テーマのあるスイーツ旅

甘酒から造った生地でこしあんを薄く包み、蒸しあげて作る「大手まんぢゅう」

今まさに“旬”を迎える あんこに、注目。

今まさに“旬”を迎える あんこに、注目。

甘いもの好きのみならず、多くの人から人気を集めている「あんこ」。あんこのもととなる小豆は、秋に収穫され、乾燥させて市場に出回るため、10~2月頃が旬といわれています。三大産地や、希少な小豆を栽培している地と、あんこをじっくり味わえるお店をご紹介。旬を迎えるあんこスイーツをいただきましょう。
文/松尾好江(ランズ)

福吉カフェ旭橋本店
石狩川に架かる旭橋。昭和7(1932)年に、鋼鉄製のアーチ曲線を描く橋がかけられた
北海道旭川市

Spot01 福吉カフェ旭橋本店

製餡所×茶舗×地域誌の
コラボで生まれた新名物

国内の小豆生産量の9割を占める北海道。「エリモショウズ」や「きたろまん」といった品種が多く栽培されています。そんななか、平成15(2003)年に新品種として農林水産省に認定された「しゅまり」は、育成管理が難しく、現在は希少な品種とされています。北海道美瑛町内で生産されるしゅまりは、美しい朱色で香りの高さが特徴です。福吉カフェ旭橋本店では、そんな希少種小豆しゅまりを旭川の地下水で炊き、甜菜糖、オホーツクの塩のみで調整したつぶあんを使ったスイーツ「トキワ焼き」を作っています。トキワ焼きとは、北海道遺産「旭橋」をモチーフにしたクロワッサンたい焼きのような地元で人気のおやつ。たっぷりと入ったあんことクロワッサンの甘さが絶妙です。

福吉カフェ旭橋本店 住所/北海道旭川市常盤通2-1970-1
営業時間/9:00~18:00
休/無休
アクセス/電車:JR石北本線、JR富良野線旭川駅からタクシーで約10分、車:道央自動車道旭川鷹栖ICから約11分
電話/0166-85-6014

福吉カフェ旭橋本店
旭橋のアーチ部分が再現された「トキワ焼き」(275円)
福吉カフェ旭橋本店
朱色の鞠に似た見た目から「しゅまり」と呼ばれるように
福吉カフェ旭橋本店
大正13(1938)年に建てられた「旧北島製粉所」をリノベーションした福吉カフェ旭橋本店
兵庫県丹波市
中島大祥堂丹波本店
織田藩の家臣とその家族の居住先として建てられた茅葺きの民家を再生した本店
中島大祥堂丹波本店
丹波大納言小豆を使ったあん玉が入った「丹波大納言小豆と宇治抹茶」(660円)
中島大祥堂丹波本店
土・日・祝日限定で、丹波大納言小豆鹿の子と桜の葉を練りこんだフィリングを自家製パイ生地で焼き上げた「あんまる」も販売している
中島大祥堂丹波本店
丹波市春日町東中は、丹波大納言小豆発祥の地とされている

Spot02 中島大祥堂丹波本店

里山にあるモダンな古民家で
洗練された丹波大納言小豆のケーキを

国内の小豆生産量2位を誇る兵庫県。中東部に位置する丹波地域は、盆地であり昼夜の寒暖差が大きく、肥沃な土壌があることから、昔から穀物類の栽培に適していました。丹波で栽培される大納言小豆は、宝永年間に幕府が京都御所に献納していたこともあり、高級品種とされてきました。丹波大納言小豆は大粒の俵型で、種皮は濃い赤色の薄皮、風味豊かなおいしさが特徴です。
そんな丹波大納言小豆を使ったスイーツを作る「中島大祥堂丹波本店」では、令和2(2020)年11月22日に「丹波大納言小豆と宇治抹茶」のケーキを新発売。あん玉を宇治抹茶ムースと丹波大納言小豆ムースで包み、丹波大納言小豆の羊羹を乗せた、和テイストのケーキです。

中島大祥堂丹波本店 住所/兵庫県丹波市柏原町柏原448
営業時間/平日:販売・カフェ11:00~17:00(LOピッツァ14:00、カフェ16:00)、土・日・祝日:販売10:00~17:30、カフェ11:00~17:30(LO17:00)
休/水曜日、年末年始
アクセス/電車:JR福知山線柏原駅から徒歩約10分、車:舞鶴若狭自動車道丹南篠山口ICから約20分
電話/0795-73-0160

岡山県倉敷市
大手まんぢゅうカフェ
倉敷美観地区にオープンした「大手まんぢゅうカフェ」

Spot03 大手まんぢゅうカフェ

「幻の白小豆」を贅沢に使った
老舗和菓子店のカフェ限定メニュー

岡山県西部に位置する備中地域は、白小豆発祥の地として有名です。ここで栽培される「備中白小豆」は、高級和菓子の白あんの原料として用いられます。現在は栽培が難しいため、収穫量も少なくなり希少な食材となっているのです。
令和2(2020)年3月、そんな備中白小豆の産地の1つである倉敷市に、老舗まんじゅう店「大手饅頭伊部屋」のカフェ「大手まんぢゅうカフェ」がオープン。ここでは、「幻の白小豆」とも呼ばれる備中白小豆を贅沢に使った「備中白小豆大手ぜんざいセット(玄米茶・塩昆布付き)」が数量限定でいただけます。やわらかい餅と白小豆のつぶの食感が楽しめます。テイクアウトもできるので、店の前を流れる倉敷川の畔で食べるのもおすすめです。

大手まんぢゅうカフェ 住所/岡山県倉敷市中央1-4-18
営業時間/11:00~17:00(LO16:30)
休/火曜日
アクセス/電車:JR山陽本線倉敷駅から約5分、車:山陽自動車道倉敷ICから約12分
電話/086-421-3700

大手まんぢゅうカフェ
大手まんぢゅうの甘みが引き立つように計算された専用焙煎珈琲も味わえる
大手まんぢゅうカフェ
1日数量限定の「備中白小豆大手ぜんざいセット
(玄米茶・塩昆布付き)」(1650円)
大手まんぢゅうカフェ
180年以上備前岡山で愛される「大手まんぢゅう」
Gateau Daisy
赤と白のまだら模様が珍しい小豆「娘来た」
茨城県常陸太田市
Gateau Daisy
皮が薄いので、短時間で炊ける
Gateau Daisy
食べやすい大きさの「娘来たのあんバターサンド」

Spot04 Gateau Daisy

希少な「娘来た」を使った
あんバターサンド

茨城県の北端に位置する人口約5万人の常陸太田市。ここでは、代々農家で受け継がれてきた在来種がいくつか残っており、小豆「娘来た」もその一種です。赤と白のまだら模様で、皮が薄いのが特徴。娘来たという名前は、お嫁に行った娘が里帰りしてから用意を始めてもすぐに柔らかく煮えるということから付けられました。平成27(2015)年から地元のお店との契約栽培が始まり、今日まで少しずつ生産量を増やしています。
そんな娘来たの小豆を使った「娘来たのあんバターサンド」を作っているのは市内のカフェ「Gateau Daisy(ガトーデイジー)」。つぶあんにしたたっぷりの娘来たと有塩バターを挟んだサンドは、あまじょっぱくて、クセになる味わいです。

Gateau Daisy 住所/茨城県常陸太田市大里町3896-1
営業時間/11:00~17:00
休/月・日曜日、祝日
アクセス/車:常磐自動車道日立南太田ICから約20分
電話/0294-76-1933

Gateau Daisy
イートインができる店内の窓からは庭が見渡せる