【岐阜】いま、日本の図書館が新しい。みんなの森 ぎふメディアコスモス

静岡県在住。愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かけるLIKESライター・なおは、こよなく愛する鉄道を使って絶景巡りをしています。最近のわたしは、旅先の図書館巡りをひとつの楽しみにしています。企業とのタイアップや有名な建築家にデザインされた図書館が全国に開業し、地域文化の発信拠点となっていて、とても楽しいです。今回は、岐阜市立中央図書館「メディアコスモス」に訪れました。
目次
岐阜市立中央図書館「メディアコスモス」とは

岐阜市の中心部、岐阜城が聳え立つ金華山の麓の行政地区に2015年に造られた「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。以前の岐阜市立図書館はとても狭くて蔵書数も少なく、岐阜駅のリニューアルの際に開業した加納分館に人気が集まっていました。時代に即した、県庁所在地らしい図書館の必要性を改めて認識した岐阜市は、公共施設の再集約を機に、新しく建築する岐阜市役所に隣接してこの図書館を開館させました。
なお、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の名称には、
『「知と文化、絆」を育む拠点として、様々な情報が国内は言うに及ばず宇宙にまで広がっていくことを期待しています。この作品に、緑を含め利用される市民が主人公であるという意味を込めて、「みんなの森」という言葉を加えました。』<HPより引用>
といった意味があるそうです。
撮影した時間のせいというのもありますが、図書館南にある市役所の影になってしまうのが玉にきず。岐阜に住む設計士の知り合いは「建物の中はいいけど、陰になるのがいけてない! 」と地元に厳しい意見を出していました。
館内に広がるドーム状の空間
設計者は建築士の伊藤豊雄氏。これまでも仙台などで図書館を建築した実績があります。施工するのが難しく、当初の入札ではだれも手を挙げずに開業が遅れたというなかなか凝った建物です。
2階建の建物の上階が図書館。1階はホールやギャラリーになっており、市民が様々な文化活動を行える施設になっています。

上に登るにつれてなんだかドーム状のものが見えてきます。図書館とは思えない異様な光景です。
図書館に入るとまず目に入るのが白いかさみたいなドーム状のもの。天井から吊るされたこちらは“グローブ”と呼ばれ、この特徴的なグローブから光や自然の風を取り込み、夜は大きな電灯のシェードの役割を果たしています。

グローブの下で人が集うことができ、思い思いに本を読んで時間を過ごしています。こんな図書館だったらずっといたいですね。
半透明で光を通しやすい布地で造られたこのグローブ。よくみるとすべて柄が違います。気づきましたか? これはデザイン的なこともそうですが、ロケーションを示す役割を果たしています。
グローブの上の格子状の木造屋根は構造材としての役割も果たしています。これだけの広さなのに柱も少なく、内壁がひとつもないんですよね。木造屋根には、地域に繁栄をもたらした特産の東濃産ひのきを使用しています。
グローブの絵柄や十進分類の数字で本探しも楽々
書棚が建物の中に分散しており、どの分野の本がどこにあるのかわからないデメリットをサインで解消。十進分類の数字を目標にできるほか、先ほどのグローブの絵柄がここにわかりやすく図案化されているので、そこをめがけて歩いていけばお目当ての本がある場所がわかります。
天気の良い日はバルコニーで休憩も

外にはバルコニーも。ここで本を読めたり、勉強の合間に休憩を取れたりします。アメーバのような形の椅子は、建物の中にもありました。
この図書館ができてから本の貸し出し冊数は飛躍的に向上、新たに図書館を訪れるようになった人も劇的に増え、2019年には500万人を達成。時代に即した文化拠点は、その町の人々の文化的リテラシーを高めるためにとても重要だということがわかります。
町の特色を生かした図書館を造る

「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は全国的な注目を浴び、各地の市の関係者が視察に訪れたり、建築の研究者たちが来たりしているそうです。この好事例が全国に及び、今後各地でその町の特色を生かした新たな図書館が誕生したらいいなと思います。
♦みんなの森 ぎふメディアコスモス
住所:岐阜市司町40番地5
電話:058-265-4101
時間:9:00~21:00(中央図書館9:00~20:00)
休館日:毎月最終火曜日(祝日と重なる場合は翌日)、年末年始