伝わる文章とは? 表現のコツを学ぶライター講座「大阪と食」
旅色LIKESレポーターのERIです。7月28日に旅色LIKESのイベント「ライター講座」が初めて大阪で開催されました。今回の講師は、2回目の登場となる『あまから手帖』編集長・江部拓弥さん。「大阪と食」をテーマに課題を提出し、添削いただいた内容の解説と文章の構成や表現のコツなどを教えてもらいました。講義を聞いて、読み手に伝わる文章を書くことの難しさを知りました。講座の様子をお伝えします。
目次
『あまから手帖』編集長・江部拓弥さんに学ぶライター講座
毎回楽しみにしているライター講座は、ゲスト講師を迎えてライティングのコツを学べる旅色LIKES主催のイベントです。今回は、『あまから手帖』編集長の江部拓弥さんに、事前提出した800wの原稿を添削・解説していただけるという貴重な機会でした。文章を書くうえで基本となる部分や伝わる文章にするには? など学びのある講座となりました。
提出された文章はそれぞれの特徴で5つに分類
だれでも書きやすいようにと、江部さんが設定したテーマが「大阪と食」。初めて大阪に行った時の出来事や印象的な食べ物を思い出してみましたが、関東人の私は何を書いたらいいんだろうと考えました。昔、地元の埼玉で食べた「うどんすき」を思い出し、「大阪の味を初めて知ったのは埼玉だった」という切り口にすることに。前回の講座の、文章の固くしすぎないことや指示形容詞を使いすぎないことなどのアドバイスを参考に書いてみました。
提出した文章は、「思い出系」「ソウルフード系」「自分の文章で書いてください系」「もったいない系」「変化球系」の5つに分類されて解説していただきました。
どんな添削されるのかドキドキしながら提出した原稿です。わたしの文章は「思い出系」でした。文章を抜粋しながら江部さんから頂いたアドバイスを一部紹介します。
<江部さんからのコメント>
・大阪時代の話から始めた方がテーマに沿った原稿になるので「私が大阪の味を〜」でスタートしたいですね。
・うどんが一文の中に2つあります。 同じ言葉が何度も出てくると、もたっとした文章になりがちになるので、前後を入れ替えてみるといいです。接続詞を使わないようにすると工夫が生まれ、文章に奥行きが出てきます。
≪江部さんからのコメント≫
・「埼玉北部が」は唐突に登場するので、整理してみましょう。
・指示形容詞が頻出しています。できる限り使わないで文章を書くことを意識してください。使わずに書くようにすると、文章を書く際により考えるようになるはずです。
無意識に使ってしまっていた指示形容詞も、指摘され、読み返してみると使わなくても伝わることに気づきます。
他の方の課題を見たり、解説を聞いていても学びになることが多々ありました。例えば「文章の中で突っ込みどころをなくす」こと。読み手に不完全な感情を持たせると、次を読もうと思われなくなってしまします。また「変化球系」に分類された中に、お笑いの掛け合いのように会話文のみで構成されていたインパクトのあるものもありました。会話調の場合は、1文をできるだけ短くすることでテンポよく読みやすくなり、臨場感やスピード感のある楽しい文章になります。
私が特に身に染みたのは「客観的に読んでみるということが大事」ということ。よく見返さなかったことが、文章に表れてしまっていて、今読み返してみると文章の組み立て方も反省ポイントがたくさん……。江部さんにまんまと見抜かれ、痛いところを突かれました。読み返しは必要ですね。
さいごに
江部さんは「文章を書くことに正解はない」とお話ししていました。たしかに表現の仕方は様々で、世の中にあふれる情報の中からどうやって自分の記事に読者を引き込むかが大切になってきます。今回のライター講座の学びも活かし、読む人がどう思うかを意識した文章を書けるように心がけていきたいと思います。江部さん、たくさんの学びをありがとうございました。
◆江部拓弥さん
1969年、新潟県三条市生まれ。高校卒業を機に上京。大学を卒業後、プレジデント社に入社する。『プレジデント』編集部などを経て、2013年より『dancyu』編集長。2018年にdancyu web編集長。dancyu webを立ち上げ、2020年からはクロスメディア編集長、2023年からはあまから手帖編集長として、食の書籍などを手掛ける。ベースボールとカレーライスとロックンロール好き。