鹿児島県、南に突き出した大隅半島の
東側に位置する肝付町。
中央に標高900m級の肝属(きもつき)山系が横たわり
町土の9割を山林が占める自然豊かな町です。
神話が息づく、いにしえからの伝承の地でありながら
ロケットが飛び立つ宇宙科学の最前線!
過去と現在、そして未来を一度に感じる肝付町で
その魅力にたっぷりと触れる旅を
真矢ミキさんが案内します。
984(永観2)年創建と伝わる古社。「四十九」という名は、ここに合祀された祭神の総数が計49柱であることに由来します。社殿を背にまっすぐ伸びる道路は約330mにわたり左半分が未舗装のまま残され、毎年10月第3日曜に奉納される流鏑馬の舞台に。900年余り受け継がれる伝統行事で、射手に選ばれた少年が馬上から矢を放つ勇壮な姿は一見の価値あり! 社務所では、流鏑馬のイラストが描かれた絵馬も販売しています。
電話/0994-65-2938
国の重要文化財にも指定されている江戸時代の郷士の住居。1810(文化7)年頃の建築といわれ、日中国交正常化に尽力した政治家・故二階堂進氏の生家でもあります。客間棟「おもて」と日常の暮らしのための棟「なかえ」で構成され、これら二棟が直交した雁行型の寄棟造りが特長です。薩摩藩の茅葺きの武家屋敷で現存するものは、他に2例しかないのだとか。丘陵を背景に造られた庭園も見事。
電話/0994-65-0170(肝付町立歴史民俗資料館)
時間/9:30~17:00
休館日/月曜日(祝日の場合は開館)
入館料/300円
4代続く大衆食堂。昭和レトロな旧店舗から向かいの新店舗へと移転こそしたものの、長年愛されてきた味はそのまま。地元の新鮮な食材を使った定食や丼物、麺類などがいただけます。一番のおすすめは魚フライ定食。町内の漁港で水揚げされた地魚のフライはホクホクで、地元産米のごはんとの相性バツグン。ボリュームに驚きつつもペロリとたいらげてしまうこと間違いなし!
電話/0994-65-2128
時間/10:30~17:00
定休日/日曜日
前方後円墳5基と円墳54基が田園地帯に点在する、国指定史跡「塚崎古墳群」のエリア内にある資料館。1階には肝付町の古民具を展示。2階では、塚崎古墳群からの出土遺物を中心に、数多くの考古資料を見ることができます。出土品のなかには軽石製の組み合わせ式石棺などもあり、見ごたえ十分。
電話/0994-65-0170
時間/9:00~16:30
定休日/月曜日・祝日、年末年始(12月28~1月4日)
入館料/無料
日本最南端の前方後円墳を含む59基の古墳からなる塚崎古墳群。その第1号墳に根を下ろしたクスノキは高さ約25m、幹周り約14mもあり、樹齢はおよそ1300年。塚崎大塚神社の神木として地域の崇敬を集め、国の天然記念物にも指定されています。根元から地下にかけて大きなほら穴があり、中には大蛇が棲むという伝説も。見に行くというより「会いに行く」感覚で訪ねたい、注目のパワースポットです。
電話/0994-65-0170(肝付町立歴史民俗資料館)
テイクアウト専門のスティックチーズケーキの店。オーストラリア産の濃厚なクリームチーズと、地元内之浦産の地鶏の卵を使用。研究を重ねてたどり着いたという、とろけるようなやわらかさとまろやかな味わいが評判です。その場でいただいた真矢さんも「口の中でふわっととろける! 丁寧なお仕事ですね」と大絶賛。店内に多数飾られているオーナーのトールペイント作品にも心惹かれたようでした。
電話/0994-65-2010
時間/11:00~18:00
定休日/木曜日、第3日曜日
肝属(きもつき)川の支流のひとつ、荒瀬川の下流にある滝。3段になった岩肌を豪快に滑り落ちる滝は、高さ約5m、幅約30m。真夏でも水は冷たく、水量豊富でマイナスイオンたっぷり。涼を求めて多くの人で賑わいます。地元の子どもたちの水遊び場としても人気です。この滝の周辺には、妖怪「一反もめん」が出没するという言い伝えも。
電話/0994-67-2888(肝付町観光協会)
国の登録有形文化財にもなっている、1949年に建設された木造平屋建て校舎。2012年に休校となってからも地域の人たちの手できれいに保たれています。当時の姿そのままで、懐かしい時代にタイムスリップしたような気分に。ここ川上地区は日本の原風景が残る場所。周辺には川上神社の鎮守の森につくられた遊歩道や滝などもあり、散策にもおすすめです。
電話/0994-65-7807
(川上やまびこ館)
※内部の見学は要問い合わせ
標高約187mの叶岳。肝付町役場内之浦支所の裏手から山頂まで、1000段の階段が続きます。内之浦湾を一望できるボードウォークは555段目の場所に。絶景を眺めながら「叶えの鐘」を鳴らしてみては? 宿泊施設「コテージ叶岳」や体験交流施設「森の学舎 木遊館」(有料、要予約)をさらに上った山頂には、景行天皇を祀る石祠と叶嶽(かのうだけ)神社も。ボードウォークや山頂付近へは、車でもアクセス可能です。
電話/0994-67-3055(木遊館)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設で、世界でも珍しい山地に設置されたロケット発射場。大小400機以上のロケットと40機近い人工衛星・探査機を打ち上げ、その追跡・データ取得を行っています。小惑星探査機「はやぶさ」も、2003年にここから打ち上げられました。敷地内には、試作・試験品の実物なども見られる宇宙科学資料館も。宇宙ファンにはこたえられないスポットです。
電話/050-3362-3111
時間/8:30~16:30
定休日/打ち上げ時以外は原則年中無休
入館料/無料
※入場ゲートで手続き後、マイカーで敷地内を見て回ることができます。
内之浦宇宙空間観測所の向かいに2019年8月にオープン。JAXA公式宇宙グッズや宇宙食、オリジナルグッズなどが多彩に揃い、おみやげ探しにぴったりです。「ひとひねりあるグッズばかりで楽しい!」と、真矢さんも夢中でお買い物。店内には肝付町や大隅半島の観光案内コーナーも。ソフトクリームやドリンクのテイクアウトもできます。
電話/0994-45-7371
時間/10:00~16:30(季節により変動あり)
定休日/水曜日
内之浦漁港で水揚げされた伊勢エビと、こだわりぬいて選んだ地魚が味わえる活魚料理の店。9月~翌4月の伊勢エビ漁期には、活造りやボイルなどの贅沢な料理が目玉に。店内の生け簀から、その都度水揚げして調理する伊勢エビは新鮮そのもの。9~10月に実施される「えっがね(伊勢海老)祭り」も要チェック!
電話/0994-67-2623
時間/11:30~14:00、17:00~22:00(LO20:00)
定休日/不定休
国道448号線を南下し、まず目指すのは岸良(きしら)海岸。南東に開かれたこのエリアは肝付町でもっとも南国を感じさせる場所。真っ青な太平洋が広がります。少し先には、美しい海岸線を眼下に見渡せる岸良展望所も。さらに車を走らせ、船間漁港からは県道74号線で辺塚(へつか)海岸へ。手つかずの自然が残る広い砂浜はまさに“秘境”の趣。どちらの海岸も、初夏にウミガメが産卵に訪れることで知られています。
住所/肝付町岸良浜
電話/0994-67-2888(肝付町観光協会)
辺塚海岸
住所/肝付町岸良辺塚
電話/0994-67-2888(肝付町観光協会)
山あいの自然に包まれた、純和風の佇まいの温泉施設。泉質はアルカリ性単純泉。神経痛や切り傷、やけどなどを癒す“薬湯”として、藩政時代より賑わっていたという湯治場です。食事処も併設され、近くの漁港から早朝に仕入れる新鮮な海の幸を使った料理が自慢。宿泊もできます。
電話/0994-34-6161
時間/10:00~21:00(冬季は~20:00)
定休日/不定休
入浴料/300円
毎年8月14日に開催される「夏越祭」で、肝付町で600年以上続く伝統行事です。岸良地区・平田神社で神事を行った後、岸良海岸で神舞(かんめ)を披露し、海神に奉納。最後に観客も加えて茅縄くぐりを行い、地区民の除災・招福を祈願します。近年では、神舞の踊り手や祭り当日のサポート役を町内外から広く募る取り組みも行われています。
色鮮やかな狩衣をまとった少年が、駆ける馬上から的をめがけて矢を放つ伝統の儀式「流鏑馬」。毎年10月に行われる四十九所神社の流鏑馬は、五穀豊穣などを祈願し奉納されます。12世紀前半頃から始まったこの神事は900年以上の歴史を持ち、同時に「やぶさめ祭」が開催されるなど、町をあげて盛大な賑わいを見せる伝統行事です。
「えっがね」とは、伊勢エビのこと。鹿児島県内でもトップクラスの漁獲量を誇る肝付町の伊勢エビは、その味も抜群。祭り期間中は、町内の飲食店が特製のえっがね料理を提供し、バラエティー豊かなメニューを楽しむことができます。さらに秋には内之浦港で、えっがね味噌汁の振る舞いなどのイベントも開催されます。
「えっがね祭り」期間中の9月の土日限定で、クルージング体験を開催。内之浦と海のことを知り尽くした船頭さんのガイドを聞きながら、海上からの眺めを楽しむことができます。伊勢エビ料理とあわせて肝付の自然を満喫してみては。
料金/大人2,000円、高校生以下500円、未就学児無料
予約・問合せ/0994-67-2888(肝付町観光協会)
※音が出ます