憶に残っている方が大きいかもしれません。「崖で写真を撮って亡くなる方も多いから気を付けて」と言われたので、撮れなかったというのもあります(笑)。

でも、今は携帯で手軽に撮れますし、普段の旅行だと私が写真係かと思うほど、結構撮ったりしますね。昔、姉2人と屋久島で山登りをした際に、マイ一眼レフを持っていき写真を撮りました。

では最後に、香里奈さんなりの旅を楽しむポイントを教えてください。

あまり計画的に行かないことですね。その場の雰囲気や気分、体調とかで、フレキシブルに動けるような旅の方が私は向いているのかなと思います。その方が楽しめそうだし、予定通りにいかなくても、あまりガッカリしないだろうし。ポイントポイントで観光は入れていきたいですけど、あとは何も考えずにその場で決めて、プランニングするのが楽しいんじゃないかなと思います。

香里奈さんが旅に行きたくなる映画

『深呼吸の必要』

『深呼吸の必要』

DVD4,180円 発売中
発売元・販売元:バンダイナムコアーツ

「出演作のロケ地の中でもう一度行きたいと思う映画」と聞いて香里奈さんが挙げてくれたのが、ご自身が初主演を務めたこの作品。沖縄の広大なさとうきび畑を舞台に、7人の若者たちの姿を描いた青春映画。「沖縄で撮影した作品なんですけど、撮影で約一か月、沖縄にいたんです。そこの景色や島の雰囲気、海のきれいさを今でもすごく覚えています。そこの魅力を知ると、またもう一度行ってみたいな、って思いますね」(香里奈)
INFORMATION
『おもいで写眞』

『おもいで写眞』

1月29日(金)より全国公開

深川麻衣主演、熊澤尚人監督のオリジナル脚本で、世代を超えた人と人との触れ合いを描く感動作。東京で夢破れ、大切な祖母の死をきっかけに故郷・富山へ戻った結子(深川麻衣)は、役場に勤める幼なじみの星野(高良健吾)からお年寄りの遺影撮影の仕事を頼まれる。「遺影」というと敬遠されたため、それぞれの思い出の場所で写真を撮る「おもいで写真」としてお年寄りたちを撮影していくなかで、結子も多くのことを学んでいく。

監督・脚本:熊澤尚人
出演:深川麻衣、高良健吾、香里奈、井浦新、古谷一行、吉行和子ほか
配給:イオンエンターテイメント

Profile
香里奈
香里奈Karina

1984年2月21日生まれ、愛知県出身。2000年からファッション誌「Ray」の専属モデルを務め、現在は「GINGER」のレギュラーモデル。2001年にドラマ『カバチタレ!』(フジテレビ)で女優デビュー。2004年の『深呼吸の必要』で初主演&スクリーンデビューし、日本映画批評家大賞新人賞(小森和子賞)を受賞。以降、モデル・女優として活躍。主な出演作は、ドラマ『嫌われる勇気』(2017年/フジテレビ)、『恋はつづくよどこまでも』(2020年/TBS)、映画『ラブコメ』(2010年)、『ガール』(2012年)など。

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