見事な紅葉に包まれた野趣あふれる秘境で
偉人たちが愛した名泉に浸かる
仙台市と山形市を結ぶ国道48号沿いに位置する作並温泉。その国道に沿うように流れる広瀬川源流の山間に、温泉宿が点在しています。開湯の歴史は、室町時代に岩松対馬尉藤原信寿という人が作並の地に移り住み、そこから11代目にあたる寿隆(喜惣治)が、岩松家のみに秘されていた湯を人々が入れるよう整備したことから始まりました。仙台の奥座敷として人気が高まり、仙台藩主や文化人が数多く訪れていたという歴史も。正岡子規は松尾芭蕉の足跡をたどって松島や仙台をまわり、作並温泉に宿泊した様子が『はて知らずの記』に記されています。また『荒城の月』の作詞で有名な仙台生まれの詩人・土井晩翠も、この温泉をこよなく愛した一人です。10月の下旬には紅葉が見頃を迎え、露天風呂からは錦秋に染まる山々と紅葉を映す広瀬川を望み、そして湯面にもほんのり秋の色が。その景観とともに、「美女づくりの湯」と呼ばれるしっとりなめらかな湯を堪能しましょう。
文/鈴木阿由美
- 泉質/
- ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉/低張性弱アルカリ性高温泉
- 効能/
- 美肌効果・便秘・不眠症など





宮城峡蒸溜所周囲を森と川に囲まれた自然豊かな場所にあるニッカウヰスキー仙台工場 宮城峡蒸溜所。新川の伏流水から生まれるウイスキーの製造工程を見学できる。ガイドツアーは予約制。ギフトショップのみの来場も可。



200余年の時が刻まれた
作並温泉発祥の宿
作並温泉発祥の宿
元湯 鷹泉閣 岩松旅館

広瀬川の渓谷沿いに建つ、寛政8(1796)年創業の老舗旅館。作並温泉で最も古い歴史を持つ宿です。創業当時の趣が残る名物の「天然岩風呂」は、地下1階からさらに88段の階段を下りた広瀬川の渓流沿いにあります。谷底の岩をくり抜いて造られた4つの湯船は、それぞれ泉質が異なる自噴かけ流し。目の前に四季折々の渓谷美が広がり、多くの文化人にも愛されてきました。「天然岩風呂」は混浴ですが、女性専用の時間もあるので安心。レトロな雰囲気が漂う木造建築の宿は、旧館の広瀬館と新館の青葉館に分かれており、全91室。夕食は部屋食、和ダイニングでの和食膳、ビュッフェの3つから選ぶことができ、おすすめは和食膳です。素材からこだわった料理がいただけます。
住所/宮城県仙台市青葉区作並温泉元湯
電話/022-395-2211
作並の滞在型リゾートで
渓谷美と温泉を満喫
渓谷美と温泉を満喫
ゆづくしSalon 一の坊

館内の飲食・アクティビティ・イベントなど、多彩なサービスが魅力のオールインクルーシブの宿。温泉は大浴場のほか、清流に手が届きそうな「広瀬川源流露天風呂」、秘湯を思わせる「鹿のぞきの寝湯」、ぬるめで長湯ができる「自然風呂」など8種類あり、3種類の自家源泉から湧き出る豊富な湯が注がれています。大浴場から露天風呂までの道のりも、四季折々の景色を楽しめるスポットです。客室は清流館と温泉倶楽部の2つの棟に分かれ、清流館は純和室、温泉倶楽部は和洋室を用意しています。夕食はビュッフェスタイル。目の前で調理されるライブビュッフェで、料理をする音や香りを楽しみながら作りたての料理がいただけます。
住所/宮城県仙台市青葉区作並字長原3
電話/0570-05-3973