AERA FEATURE 北海道
自然の恵みがあふれる小さな村へ

音威子府村でゆったりなひと時を

北海道の北部に位置する音威子府村は、道内で一番小さな村。森林が村の総面積86%を占め、村の中心には天塩川(てしおがわ)が流れている自然豊かなエリアです。夏になるとそば畑に白いそばの花が咲き、訪れた人々を感動させてくれます。また、名物のそばや昨年オープンしたスイーツ店など、この地のグルメも見逃せません。厳しい冬を乗り越え、あたたかな季節の訪れを感じさせる音威子府村へ、リフレッシュをする旅に出かけましょう!

文/白田麻依子(旅色編集部)

北海道音威子府村
ACCESS
●羽田空港⇒飛行機約1時間40分⇒旭川空港⇒旭川電気軌道約35分⇒
旭川駅⇒JR宗谷本線特急サロベツ約1時間40分⇒音威子府駅
●伊丹空港⇒飛行機約1時間55分⇒旭川空港⇒旭川電気軌道約35分⇒
旭川駅⇒JR宗谷本線特急サロベツ約1時間40分⇒音威子府駅

自然に囲まれて身も心も満ちる温泉

音威子府村に古くから根付く温泉で
自然に抱かれながら心ゆくまで満喫しましょう。

天塩川温泉

飲泉利用から始まった 天塩川温泉

天塩川温泉
ロースカツ定食(1,300円)。レストランでは定食メニューも充実
天塩川温泉
咲来(さっくる)駅から車で約10分のところにある
「音威子府村住民保護センター」 

1億5,000万年前の地層(白亜系)の断面より湧出する「常盤鉱泉」を源泉とする「天塩川温泉」は大正初期、温泉水を飲むための飲泉利用として人々に親しまれたのが始まりです。「音威子府村住民保護センター」は宿泊客だけではなく、日帰りの方も温泉を堪能できるので、観光客でも気軽に立ち寄れます。建物内にあるレストランでは、飲泉用の温泉水を使って調理された「源泉ラーメン」や「源泉蕎麦」が人気。温泉で癒されたあとはレストランに立ち寄り、心もおなかも満たしましょう。

住所/北海道中川郡音威子府村字咲来919
電話/01656-5-3330
時間/日帰り入浴10:00~21:00(受付終了20:30)、レストラン11:00~14:00、17:00~19:30(LO19:00)
入浴料/大人500円、子ども250円
宿泊料金/季節により変動あり

歴史と文化が詰まったおすすめスポット

「北海道」の名称が誕生したゆかりの地や、
かつて走っていた鉄道の歴史を振り返るスポットなど
音威子府村の歩みに思いを馳せながら巡りましょう。

〝北海道〟の名にゆかりがある地 北海道命名之地

北海道命名之地

中心部から国道40号線を北上すると、天塩川のそばに「北海道命名之地」と書かれた碑があります。幕末の探検家・松浦武四郎が書いた『天塩日記』によると、松浦氏が天塩川流域を調査した際、アイヌの集落の古老から聞いた話をきっかけに「北加伊道」という名を想起。これをもとに、現在の「北海道」という名称が誕生したといわれています。そのため、松浦武四郎は“北海道の名付け親”として知られています。

住所/北海道中川郡音威子府村字物満内天塩川河川敷地内

北海道命名之地
エコミュージアムおさしまセンター
空間いっぱいに展示された「午前3時」

彫刻家・砂澤ビッキの作品に心が躍る エコミュージアムおさしまセンター

エコミュージアムおさしまセンター
「トーテムポールの木霊」(奥)と「オトイネップタワー」(手前)
エコミュージアムおさしまセンター
「風の回廊」と名付けられた廊下

1978年、音威子府村に魅せられて移住をした彫刻家・砂澤ビッキ(1931~1989年)は、旧・筬島(おさしま)小学校を「アトリエ3モア」とし、自身の作品を展示しました。2003年になると、建物は「エコミュージアムおさしまセンター」に既存改築され、今も彼の作品が100点以上展示されています。彼がプロデュースした札幌・すすきののバーを再現した店内では、コーヒーを飲むことが可能。旅の休憩スポットとしてもぴったりです。

住所/北海道中川郡音威子府村字物満内55番地
電話/01656-5-3980
時間/9:30~16:30
休館日/月曜日
入館料/300円(村民、子ども無料)

エコミュージアムおさしまセンター
すすきので異彩を放つバー「いないいないばあー」を再現

廃線した路線の記憶をたどる 天北線資料室

天北線資料室

天北線は1989年に運行終了を迎えるまでの間、音威子府を起点にオホーツク海側の浜頓別町(はまとんべつちょう)を経由し、稚内の区間を走っていました。ここでは運行していた鉄道の資料と、1955年ごろの音威子府駅の様子を、ジオラマとして再現。当時最盛期を迎えていた駅の姿は、ここでしか見られません。併せて、2019年に運行した観光列車「風っこそうや」号に使われたヘッドマークも展示しています。

住所/北海道中川郡音威子府村字音威子府村509番地40
電話/01656-5-3311(地域振興室)
時間/9:30~16:00
休館日/土・日・祝日、年末年始

音威子府村交通ターミナル

村内の有志団体によって改修された駅舎 音威子府村交通ターミナル

音威子府村交通ターミナル

かつて天北線が走っていた音威子府駅。廃線したのちに駅舎が改修され、現在は宗谷本線の電車が走るターミナルとなっています。駅の中は2020年12月、村の有志団体によってギャラリースペースに改修されました。ここで地元の高校生が個展を開催したこともあるよう。普段はフリースペースとして、地元の方に親しまれています。

住所/北海道中川郡音威子府村字音威子府村509番地40
電話/01656-5-3004(JR音威子府駅)

おいしいだけじゃない!見て食べて楽しむグルメ

ここに来たら必ず食べたいグルメをチェックして、
音威子府村の味を堪能しましょう。

この地ならではのフレーバーにも注目 Gelateria the GreenGrass

2023年にオープンした「Gelateria the GreenGrass」では、村にある「名徳(みょうとく)牧場」で搾られた新鮮な生乳で作られたジェラートが食べられます。店内にはミルクやいちごをはじめとする定番ものから、音威子府産のそばを使用したフレーバーなど、ほかでは食べられない味わいを楽しめるのも魅力的。日によっては、その日限りの限定フレーバーに出会えることも! 旅の途中に立ち寄ってみては。

住所/北海道中川郡音威子府村字音威子府304
電話/01656-8-7440
時間/12:00~16:30(5~9月) ※金曜日12:00~18:30(通年)、土曜日12:00~16:30(10~4月)
定休日/火・水曜日(5~9月)、日~木曜日(10~4月)

Gelateria the GreenGrass
タチカワ商販のおといねっぷ蕎麦
タチカワ商販のおといねっぷ蕎麦

昔ながらの製法で仕上げる味 タチカワ商販のおといねっぷ蕎麦

一般的なそばより黒く、その見た目に驚かされる「タチカワ商販」の「おといねっぷ蕎麦」は、実を殻ごと挽いて作る「挽きぐるみ」という製法で、香り豊かに仕上げています。地場産のそばを自宅でも味わえるようにという願いから、「おといねっぷ蕎麦」を村の各地で販売。スーパー「ビレッジショップこしん」や食事処「めしや満福イケレ」などの店舗以外に、そば自動販売機での取り扱いもあります。

ビレッジショップこしん
住所/北海道中川郡音威子府村字音威子府295
電話/01656-8-7275
営業/9:00~19:00
定休日/日曜日

めしや満福イケレ
住所/北海道中川郡音威子府村字音威子府511番地6
電話/01656-8-7565
営業/11:30~14:00
定休日/日・月曜日

そば自動販売機「旧千見寺(ちけんじ)スタンド」
住所/北海道中川郡音威子府452番地1

そば以外のメニューも充実 お食事処 咲来の咲来そば

咲来の咲来そば

村の中心部から車で約5分のところに位置し、黄色いプレハブ小屋が目を引く「お食事処 咲来」。ここでは地元・咲来産のそばの実を使用した自家製の「咲来そば」や丼もののお料理など、さまざまなメニューが揃っています。「咲来そば」はお土産としての購入もできるので、音威子府村の味わいを自宅でも楽しんでみては?

住所/北海道中川郡音威子府村字咲来393-2
電話/01656-5-3906
時間/11:30~LO19:00 ※金曜日11:30~14:00
定休日/不定休

咲来の咲来そば
Column

夏に見られる特別な景色

名物・タチカワ商販のおといねっぷ蕎麦が育まれる そば畑を愛でよう

夏になると見られる特別な景色が、畑に広がる一面の白いそばの花。そばの生産が盛んな音威子府村は7月下旬~8月上旬にかけて、村にあるあちこちのそば畑で咲き誇ります。その美しさに、心打たれること間違いありません。村には畑の美しい風景を写真に収めるためのフォトスポットが多数点在。お気に入りの場所を見つけて、旅の思い出に記念の一枚を収めておきましょう。

収穫後のそば畑