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夜遊びも旅のカタチ 幡ヶ谷 NIGHT OUT with Mummy-D(ライムスター)×TOSHI-LOW(BRAHMAN)

Mummy-Dが幡ヶ谷での夜遊びを提案する後編は
この街を知りつくすミュージシャン仲間との対談でお届け。
夜遊び好き文化人に愛された隠れた名店「とり助」を舞台に
ロック界を代表するTOSHI-LOW(BRAHMAN)と
HIPHOP界を代表するMummy-Dが
幡ヶ谷の熱い夜を語り明かす。

撮影/倭田宏樹(TRON)
取材・文/森野広明、田島太陽(BLOCKBUSTER)
ヘアメイク/岩城 舞(Mummy-D)

Vol.2「talk」

おしゃれなカルチャータウンながら
外食でも疲れない“ちょうどよさ”

Mummy-D:TOSHI-LOWは、ここ(とり助)来たことあった?

TOSHI-LOW:あるよ! 前はメニューの短冊がいっぱい貼ってあったけど、移転してすっかりきれいになったね。

Mummy-D:絶対知らないと思ってたのに。

TOSHI-LOW:何をおっしゃる、こちとら幡ヶ谷の先住民ですよ。もう25年くらい住んでんだから。

Mummy-D:なんで幡ヶ谷に住み始めたの?

TOSHI-LOW:(代々木)上原に住みたくて。

Mummy-D:上原じゃないよ、ここ(笑)。

TOSHI-LOW:徒歩圏内だからいいんだよ。家賃がぜんぜん違うし。

Mummy-D:BRAHMANのスタジオも幡ヶ谷に作ったしね。

TOSHI-LOW:そりゃ、ホントは上原に作りたかったよ!

Mummy-D:いやいや合わないって。やっぱりBRAHMANといえば幡ヶ谷でしょ。

TOSHI-LOW:まあね。なんていうか、幡ヶ谷ってちょうどいい街なんだよ。

Mummy-D:出た! やっぱり“ちょうどいい”なんだよね。

TOSHI-LOW:渋谷とか上原のおしゃれな店って疲れちゃうじゃん。着るものに悩んだりさ。でも幡ヶ谷ならパンツ一丁でも大丈夫でしょ。

Mummy-D:それ、前回俺も同じこと言った(笑)。それで「ちょうどいい」って曲を作ったんだけど、TOSHI-LOWにも幡ヶ谷をイメージした曲ってある?

TOSHI-LOW:うーん、俺が幡ヶ谷の飲み屋で暴れて店を壊したエピソードなら、MONOEYESってバンドが「Two Little Fishes」って曲にしてるけど……。

Mummy-D:このサイトは女性がたくさん読んでるみたいだから「鬼(TOSHI-LOWの愛称)」エピソードは控えめにしようか(笑)。

幡ヶ谷 NIGHT OUT Vol.2「Talk」with Mummy-D×TOSHI-LOW

HIPHOPとROCK
ジャンルを超えた酒場での出会い

Mummy-D:一緒に幡ヶ谷で飲んだことあったっけ?

TOSHI-LOW:幡ヶ谷ではないね。

Mummy-D:あんなに近所ですれ違ってたのに。

TOSHI-LOW:付き合いが始まったのって、2000年くらいじゃん。京都のHIPHOP VS ROCKみたいなイベントで。

Mummy-D:あのときTOSHI-LOWが、演歌を英語で歌ってて感動したんだよ。ジャンルが変われば飲み会の芸も変わるんだなって。

TOSHI-LOW:「ブラザーシップ(兄弟船)」とか「フェスティバル(まつり)」とかね。当時バンド界隈で流行ったのよ。

Mummy-D:そこで仲良くなったのは覚えてるけど、飲んだりはしてなくて。逆に、最近のほうがフェスで会うね。俺らもロックフェスにはあまり出てなかったから。

TOSHI-LOW:その垣根を崩したのはやっぱりRHYMESTERだと思うよ。RHYMESTERと仲良くなってからはほかの人とも話やすくなったけど、2000年前後はいまみたいにジャンルごちゃまぜではなかったし。

Mummy-D:まぁ、TOSHI-LOWには酒があるからね。

TOSHI-LOW:お酒は最高のコミュニケーションツールでしょ! 幡ヶ谷で2~3軒飲み歩いたら、すぐ友だちできるよ。飲んだ翌朝に「昨日はごちそうさまでした!」とかって知らないヤツからよくLINEくるもん。うわ~、オレおごったのかぁって。

Mummy-D:覚えてないんだな(笑)。

幡ヶ谷 NIGHT OUT Vol.2「Talk」with Mummy-D×TOSHI-LOW
幡ヶ谷 NIGHT OUT Vol.2「Talk」with Mummy-D×TOSHI-LOW

気軽にもディープにもいろいろな気分で行ける
幡ヶ谷はお酒好きの楽園

TOSHI-LOW:最近はこのへんも女性のひとり飲みが増えてるんだよね。ちょっと食べてちょっと飲めるようなこじんまりした店が多いから、使い勝手がいいのかな。

Mummy-D:幡ヶ谷でおすすめの場所ってある?

TOSHI-LOW:だいたい最終的には「鍋屋(こうや)」に行き着く。遅くまでやってるし、飲んだあとはあの中華が食いたくなる。

Mummy-D:わかるわかる。オレも住んでる頃よく行ってた。

TOSHI-LOW:あとは、海鮮系の居酒屋「浜屋」は昼の13時から飲めるし、「山形屋食堂」も朝の4時半くらいからやってるから、仕事終わりのタクシー運転手が早朝から飲んでるよ。

Mummy-D:飲み屋ばっかりだし、しかも情報がディープすぎる(笑)。

TOSHI-LOW:幡ヶ谷に飲み屋以外のおすすめなんてねーよ! でも飲み人口が多いから、おもしろい飲み屋さんはホントにたくさんあるんだよ。西原のほうには「wineshop flow」っていうワインの角打ちもあって、よく行ってるよ。

Mummy-D:へぇ、西原方面も掘ってるんだ。

TOSHI-LOW:最近そっちが栄えてきてるんだよね。「PADDLERS COFFEE」っていう珈琲スタンドを中心に、新しい家具屋もできたし。シャッター街になりつつあった西原の商店街を盛り上げるイベントもあって、ちょっとおもしろいことしてる奴らがいるよ。

幡ヶ谷 NIGHT OUT Vol.2「Talk」with Mummy-D×TOSHI-LOW

おもしろい人間が集まってできた
カルチャーの香り立つ「渋谷区のチベット」

Mummy-D:たしかに、今日久々に歩いてみて変わったなと思った。

TOSHI-LOW:Dさんが住んでたころはもっとディープな感じだったからね(笑)。

Mummy-D:でも、街そのもののグルーヴ感はまったく変わってないよ。

TOSHI-LOW:幡ヶ谷、初台、笹塚エリアは「渋谷区のチベット」って言われてるし、自治区的な感じは根強いよね。新宿にも渋谷にも中野にも近いのに、そのどれでもないっていう。

Mummy-D:都心へのアクセスがいいから、若いミュージシャンや芸人もけっこう住んでて、カルチャーの匂いもある。メジャーのちょい手前くらいの人たちが多くて、みんな売れると上原に引っ越すみたいな(笑)。

TOSHI-LOW:商店街があって住みやすいからね。渋谷で飲もうってなってもさ、すぐ幡ヶ谷に帰りたくなるんだよ。渋谷や新宿に住んじゃったらこの“帰る場所”って感覚はないでしょ。だからみんな幡ヶ谷に住んだらいいのにって思うよ。

Mummy-D:女の子がひとりでふらっと飲み歩けるくらい、治安もいいしね。

TOSHI-LOW:そうそう、たまに俺がいないほうがいいんじゃないかって思うくらい。

Mummy-D:たしかにそうなれば、幡ヶ谷の夜はさらに安全になるな(笑)。

幡ヶ谷 NIGHT OUT Vol.2「Talk」with Mummy-D×TOSHI-LOW
Mummy-D(ライムスター)
PROFILE
Mummy-D(ライムスター)
ヒップホップ・グループ「RHYMESTER」のラッパー、サウンドプロデューサーであり、グループのトータルディレクションを担う司令塔。1989年、大学在学中にメンバーと出会いグループを結成、日本のヒップホップ文化を開拓牽引してきた。近年はドラマ、CM、舞台などでの役者、ナレーター業にも活躍の場を広げている。RHYMESTERは2019年に結成30年を迎えて、さまざまな記念リリース、イベントが企画され、現在は47都道府県ツアーを敢行中。
http://www.rhymester.jp
TOSHI-LOW(BRAHMAN)
PROFILE
TOSHI-LOW(BRAHMAN)
1995年にBRAHMANを結成し、ボーカルを担当。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドで、パンク/ハードコアに留まらず、ロックシーンの先頭を走り続ける。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、非営利活動団体「幡ヶ谷再生大学復興再生部」を設立するなど、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開している。

店舗情報

とり助(焼き鳥)

住所/東京都渋谷区笹塚3-13-14
電話/03-3376-4100