【高知】四万十川バスで沈下橋をはしごする

高知県

2022.12.05

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【高知】四万十川バスで沈下橋をはしごする

“鉄道旅”でおなじみの旅色LIKESライターなおさんが訪れたのは、高知県四万十市の沈下橋。旅色FO-CALでも特集したエリアを、四万十川バスを利用して巡りました。

目次

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「しまんトロッコ号」で四万十観光の玄関口へ

四万十川に沿って走る「川バス」で沈下橋をめぐる

いよいよ沈下橋とご対面!

「しまんトロッコ号」で四万十観光の玄関口へ

JR宇和島駅

10月の三連休に宇和島に滞在した私は、朝の町を散歩して宇和島駅に戻ってきました。宇和島駅は予讃(よさん)線の終着駅でこの先に線路はありませんが、高知方面に延びる予土(よど)線の乗換駅でもあります。予土線は宇和島駅から一駅戻って北宇和島駅から分岐。高知県の西土佐地方に向かっていきます。

しまんトロッコ号

私の乗る列車は「しまんトロッコ号」。1号車は一般車両ですが2号車はトロッコ列車。この路線は途中、日本最後の清流と呼ばれる四万十川(しまんとがわ)に沿うように走ります。その景色をトロッコから眺められるのです。

トロッコ車両の中

トロッコ車両の中はこんな感じ。明け方まで降っていた雨も上がり、晴れ間も出てきました。こんないい天気の中を涼やかな秋の風を感じながらトロッコ列車で走ったら、さぞ気持ちいいでしょう。

さて、ここまできたらトロッコ列車に乗ったんだと思いますよね。


……
………

違います。
実はこのトロッコ列車、宇和島駅から乗ることはできません。宇和島駅から窪川駅までの82キロメートルを走るこの列車ですが、トロッコ乗車区間は途中にある江川崎(えかわさき)駅から土佐大正駅間の28キロメートルのみとなっています。ちょっともったいない気がしますが、沿線は木の枝が伸びていたりして危ない区間も。全区間トロッコを営業するには安全対策が必要なので仕方ないのかもしれません。

また、私はこの列車を江川崎で下車するため、トロッコ乗車区間には乗れないのです。無念。その代わり、四万十川を満喫する別のルートを楽しむことにしました。

トロッコ列車
広見川

途中、真土駅を過ぎると広見川に沿って走ります。四万十川の支流だけあって水が澄んでいます。

江川崎駅

列車は予土線内の中心駅、江川崎駅に到着しました。トロッコに乗るお客さんはここで移動。年頃の私は隣の駅名に否応なく反応してしまいます。

トロッコ列車

私はここで下車。車掌から「え? トロッコ乗らないの?」と怪訝そうな顔をされました。

トロッコ列車

トロッコ列車は駅を出発。ここから先、広見川はすぐに四万十川に合流。これからトロッコに乗ったお客さんは清流を渡る風を感じながら澄んだ水を、湛えた四万十川の姿を楽しむことになるでしょう。

四万十川に沿って走る「川バス」で沈下橋をめぐる

川バス

一方、私は江川崎駅前に停車しているこのバスに乗車します。「四万十川バス」通称、「川バス」。

旅色FO-CAL 四万十市特集 「四万十市の旅がより快適に! バス旅のススメ」

旅色FO-CALでちょうど四万十市の特集があり、このバスが紹介されていたのを見つけました。江川崎駅を11時に出ると四万十川沿いに走り、お食事処や沈下橋を経由して土佐くろしお鉄道の中村駅に15時に到着するというコース。逆ルートもあります。

30年ほど前に沈下橋を車で訪ねたことがありますが、道路が狭いところがあり免許取りたての私は運転に大変苦労した思い出があります。でもバスなら事故の心配もなく、沈下橋を訪ねることが可能です。

道の駅 よって西土佐

本日の乗客は私のほかに1名のみ。定刻に発車すると5分ほどで「道の駅 よって西土佐」に到着。ここで食事タイムとなります。時刻表では別のところで昼食の予定でしたがこの日は定休日。路線バスではないので臨機応変にダイヤを変えていきます。

小町味噌を使った味噌カツ

旅行中、あまりお肉を食べていなかったので味噌カツをオーダー。これは「小町味噌」と呼ばれる地元の味噌。名古屋の赤味噌とはまた一味違う甘い味わいです。

テラスからは四万十川を望める

2階のテラスで四万十川を一望。これから川に沿って旅をすると思うとわくわくしてきます。12時にバスが迎えに来たので、次の目的地に向かいます。

いよいよ沈下橋とご対面!

四万十川

ゆったりと流れる四万十川。日本最後の清流の名にふさわしい水の碧さです。

岩間沈下橋

バスは「岩間沈下橋」に到着。ここで見学タイムが取られます。沈下橋は低水位の時のみ使用可能な橋。大雨で増水したときには水の下に沈んでしまいます。そのため欄干はないか、あっても壊れてもいいような簡素なものになっています。沈下橋は全国にありますが、四万十川には全国にある沈下橋の2割が集中。国の重要文化的景観にも選ばれている四万十川を代表する景色になっています。

岩間沈下橋

沈下橋の端まで下りてきました。欄干がないので両岸の川の景色がよく見えます。

岩間沈下橋

橋の向こうの集落から車が通り過ぎていきました。車も慣れていないと怖いでしょうが、端で避ける歩行者も結構怖い! 川は風が通り抜けるので、風にあおられないように注意が必要です。

かつては自動車学校の教習で沈下橋をわたる課程もあったんだとか。あと、「高齢者がたまに落ちるんですよ~わっはっはっ」とバスの運転手が話してくれました。いや、わっはっはって……。

四万十川沿い

バスは再び川に沿って下っていきます。

勝間沈下橋

本来は停車する予定のなかった「勝間沈下橋」。時間に余裕があるので、ここでも観光させてもらえることになりました。

勝間沈下橋

ここでも車が通っていきます。橋脚が3本あるのがこの橋の特徴。釣りバカ日誌14で登場したことでも有名になりました。

橋から眺める景色

橋から眺める水の碧さは本当に美しい。吸い込まれそうになります。真夏は水遊びでここから飛び込む人もいるようですが、川の流れは思ったより早いので危険。水の事故もあると聞きますので注意が必要です。

佐田沈下橋

さて、勝間沈下橋を出たバスはさらに下流へ下り、だいぶ町に近いところに来ました。最も下流に架かる沈下橋が「佐田沈下橋」です。アクセスしやすいこともあって観光客が最も多い沈下橋。夏には岸で川遊びをする姿も見られます。

佐田沈下橋

青い橋脚が特徴的です。

佐田沈下橋

下流にあるため、沈下橋の中で最長の291メートル。長いうえに川の向こうに集落があるため、割と頻繁に車が通ります。そのため途中で車がすれ違えるように幅が広くなっている部分があります。ここですれ違えって……なかなかの恐怖です。

コーヒースタンド

橋の向こうにはコーヒースタンド。こういうの絵になりますねぇ。サイクリストが飼い猫をリュックの上にひょいっと乗せて、颯爽と沈下橋を走っていきました。猫も慣れているのか落ち着いたものです。

赤鉄橋

沈下橋めぐりを終えたバスは赤鉄橋を渡ります。これは大正末期、渡し船の転覆事故をきっかけに架けられた四国最古の鋼橋トラス橋。中村地区のシンボルといわれています。全景を見られたらよかったのですが、今回は車窓からの鑑賞のみです。

中村駅

バスは定刻15時より少し早めに中村駅に到着。かつては国鉄中村線の終着駅でしたが土佐くろしお鉄道に移管後、さらに西の宿毛(すくも)まで延伸、途中駅となりました。今も四万十市の中心駅です。

ここまでのバスの値段は1,500円。マイクロバスですが、これで食事にも立ち寄れるうえに3時間沈下橋をゆっくり鑑賞できるなんて安すぎると思います。

あしずり12号

15:10発の「あしずり12号」で高知に向かい、さらに岡山で乗り継げば東京着は23:12。その日のうちに東京まで帰れます。

清流の見事な碧さと沈下橋の独特の光景。心が洗われ、明日からも仕事を頑張ろうと思えました。最後の清流の旅へ、みなさんもぜひ四万十川バスを利用してみてください。

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#旅色LIKES #高知 #四万十 #沈下橋 #バス

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