「日の入り」×「干潮」が魅せる鏡のような世界に圧倒 夕日撮影におすすめのスポット4

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2019.01.15

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「日の入り」×「干潮」が魅せる鏡のような世界に圧倒 夕日撮影におすすめのスポット4

目次

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日の出は尊い先生で、日の入りは飲み仲間

石垣島「名蔵湾」の太陽劇が神秘的すぎる

きっぱり別れた潮溜まりがかっこいい徳之島「瀬田海海浜公園」

沖永良部島「正名ビーチ」の異国情緒が海面に映る

沖永良部の名前のない浜で天女の羽衣を空と海に見つける

前回は日の出の撮影条件で好きなパターンのお話をしました。「日の出×朝瀬×干潮」です。今回は、それを日の入りに当てはめるとどうなるか……沖縄県の石垣島、鹿児島の徳之島、沖永良部島からお届けします。

日の出は尊い先生で、日の入りは飲み仲間

個人的には、日の出にはいろいろ与えられている気分です。清々しく元気をいただきます。あらゆることの初心に返る気分になれて、頭がクリアになるのが偉大だなぁと思います。まぁ寝ボケがクリアになるだけかも説もありますが(笑)。ともかくまるっといろんな気づきを与えてくれる尊い時間です。

夕日には、どちらかというと太陽と仲間気分を抱いてます。

こちらの動画は、石垣島の「名蔵湾」で撮影したもの。太陽に対して「今日も1日おつかれさま~」と思うように、自分にも同じ言葉を投げかけて、これからゆったり飲んじゃっていいかもしれない時間にワクッとするんです。もちろん美しい夕焼けに絶大な癒しを与えていただくんだけど、なぜか夕焼けと同じ目線になるんですよね。

石垣島「名蔵湾」の太陽劇が神秘的すぎる

浅瀬に太陽の光が反射するのを拝むには、朝なら東、夕方なら西の海に行くのがわかりやすいですね。でも、この石垣島の名蔵湾のように、朝も夕も神秘的な光に輝く場所もあります。湾の大きさ、島の大きさ、山の高さ、その日の太陽の光具合など、もろもろの条件が重なってのことだと思いますが、「名蔵湾」はそんな意味でミラクルな場所なのではないかと思えてしまいます。朝も夕も、本当に美しい。

なんだか塗り絵みたいでしょ。海一帯がピタッと止まって海ではないみたい。ガラスの板でも敷き詰められているような。ところでこれが、かなりの広範囲の様子ってわかりますか? 陸地の奥の線が揺れているけど、あれは山なんです。とすると、このピタッと現象がどれだけ広くに及んでいることでしょう。 すごい、すごい、名蔵の鏡。

「名蔵湾」はとっても大きな湾だから、どこから浜にでるかでも様子が変わります。わたしが大好きなのは、写真の真ん中に見える名蔵アンパルというマングローブのある干潟から湾に出たところ。名蔵大橋の下です。

ここはいつも劇的で。広い広い湾の向こうにうっすら見える島影は西表島。山と森で目いっぱいの大自然島には、しょっちゅうモクモクと盛大に雲がかかっていて、あそこからの雲がまた、劇的な印象を強めてくれるんですよね。

しかも、ヒタヒタまで潮が引くので、こうやって歩き回ることもできちゃって。鏡の上を右に左に、夢みたい。

こちらはまた別の日、太陽が2つになりました。雲がいつもどおり劇的な分、引きすぎなくらい引いて石がゴロゴロ見えるワイルドでぶっきらぼうな鏡がよく似合います。迫力のありあまる普段見ない光景に、ここは魔界なんじゃないかと思えてしまうんです。

「名蔵湾」は、自分を魔界にすら佇ませることのできるところ。どんな物語でも始められそう……。

きっぱり別れた潮溜まりがかっこいい徳之島「瀬田海海浜公園」

奄美群島の徳之島では、南西海岸にある「瀬田海海浜公園」が大好きです。

手前が潮溜まりで、向こうが本格的な海です。わかりやすい二重構造でしょ。干潮のとき、潮溜まりの海面はピタッと止まり鏡になって、空をきっぱり映し込み、いろんな表情を披露してくれるんです。

この日は、淡く淡く、ふわふわで。とりまく世界が総出で「ゆるめゆるめ」と言ってくれてるみたい……全身から力が抜ける心地よさを感じながら、低空飛行できれいに見える角度を探して飛ばしましたよ。なんだか、全てのこと・もの・生き物に降りそそぐ太陽の優しさに、ひれ伏すようなフライトでした。

日々夕日を追っていると、こんな完璧な日もやってくるんですね。太陽は何にも遮られず、のびのびと、はるか彼方の地球の裏へスーッと収まっていきました。

そのときの潮溜まりったら! 水平線あたりの赤をまるっと反射して、まるで超絶滑らかなレッドカーペット。もしあそこに立ったなら、体が勝手に動いてスーッとムーンウォークしてしまいそうです。

沖永良部島「正名ビーチ」の異国情緒が海面に映る

奄美群島の沖永良部島は、ナイキのロゴのような形をしています。細い方が東(和泊町)、太い方が西(知名町)になっているので、夕日撮影にばっちりな位置関係のビーチが多いです。

なかでも、NHK大河ドラマ「西郷どん」の撮影地にもなった「正名ビーチ」は、小さな浜でプライベート感たっぷり。岩がポコポコとあってどこか不思議、異国情緒の漂う場所でもあります。おにぎりでも持ってきて、いつもと違う空気感をぼんやり味わいたいような気分になっちゃいます。

そんな海辺には、干潮の時に潮溜まりができるから、潮見表を確認しながら夕暮れに出かけるのを楽しみにしているんですよ。干潮時の海面はピタッと止まり、たとえうっすら焼けの空でも、海面にはバッチリ映り込みが……。

こういうちょっとぼやけた夕焼けは、とっても心を穏やかにしてくれます。「えらいもの見てやるぞ!」という期待をしないで済むというか。期待にドキドキしたいけど、ドキドキしない安堵も最高というか。とてもナチュラルに世界を受け止められて、ドローンを操作している自分自身とドローンの一体感も上がるんです。

鏡のようにどこまでも反射し続ける穏やかな海の上スレスレを自分自身が飛んで覗いているような。うっとりでしかありません。

沖永良部の名前のない浜で天女の羽衣を空と海に見つける

離島には名前のついていない浜もたくさんあります。地図を見ながら探したり、地元の人に聞いたりしてそんな場所を見つけられると、ちょっとした達成感があるんですよね、「新大陸発見!」的に。いやいや名前がないだけでそれは多くの人が訪れているんですよ(笑)。

さて、ここもそんな浜のひとつで、沖永良部の知名町にある屋子母海岸から、少々北に上がったところにあります。

ここの潮溜まりは横に長いんです。周りに追突の危険のある岩はありません。波がないので波をかぶる心配もありません。ピタッと止まった冴え渡る海面を、スイースイー前に後ろに、高く低くのびのび飛ばせるからか、ここで飛ぶときはいつも、絶景を撮影というより、絶景の中でラジコンを楽しんでいる気分になるんです(笑)。

太陽は、夏の時期はより北寄りに沈み、冬は南寄りに沈みます。このときは北寄りに沈む夏。南西側を向いたら、北西のオレンジの光が反射して、優しい優しい、ピンクのヒラヒラが空と海にありました。

空と海の流れるようなヒラヒラ……見とれていると「あぁこれが天女の羽衣か」と妙に納得してしまいました。普段、決して思い出さないフレーズがふと頭に浮かんでしまうくらいですから、八百万の神を信じていたその昔なら、なるほど「天女の羽衣伝説」が日本各地に生まれそうなものですね。勝手な推測ですが(笑)。


日の出・日の入りって、特別な行事ですよね。毎日訪れるミラクルな時間。夜の黒い空、昼間の青い空が、ほんのいっとき太陽の光の色に染められるって、改めて考えるとなんてこと。時空をまるっと交換する合図のような。特に夕日には、ついつい同じ目線で声をかけたくなるのです。同志のような夕日に一目会いに、足を運んでみてください。

Author

ドローン旅作家 とまこ

ドローン旅作家

とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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