手しごとに触れる“クラフト旅”

Special Interview Fumi Nikaido
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  •  Contents
  • Special Interview 二階堂ふみ
  • 文筆家・甲斐みのりさんが教えてくれた 日本の手しごとに出会う“クラフト旅”
  • style 1 民芸館・ショップを訪ねる 松本 [長野県]
  • style 2 工房を訪ねる、体験する 石垣島・竹富島 [沖縄県]
  • style 3 老舗道具店・市を訪ねる 京都[京都府]
  • わざわざ行きたい 立ち寄り温泉のすゝめ 山鹿温泉[熊本県]
  • 旅する食卓~ヨリ子のお取り寄せ日記~ 秋田の曲げわっぱではじめるお弁当!
Special Interview Fumi Nikaido
スクリーンの中でひと際大きな存在感を放つ二階堂ふみさん。俳優の枠を超え、文筆家・写真家など表現者として活躍の場を広げています。そんな二階堂さんが旅に出るのは、「ひとりになりたいとき」。今回初めて訪れた石垣島・竹富島の滞在を通してその土地ならではの手しごとに触れ、旅の醍醐味を語っていただきました。 撮影/塩原 洋 動画/木村知一
スタイリング/菅沼詩乃 ヘアメイク/足立真利子 文/若宮早希

石垣島の印象はいかがでしたか?

沖縄県出身なのですが、石垣島は一度も訪れたことがありませんでした。街なかは想像していた以上に、洗練された都会という印象です。小さい島だけど、活気があってとても賑やかで……。海に行くと、沖縄本島とはまた違った景色が広がっていて、石垣島ならではの個性が感じられました。石垣島からフェリーで行った竹富島には、集落に昔ながらの景色が残されているのが特に印象深かったです。車がない時代に作られたんだろうなと思わせる細い道が続いていて、石垣に囲まれた瓦屋根の古民家が点在していて。これが本当の沖縄の姿なんだと感じました。こんなきれいな景観を保ってくださっている竹富島の方々は本当に素晴らしいと感動しました。

沖縄に来ると、
方言が出てしまうと言っていましたね。

沖縄の空気に触れるとスイッチが切り替わるのか、なまりが出ますね。沖縄は東京に比べるとのんびりした空気があるんです。さらに今回は離島ということで、やっぱり時間の流れが違うなと思いました。竹富島で見た星空もすごくきれいで、スマホを見ることも忘れて過ごしました。植物や生き物などそこにあるものたちの一つひとつが魅力的で、目に焼き付けたいと思う景色がたくさんありました。

印象に残った食べ物はありますか?

沖縄のゆし豆腐が大好物なんです。ゆし豆腐のほかにも、沖縄の野菜やフルーツはやっぱりおいしいなと改めて思いました。海ぶどうやワタリガニなど、海の物もいただきました。旅先で地元のものを食べると、その土地に早くなじめると言いますよね。食も旅の醍醐味のひとつですね。

またプライベートでも訪れたいと
おっしゃっていましたね。

竹富島の町並みは、また訪れてゆっくり楽しみたいと思っています。今は観光業がメインになっているそうですが、島外の企業はリゾート開発するだけでなく住民の方々と一緒に農業に取り組んでいるとお聞きしました。島の自然や文化を尊重して、地元の方と一緒に守っているということが、とても素敵だなと感じました。

ワンピース48,400円(YAN YAN|LYDIA 03-3797-3200)、ガウン12,980円(BIG TIME GARAGE Shimokitazawa 050-3530-1001)、サンダル30,800円(JOJO|H3Oファッションビュロー 03-6712-6180)

今回は「クラフト旅」をテーマに、
沖縄の手しごとを訪ねました。

ミンサー織が大好きなんです。自然の染料で染めた糸を使っていて、とてもきれいなんですよ。今回は糸を紡いでいるところや機織りなど、作業風景を見ることができなかったのが残念です。また、私は陶芸のまちで生まれたので、その影響もあって焼き物もとても好きです。沖縄のなかでも本島と石垣島でやっぱり土も違うのか、個性の違いを感じました。

石垣島の「やまばれ陶房」では、
作家の方とお話もされました。

グレーと水色と深い青がグラデーションになっている作品が特に印象的でした。石垣島の空を映したような色だなって。作家さんとお話してみると、実際に空をイメージした色だとおっしゃっていました。今回の旅は、からっと晴れたりザーッと雨が降ったり、とても沖縄らしい天候だったんですけど、そんな沖縄の空模様のような作品でしたね。

二階堂さん自身も、
クラフトを訪ねる旅をされるそうですね。

民芸館がすごく好きで、旅行先では時間があれば必ず見に行きます。たくさんの作品を見ることで、その土地をより深く知ることができるので、クラフトを訪ねると旅はより充実すると思います。さらに作品を持ち帰ると、よりいい思い出になりますよね。工房を訪れたり、もの作りに挑戦したり。そういうものが手元にあると、その旅で感じたことを持ち帰れるような気がします。

ほかにはどんな旅をされていますか?

ひとりの時間を楽しめるのが旅だと思うんです。だから、海外でもひとり旅がほとんど。以前訪れたブータンはとても穏やかな国で、心が豊かになる場所でした。昼間はお寺めぐりをして、夜は星空を見て。ブータンは子どものころから学校では英語で授業を受けているそうで、英語が話せる子が多いのでコミュニケーションがとれます。みんな好奇心旺盛でとても愛嬌があって、楽しかったです。
カナダのバンクーバーからトロントまで、寝台列車で横断したこともあります。普段の生活だと常に予定があるけど、列車に乗ってしまったらもう身を預けるしかない。その状況がとても心地よかったです。私が今ここにいるのを誰も知らないと思うと、とても楽しい気持ちになるんですよね。
国内のひとり旅も素敵ですよね。以前、岡山から島根まで「やくも」に乗ったことがあったのですが、もうすごく楽しくて。いつか日本の寝台列車にも乗ってみたいです。

Tシャツ18,700円、パンツ37,400円(ともにKLOSET|H3Oファッションビュロー 03-6712-61)、サンダル16,500円(MELISSA|H3Oファッションビュロー03-6712-6180)、ハット17,6000円*参考価格、バッグ22,000円*参考価格(ともにGANNI|ganni.com)、ピアス40,700円(SARARTH|SARARTH カスタマーサポート042-441-0015)

二階堂ふみ Fumi Nikaido
二階堂ふみ Fumi Nikaido
Profile
1994年生まれ、沖縄県出身。2009年、役所広司監督の『ガマの油』で映画デビュー。以降、『ヒミズ』、『翔んで埼玉』、NHK大河ドラマ『平清盛』『西郷どん』、『プロミス・シンデレラ』など数々の映画、ドラマに出演。2020年には、NHK朝の連続テレビ小説『エール』でヒロイン関内音役を演じ、歌唱力の高さが話題に。その年の『第71回NHK紅白歌合戦』で紅組司会を務めた。主演を務める『翔んで埼玉 PartII』は2023年公開予定。