宇都宮市の大谷(おおや)地区で採れる「大谷石」。
太古の火山活動による火山灰が海底で固まってできた岩石で、
色は白っぽく、でこぼこした質感の岩肌が特徴です。
重厚感や趣、ぬくもりを感じられるこの石は、
旧帝国ホテルの建築材に使われたことでも知られています。
市内には、そんな大谷石で造られたレトロモダンな建物が多数。
そのなかでも、大谷石が作り出す静謐な空間で
格別のスイーツが楽しめるカフェをご紹介します。
文/石塚あみ(RUNS)
築約60年の大谷石の石蔵を改装した2階建ての蔵カフェです。店名の「SAVOIA s-21」はジブリ映画『紅の豚』の主人公、ポルコ・ロッソが乗っている飛行艇の名前から。コーヒーシフォンケーキやモンブランなど、オーナーが研究を重ねて作り上げた自家製ケーキの種類が豊富。季節や日によってラインナップが変わるので、どのケーキが食べられるかは行ってみてからのお楽しみです。1階はカウンター席とキッチン、2階席は緑の壁と木製家具を中心としたインテリアが落ち着いた空間を演出しています。外の喧騒を忘れて、研究を重ねたおいしいケーキとコーヒーを味わってもらいたいという、オーナーの想いが込められています。
季節限定のキャラメルリンゴのチーズケーキ(500円~)。自家製キャラメルソースをかけて
ティラミス(500円~)。なめらかなマスカルポーネの口どけとラムの香りが絶妙にマッチ
かつて物置として使われていた建物。洋風に組まれた石壁と赤いオーニングが、まるでヨーロッパの建物のよう。宇都宮市内の住宅街に静かに佇んでいます。
店内にはクラシック調のアンティーク雑貨が飾られています
天井にはライトに照らされた大きな赤松の梁が。蔵の当時の雰囲気を活かしつつ、店主の趣向を取り入れたおしゃれな内装です
café SAVOIA s-21
住所/栃木県宇都宮市今泉2-8-5
電話/028-666-7860
営業時間/11:30~15:00
定休日/月曜日、火曜日
アクセス/JR宇都宮駅西口から徒歩約8分
器店の倉庫として使われていた、築70年の蔵をリノベーションしたカフェ。古民家風のガラスの引き戸を開けると、高い天井と立派な梁、柱は大谷石を使った土台に支えられていて、古き良き日本の建築美を感じることができます。静かで落ち着いた空間で、自家製黒蜜や寒天を使ったぜんざいやあんみつなどの和スイーツを楽しんで。ランチメニューの「柚ランチ」は、季節によって変わるおまかせプレートランチ。好きな飲み物とデザート付きで1,280円です。カフェに隣接するギャラリーには、器店ならではの彩り豊かな器がずらりと並び、カフェで使用している器やお箸もここで購入できます。
アイス抹茶の白玉ぜんざい(680円)。抹茶アイスと、たっぷりの餡子とつるんとやわらかい白玉もちがベストマッチ
抹茶パフェLサイズ(880円)。自家製の抹茶寒天の上にバニラと抹茶アイス、旬のフルーツやシフォンケーキをトッピングした人気メニュー
石蔵の土台には大谷石が使われています。大谷石は、耐震性、耐火性に優れているといわれていて、古墳時代より石壁などさまざまな用途に使われてきました。オーナーの「先人の知恵を感じる空間で、我が家にいるようなくつろぎのひと時を過ごしてほしい」という想いが込められています。
広々としたギャラリーには、贈り物にもぴったりな器がずらり
店内は時代の流れを感じる癒やしの空間
カフェ・ギャラリー柚
住所/栃木県宇都宮市一番町2-17
電話/028-633-3574
営業時間/10:30〜18:00(LO17:00)(ランチは11:30~)
定休日/日曜日
アクセス/JR宇都宮駅から徒歩約10分
築100年以上の大谷石蔵を改修し、茶道を嗜む店主が2023年4月にオープンした日本茶カフェ。茶道ならではの「おもてなし」の精神を大切に、からだに優しい日本茶をはじめとした和スイーツが楽しめます。おすすめは、キジハジモンブラン。和栗をふんだんに使用した、栗の風味がしっかりと感じられるしぼり立てモンブランです。丁寧に点てられたお茶との相性もばっちり。ランチでは、冷やし茶漬けなど季節限定メニューも楽しめます。カフェで使用する抹茶碗は、大谷地区で活躍する陶芸作家の制作によるもので、店の雰囲気や料理とのマッチングも見どころのひとつです。
宇治抹茶ババロア(600円)。濃厚な宇治抹茶のとろりとした口溶けが絶品
抹茶アイスに黒蜜をたっぷりとかけていただくあんみつ(750円)
のれんをくぐると広がる石蔵は、日本人の伝統的な美意識「侘び寂び」を追求しているそう。歴史ある石蔵とシンプルモダンなインテリアを融合させ、時代のニーズに合わせたカフェへ生まれ変わらせました。インテリアは和風と北欧風のスタイルが融合したJapandi(ジャパンディ)スタイルで、家具には時代の流れを感じさせるようにエイジング加工が施されています。
カフェの名前の由来は、七十二候のひとつである「雉始雊(きじはじめてなく)」から。
日本には七十二候という72の季節があるとされていて、季節を感じるゆとりある時間を過ごしてほしいという想いから名付けられました
自然に囲まれたテラス席ではゆったりとくつろぐことができます
キジハジメテナク
住所/栃木県宇都宮市大谷町798-34
電話/028-612-2023
営業時間/11:00~16:30 (LO15:30)
定休日/月曜日、火曜日
アクセス/関東バスJA城山支所バス停から徒歩約10分