真矢ミキ スペシャルインタビュー

江戸時代の武家屋敷や長い歴史を持つ伝統行事、宇宙科学の粋を集めたロケット発射場まで。肝付町の豊かな自然に包まれ点在する見どころは、なんと幅広くて奥の深いこと!受け継がれて来た歴史も、未来へ続く夢も町を巡って垣間見た真矢ミキさん。時を超えたスケールに圧倒されたようでした。写真/藤原晋介 スタイリスト/佐々木敦子 ヘアメイク/小澤久美子 文/相田玲子

桜島のある錦江湾を挟んで向かい合う、西の薩摩半島と、東の大隅半島。肝付町は、その大隅半島の東側に位置する、温暖な気候に恵まれた町です。南東部には約50kmにもわたって続く美しい海岸線を有し、中央部に連なる肝属山系に源を発する多くの川や滝が、豊かに大地を潤しています。
宝塚歌劇団員時代から鹿児島には縁があったという真矢さんですが、大隅半島へは初めて。あえて予備知識を入れずに、感じるがままに旅した肝付町について、「流鏑馬だったりロケットの打ち上げだったり。希望と夢をのせて、何かを飛ばす町なんだなって。それが印象的でした」と語ります。「人が温かくて、景色がきれいで、食べ物がおいしい。それだけでも十分魅力的なのに、聞けば建国神話ゆかりの地で、長い歴史と伝統があり、さらには最先端の科学技術まで! ゆっくり流れる時間の中で、過去・現在・未来がつながっている。こんな場所って、そうはないんじゃないかしら。控えめで、全然ひけらかさないんだけど、実はすごい力がある町。知ってしまったからにはもう、私がひけらかすしかないですね(笑)」。

Special Interview Miki Maya
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ロケットや宇宙を身近に感じられるのは、この町にJAXAの内之浦宇宙空間観測所があるから。真矢さんはドラマ『下町ロケット』で、主人公の元妻、宇宙科学開発機構の研究者を演じています。もともと宇宙は大好きで、「冗談抜きで、実は天文学者か考古学者になりたかった」のだそう。初めて目にしたロケット整備塔と発射装置に興奮の面持ち。「発射台は海岸にあるイメージだったけど、山の中腹なんですね。少しでも天空に近いところから飛ばすっていう意味もあるのかしら。あと、こんなにも美しい太平洋と空を眺めたのは初めてかもしれない。ここに造ろうと決めたのも、なんだかわかる気がしました。そりゃあこの場所に立ったらそんな夢も見るよねって」。
内之浦の美しい海を見たあとには、おいしい海の幸を求めて活魚料理の店へ。豊かな漁場に恵まれた肝付町は、伊勢エビ漁が盛んなことでも知られ、その漁獲量は県内トップクラス。伊勢エビのことを地元では「えっがね」と呼んでいます。真矢さん、活造りを口に運んで「ぷりぷりですね。甘みがあって歯ごたえもしっかり。なんて贅沢なの!」と感激をあらわに。「私、お刺身が大好きなんですよ。九州の甘いお醤油も、家に常備しています。宮崎出身の夫の影響ですね。もうこのお醤油じゃないと物足りなくて」。

Special Interview Miki Maya
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肝付町には、長い時間受け継がれてきた歴史も残っています。旅の最初に訪ねた郷土の産土神、四十九所神社もそのひとつ。階段の上で待ち受ける社殿は、竹林の緑を背景に、古色を帯びた赤の色が印象的で、屋根も緑の苔に覆われて静寂の中に佇んでいました。「ああ、すがすがしい」とつぶやく真矢さん。「緑と赤の世界! 歴史を重ねた厳かな空気を感じますね」。参拝を済ませ、絵馬を奉納。今にも雨が降りそうだった空は、いつの間にか陽が射すほどに。さすが、自他ともに認める究極の晴れ女です。
社殿を背に振り返れば、鳥居からまっすぐ南に伸びる道。毎年10月、この道が馬場となり、五穀豊穣を願って流鏑馬が奉納されます。色鮮やかな狩衣をまとった馬上の射手の写真を見た真矢さん、選ばれてその任に就くのが13歳の少年と聞き、興味津々。「馬に跨るだけで大変なのに、手を放して矢を射るなんて! 短期間でできるようになるものなんですか? 華やかな伝統行事、いつか見に来たいな」。

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江戸時代の郷士の館、二階堂家住宅にも見学へ。茅葺きの建物を2棟つなげた、この地方に特徴的なお屋敷です。田中角栄内閣で官房長官を務め、日中の国交回復に尽力した故二階堂進氏の生家でもあります。「ちゃんと保存されていて、こうして見られるのっていいですね」と真矢さん。「現実を目にしているはずなのに、過去にばーっと引き寄せられる気分です」と感慨深げに、昔の知恵が随所に詰まった建物の中を見て回りました。
さらに時代をぐっと遡り、古墳時代へ。町内には4~5世紀頃のものと推定される塚崎古墳群があります。その第1号墳の上には、樹齢1300年といわれるクスノキが。整備された木道に導かれ、大樹の前にやって来た真矢さん。しばし息をのみ、その威容をただ見つめていました。「どんな時代を見てきたんでしょうね、この大先輩は……」と、周囲約14mもある太い幹にそっと手を。「この木の下ではきっと、ちょんまげを結ったお侍さんが休んだこともあるのよね。そう考えるとすごい! 想像力をかきたてられます。見上げていると初心に返って、私も丁寧に生きようと思えてきますね」と、町に息づく歴史に触れ、思いを新たにしたようです。

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真矢ミキ

1着目/ジャケット160,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、ニット29,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、スカート49,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、帽子7,400円(CA4LA 03-5775-3433)、バッグ35,000円(PLINIO VISONA|プリオニヴィソナ 03-3239-0341)、イヤリング(Forevermark|フォーエバーマーク 03-6261-5080)、靴(スタイリスト私物)

2着目/コート189,000円(PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、シャツ62,000円 (PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、パンツ58,000円(PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、スカーフ28,000円(wb|ダブルビー 03-6861-7688)、帽子11,000円(CA4LA 03-5775-3433)、ショルダーバッグ70,000円(TILA MARCH|ティラマーチ 03-3239-0341)、イヤリング256,000円(NINA RICCI|ニナ リッチ 03-3847-9903)

※表示価格はすべて、税抜表示となります。

真矢ミキ
Profile
1964年1月31日生まれ。元宝塚歌劇団花組男役トップスター。独自のアイデアや幅広い活動で「宝塚の革命児」と呼ばれ、一時代を築く。退団後1999年に女優デビューし、数々のドラマや映画、舞台に出演。2015年3月より4年半、朝の情報番組『ビビット』(TBS)のMCを務めた。2019年11月、自身初のセリフ劇『正しいオトナたち』主演で5年ぶりに舞台復帰。2020年3月28日(土)21:00~22:30放送のリバイバルドラマ『居酒屋兆治』(NHK BSプレミアム)では、兆治の妻・茂子を演じる。