新型ハイブリッド特急で行く岐阜・飛騨高山の旅

岐阜県

2022.09.20

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新型ハイブリッド特急で行く岐阜・飛騨高山の旅

愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かける私は、こよなく愛する鉄道で絶景巡りをしています。今回は新型車両がデビューした特急「ひだ」に乗って飛騨高山に向かい、魅力をご紹介したいと思います。

目次

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新型特急「ひだ号」デビュー!

飛騨へ誘う快適な室内をご案内

川を眺めながら高山を目指す2時間半の旅

飛騨の小京都、高山散策へ

「天領」高山を治めた代官所・高山陣屋

今後増便されるHC85系に期待!

新型特急「ひだ号」デビュー!

2022年7月1日、名古屋と飛騨を結ぶ特急「ひだ」に新型車両がデビューしました。飛騨方面へは2~3年に一度、雪深い冬に行っているのですが、夏の飛騨に行くのは久しぶり。ちょうど新型車両のデビューとも重なったいい機会だと思い、飛騨の中心地「高山」に向かうことにしました。

ポスターの行列に力の入れ具合を感じます。

ポスターの行列に力の入れ具合を感じます。

JR名古屋駅の11番ホームは壁にポスターを連張りするPRぶり。JR東海の新型特急の導入は久しぶりで、力の入っているのでしょう。

デビューして1ヶ月。外装もキレイです。

デビューして1ヶ月。外装もキレイです。

HC85系と呼ばれるこの車両。主電動機を介してエンジン1台と主蓄電池の電力で走行するハイブリッドシステムの車両です。近年九州や東日本などでハイブリッド型車両が増えてきましたが、JR東海にもいよいよお目見えすることとなりました。主蓄電池を使用することで従来の気動車(※1)に比べてCO2排出量を30%削減することができるそうです。

※1 人や荷物を載せる場所があり、熱機関を搭載して自走する鉄道車両

飛騨へ誘う快適な室内をご案内

ほぼ1時間に1本運行。高山本線は富山駅にはいる唯一のJR在来線でもあります。

ほぼ1時間に1本運行。高山本線は富山駅にはいる唯一のJR在来線でもあります。

わたしの乗車する「ひだ1号」は7:43に名古屋駅を発車。すべての「ひだ号」がHC85系で走るわけではなくまだ3往復のみ(2022年8月6日現在)。近い将来増車され旧車両を入れ替えていく予定ですが、現状観光に適している時間帯に名古屋を発車するのは特急「ひだ1号」のみ。頑張って早起きして列車に乗り込みます。

それでは車内をご紹介しましょう。普通車の座席は紅葉や祭り、花火をイメージしたオレンジのグラデーション。肘掛部分にはコンセントが設置されていてPCや携帯の充電もばっちりです。

デッキは広々としていて落ち着いた木目調。多目的トイレも充実しておむつ替えスペースも装備。お子様連れの旅も安心です。

グリーン車のデッキには美濃和紙を使用した岐阜団扇

飛騨を代表する工芸品一位一刀彫も展示

デッキは機能面だけではなく、岐阜団扇(ぎふうちわ)や一位一刀彫(いちいいっとうぼり)など美濃飛騨の特産品を展示する「ナノミュージアム」もあります。旅先への期待を膨らませてくれます。

川を眺めながら高山を目指す2時間半の旅

名古屋を出た列車は岐阜から高山本線に入り、右に左に川を眺めながら高山に向けて北上していきます。鵜沼(うぬま)付近では木曽川、美濃太田を過ぎると飛騨川に沿って走る高山本線。沿線は飛水峡(ひすいきょう)など景勝地も多く、その付近を通るときには地元の高校の放送部による沿線ガイドが流されます。地域に密着している感じがあります。

日本ラインと呼ばれる木曽川

景勝地も多い飛騨川

飛騨川のほとりに広がる日本三大名泉の下呂温泉

中山道太田宿で有名な美濃太田や日本三大名泉の下呂に停車したのち列車は終点高山に10:16に到着。デッキなど列車の中を少し探検しながら景色も楽しめば2時間半はあっという間です。

定刻に高山到着。快適な旅をありがとう、また会いましょう!

定刻に高山到着。快適な旅をありがとう、また会いましょう!

電力供給状況もモニターで表示。ハイブリッド車両であることがPRされています。

電力供給状況もモニターで表示。ハイブリッド車両であることがPRされています。

従来の気動車特急はガーッというディーゼル音がうるさく、難点でした。特に発車時は音のほかに駅に独特のにおいが残ります(私は結構この音もにおいも好きなんですが)。それがHC85系では解消され、加速も滑らか。電車と比べてもひけを取りません。振動も少なくて快適に過ごすことができるようになりました。

ひだ号は並行して走る東海北陸道のバスと激しい競合をしています。所要時間もあまり変わらないので運賃を考えればバスに軍配が上がりますが、HC85系にはバスにない快適さがあります。

飛騨の小京都、高山散策へ

高山駅は2016年にリニューアル。スタイリッシュなデザインの飛騨の玄関口です。

高山駅は2016年にリニューアル。スタイリッシュなデザインの飛騨の玄関口です。

途中雨も降っていたんですが、高山では天気も回復して夏空が広がっていました。飛騨の小京都、高山の町を歩いてみることにします。

高山観光といえばまずはここ! というのが高山駅から徒歩約10分の上三之町(かみさんのまち)。高山市三町伝統的建造物群保存地区に指定されているこの地域は江戸時代からの町人町の美しい街並みが残っており、老舗料理屋や酒蔵、伝統工芸品のお店などが残っているのです。

うさぎにちなんだ雑貨を多く取り扱う「うさぎ屋」 かわいい雑貨に目移りしてしまいます。

飛騨といえば飛騨牛! 外のカウンターから手軽に飛騨牛握りを注文できます。

古民家カフェも多い高山。冬にここでコーヒー飲んで暖を取った思い出があります。

青いアサガオが彩を添える上三之町。日本の夏!といった感じです。

古い街並みをそぞろ歩きながら、民芸品などを見て回ります。小腹がすけば飛騨牛の牛串やお団子を食べながら散策できます。

プリンソフトも人気のプリン亭。

さるぼぼっぽい子がスプーン持ってるのがかわいい。特別な卵を使って白くなめらかなプリンに仕立て上げてるそうです。

わたしは上三之町の南にある「高山プリン亭」で大雪プリンを食べました。

◆高山プリン亭
住所:岐阜県高山市上三之町95
電話:0577-70-8490
営業時間:10:00~16:00
定休日:不定休

甘いものを食べたら、次は酒!

これは一例。たくさんあって目移りしちゃいますね。

次にやってきたのは「原田酒造場」。こちらでは地酒の販売はもちろんですが、コインを購入して利き酒を楽しむことができます。おちょことメダルを買って好きなお酒のボタンを押すと一定量のお酒が出てきます。少しずつ多くのお酒を楽しみたい方にはおすすめです。

◆原田酒造場
住所:岐阜県高山市上三之町10番地
電話:0577-32-0120
営業時間:8:30~18:00 ※12~3月は~17:00まで(詳しくは公式HPをご確認ください)

「天領」高山を治めた代官所・高山陣屋

ほろ酔い気分で訪れたのが、高山のもうひとつの看板「高山陣屋」。宮川のほとりに建つ郡代・代官所。日本で唯一主要建物の残る陣屋です。

かつての執政者たちの執務の様子がわかります。

犯罪者を裁く「御白洲」。時代劇では見たことあるかもですが…残酷さを感じる場所です。

高山陣屋のシンボル「真向き兎」は釘隠しとして多数使用されています。どこにあるか探しながら回るのも楽しいですよ。

飛騨は豊富な木材や資源に恵まれた地であるとして目をつけた江戸幕府は高山を1692年から1868年まで江戸幕府が直轄領としました。城は取り壊し、170年もの間ここで政務を行いました。明治に入っても県の事務所としての役割を果たしています。

◆高山代官所
住所:岐阜県高山市八軒町1-5
電話:0577-32-0643
開館時間:8:45~17:00(3/1~10/31)8:45~16:30(11/1~2/28)
休館日:年末年始

今後増便されるHC85系に期待!

私が訪れたのは夏の真っ盛り。山深い高山もとても暑く、町の真ん中を流れる宮川に涼を求める人が多く集っていました。餌やりをすると鯉たちが寄ってきてくれます。

HC85系は12月に「ひだ3号」で富山行にも使用されるようになるなど増便予定。HC85系で旅をするチャンスは増えていきます。豪雪の白川郷や奥飛騨温泉を巡ることができる冬の旅も楽しい高山。春や秋には高山祭もあって1年中楽しめます。新しくなった「ひだ号」で飛騨高山の旅に出てみるのはいかがでしょうか。

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鉄道旅 なお

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なお

とにかく旅好きで暇さえあればリュックひとつでどこかに出かけています。鉄道をこよなく愛し、時刻表はわたしの愛読書。温泉も大好きなので鉄道を使って温泉巡りする、そんな記事が多いかもしれません。最近は絶景めぐりも旅のポイントにしています。みなさんオススメの絶景情報求む!

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