諸国巡錫中に法道仙人が見つけた
石見高原の山あいにある
“福有”の湯
世界遺産・石見銀山で有名な、島根県中西部に広がる石見高原に位置する有福温泉。山あいに温泉街があり、石段の坂道に沿って旅館が建ち並んでいて、どこか懐かしいレトロな雰囲気を醸し出しています。開湯の歴史は1370年以上前にさかのぼります。天竺(現在のインド)霊鷲山出身の聖人・法道仙人は、中国、朝鮮、九州を経て播磨国(現在の兵庫県)を訪ね、諸国に堂塔伽藍を建てて教えを説いていきました。その道すがら、有福の地に足を留めた際に、岩間から温泉が湧き出るのを発見。法道仙人はそこに無量寿仏像や聖観世音菩薩、自彫の石体薬師仏を安置して去っていったそうです。
その後、温泉は昼夜問わず湧出し、入るたびに心身を癒して持病も楽になるという噂が立ちました。そうして、多くの湯浴み客が訪れるようになったと伝わっています。「古来より名湯が湧く福有の里」といわれることから、有福温泉の名前が付けられたそうです。泉質は、無色無臭の透明な湯で、ふわりと柔らかい肌触り。湯上りはもっちりとしたすべすべ肌に。透き通るような美しい肌をつくる“美人の湯”としても人気です。
- 泉質/
- アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
- 効能/
- 神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復、美肌 など
石見神楽
温泉街にある「湯の町神楽殿」では、隔週土曜日に地元神楽団による石見神楽の公演が行われます。客席と舞台が近く、迫力満点の神楽が観賞できます。
上有福のイチョウ
有福温泉地域コミュニティ交流センターの近くにある、別府山八幡宮の御神木。近隣の人々からは「銀杏大明神」として崇敬されてきました。市の天然記念物で、11月上旬には黄金色に色づきます。
石見銀山
2007年にアジアで初めて鉱山遺跡として世界遺産に登録された石見銀山。現在は当時の探鉱坑道である大久保間歩や、銀により栄えた大森の町並みを観光することができます。
神在祭
旧暦の10月、神無月は全国の八百万の神々が出雲国に集まる月。そのため、出雲地方では“神在月”と呼んでいます。出雲大社では「神迎神事」に始まり、「神迎祭」「神在祭」、「縁結大祭」、最後に全国に神々をお見送りする「神等去出祭」が行われます。
※詳しくは出雲大社ホームページをご覧下さい
古民家を移築した
離れでくつろぐ
旅館ぬしや
江戸時代に有福温泉が宿場町として発展した、約250年前に創業した旅館。温泉は、大浴場と露天風呂のほか、2つの貸切風呂「石」「檜」が楽しめます。また、古民家を移築して造られた離れには、2室設けられており、いずれも露天風呂付き。歴史を刻む黒塗りの梁や柱が使われた客室にも注目です。そのほか、和室または和洋室がある本館の客室や、1棟貸切の離れなど、全9室から選べます。料理は季節感を大切にした創作会席。しまね和牛のほか、秋から春にかけては高級魚のどぐろが味わえるコース料理もあります。
住所/〒695-0156 島根県江津市有福温泉町955
電話/0855-56-2121
殿様も過ごした
純和風の日本旅館
三階旅館
1350年に創業した老舗旅館。もともとは、御殿様の隠居用別邸として建てられた建物で、現在も当時の職人技が光る梁や格子、鬼瓦などが残されています。温泉は、中浴場と小浴場があるほか、家族風呂も利用が可能。客室は全8室あり、趣のある和室でのんびりとくつろぐことができます。料理は、旅館の主人自らが料理人として提供しており、毎朝漁港で目利きして仕入れています。海の幸だけでなく、山の幸も豊富に使用し、食材そのものの味を楽しめるように味付けも工夫されています。
住所/〒695-0156 島根県江津市有福温泉町692
電話/0855-56-2211