テーマのある旅

物語の楽しさ、美しさを改めて体感しよう 絵本の世界に飛び込む旅

物語の楽しさ、美しさを改めて体感しよう 絵本の世界に飛び込む旅
子どもの頃、何度も読み返したお気に入りの絵本……。大人になってから改めて手に取ると、昔はわからなかった作品の良さに気づくことも。また、新たな作品に出合えることもあります。今回は、絵本の楽しさ、美しさに改めて触れる旅へ。まるで物語の中にいるような、その世界観を表現したミュージアムやカフェにでかけましょう。
Text:YOSHIE MATSUO(RUNS)
2階の小フロアでは、2人の画家による37点の原画を展示している
2階の小フロアでは、2人の画家による37点の原画を展示している
8月27日~11月24日は、長谷川集平氏の個展「サルコーデ・ナガサキ 第三章 秋」を開催
8月27日~11月24日は、長谷川集平氏の個展
「サルコーデ・ナガサキ 第三楽章 秋」を開催
美術館の入口では、子どもとクマの銅像がお出迎え
美術館の入口では、子どもと
クマの銅像がお出迎え

祈りの丘絵本美術館

絵画のように飾られた原画を鑑賞

明治維新の頃、日本で唯一西欧と交流があった長崎。「祈りの丘絵本美術館」はそんな19世紀当時を思わせる、洋館に瓦ぶきという独特な造りになっています。所蔵している国内外の絵本の原画による企画展や、日本画家としても知られる大道あや氏の大作などを展示した常設展を落ち着いた空間の中、鑑賞することができます。“美術として、絵本を楽しむ”という言葉を掲げた同館は、「絵本の練り上げられた物語は文学のよう、絵はそれぞれが1枚の絵画としての美術の高みにある」といいます。館内には500冊の選び抜かれた絵本のコーナーもあるので、物語と絵の美しさに触れてみて。また、1階「こどもの本の店・童話館」には絵本がおよそ4,000冊、子ども向けの本が1万冊ほどあります。

住所/長崎県長崎市南山手町2-10
開館時間/10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日/毎週月曜(祝日の場合は翌火曜)、
展示入れ替え日、年末年始
入館料(税込)/大人300円※団体割引(100円)あり、
障害者割引(半額・同伴者含む)あり
アクセス/電車:長崎電気軌道5号系統大浦天主堂駅から徒歩で約3分
車:長崎自動車道長崎ICから約21分
電話/095-828-0716
「グラバー通り」を上ると瓦ぶきの屋根が見えてくる
「グラバー通り」を上ると瓦ぶきの屋根が見えてくる
『手ぶくろを買いに』の帽子屋を原寸大で再現した図書閲覧室の入口
『手ぶくろを買いに』の帽子屋を原寸大で再現した図書閲覧室の入口

新美南吉記念館

絵本のジオラマと建築が美しい

小学校の国語の教科書に半世紀以上掲載され続けている『ごんぎつね』の作者・新美南吉氏。氏の故郷に建てられた記念館は、芝生で覆われた、ゆるく波打つように見えるシルエットの屋根がモダンな印象です。記念館には珍しい設計ですが、新美氏が童話に描いた半田の自然と風景に調和することを目指して建てられました。記念館の南側には、『ごんぎつね』の舞台となった中山が。現在は“童話の森”と呼ばれ、遊歩道が整備されていて、1周7分ほどで歩くことができます。館内には多くの作品のオブジェやジオラマが飾られており、まるで絵本の登場人物たちと同じ空間にいるように楽しめます。さまざまな場所に隠れている、かわいい7匹の子狐のオブジェを探してみて。常設展では、新美氏の自筆原稿や日記などが展示され、彼の生涯と文学の世界が紹介されています。

展示室には『おじいさんのランプ』に登場するランプの木のオブジェが
展示室には『おじいさんのランプ』に登場する
ランプの木のオブジェが
ユニークな外観は全国コンペで選ばれたもの
ユニークな外観は全国コンペで選ばれたもの
館内に隠れている子狐のオブジェ
館内に隠れている子狐のオブジェ
住所/愛知県半田市岩滑西町1-10-1
開館時間/9:30~17:30
休館日/毎週月曜、第2火曜(祝日・振替休日の場合は開館、翌日休館)、
年末年始
入館料(税込)/210円(令和元年8月時点、消費税増税により変更となる場合あり。
団体20名以上は各170円)
アクセス/電車:JR武豊線半田駅からタクシーで約15分、
名鉄河和線知多半田駅からバスで約15分
車:知多半島道路半田中央ICから約5分
電話/0569-26-4888
入口ではだるまちゃんの作品キャラクターが出迎えてくれる
入口ではだるまちゃんの作品キャラクターが出迎えてくれる

越前市かこさとしふるさと絵本館「砳」

館内には「からすのパンやさん」のフィギュアも
館内には「からすのパンやさん」のフィギュアも
2階では原画や複製原画を鑑賞できる
2階では原画や複製原画を鑑賞できる

絵本のキャラクターがお出迎え

誰もが子どもの頃に読んだことがある「だるまちゃん」シリーズや、「からすのパンやさん」シリーズ。多くの作品を生み出したかこさとし氏の生まれ故郷である越前市に2013年4月に開館した、子どもから大人まで楽しめる絵本館です。館内は、世代を超えて愛されてきた作品のキャラクターがあちこちに。入口では、木彫りのだるまちゃんと「どろぼうがっこう」のくまさかとらえもん先生が出迎えてくれて、絵本館に入る瞬間からその世界に足を踏み入れたかのようです。北棟1階には、かこ氏の作品を中心に、5,300冊余りの絵本や紙芝居を読める「えほんのへや」があります。北棟2階「もとのえをみるへや」では、絵本の原画や複製原画が展示されています。原画などは1枚ずつ飾られているので、じっくりと鑑賞できますよ。また、南棟は高い天井の「あそびのへや」となっており、むかし遊び体験やからすのフィギュアと一緒に写真撮影もできます。

「グラバー通り」を上ると瓦ぶきの屋根が見えてくる
左右に動かせる
「紙芝居舞台看板」
住所/福井県越前市高瀬1-14-7
開館時間/10:00~18:00
休館日/毎週火曜、国民の祝日の翌日、年末年始
入館料/無料
アクセス/電車:北陸本線武生駅から車で約10分
車:北陸自動車道武生ICから約15分
電話/0778-21-2019
フルーツたっぷりのスイーツ「不思議の国のハウス」(1,200円、要予約)
フルーツたっぷりのスイーツ「不思議の国のハウス」(1,200円、要予約)

Mucchi’s Café

絵本をモチーフにした料理やスイーツ

大人のための絵本カフェ「Mucchi’s Café(ムッチーズカフェ)」。絵本専門士の資格を持ったスタッフによって選ばれた500冊以上の絵本が店内に並べられていて、ソファー席やカウンター席など、大人が絵本を読みながらゆったりと過ごせる空間になっています。毎月少しずつ入荷される新刊もあるので、懐かしい絵本との再会と、新しい絵本との出合いが楽しめますよ。カフェを運営するのはむっちさんとまどかさん。むっちさんが好きな流行りの怪談絵本やトイレなどが出てくる刺激的な絵本は、まどかさんのOKが出ないと仕入れられないそう。そういった絵本はパーテーションの裏側に陳列されているのが面白いところ。カフェでは、さまざまな絵本をイメージして作られた料理やデザート、ドリンクが。「不思議の国のハウス」(要予約)は、ハート型にくり抜かれたパンの中にフルーツがふんだんに入っています。「しろくまサンデー」や「ミート&ミートボール」など、どの作品に関係する料理か話しながらいただくのも、楽しみの1つです。

住所/東京都杉並区高円寺北3-2-17 2F
営業時間/平日11:30-20:00(LO19:30)、
土・日・祝日11:30-21:00(LO20:30)
定休日/水曜(祝日の場合は翌日)
アクセス/電車:JR中央線高円寺駅から徒歩約2分
電話/03-5364-9190
花とフルーツで盛り付けられたスイーツ「クッキーデザートプレート」(600円)
花とフルーツで盛り付けられたスイーツ
「クッキーデザートプレート」(600円)
海の中にいる虹色の魚をイメージしたドリンク「にじいろのさかな」(500円)
海の中にいる虹色の魚を
イメージしたドリンク
「にじいろのさかな」(500円)
店内にある500冊以上の絵本を好きな席で読める
店内にある500冊以上の絵本を好きな席で読める