青く澄んだ海、手つかずの深い森、野生動物、そして、島で暮らす人々の営みや古くからの習わし。海によって外界との接触が限られている離島には、その土地ならではの自然や文化が色濃く根づいています。はるばる海を渡って訪れた人だけが味わえる、特別な体験と感動。それが離島を旅する醍醐味でもあるのです。
 たとえば、日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島。ここでは、屋久杉に代表される神秘的な巨木や苔むした美しい渓谷など、トレッキングを通じて、太古の昔から続く壮大な自然と触れ合うことができます。
 一番人気は、樹齢2000~7200年といわれる縄文杉を目指すコースです。屋久島のシンボルにもなっている縄文杉は、高さ約25m、周囲約16mと、現在確認されている屋久杉のなかでは最も大きな老木。コブやヒダに覆われたその姿はじつに神々しく、見る者を圧倒します。コースは標高差610m、往復8~10時間のややハードな道のりですが、そのぶん縄文杉と対面できたときの感動もひとしお。途中には、幹の内部から外を見上げると、株の切り口がハート型に見えるウィルソン株や、下部に大きな割れ目のある大王杉などの個性的な屋久杉も点在し、屋久島に来たら一度は歩いてみたいコースの一つです。
 また、自然休養林の白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)を歩くコースでは、樹齢約3000年の弥生杉をはじめ、原生林の中を流れる清流、屋久島の山々が一望できる太鼓岩など、変化に富んだ景色が楽しめます。所要時間は3時間ほど。なかでも、長編アニメーション映画「もののけ姫」に登場する原始の森のモデルになったとされる“苔の森”は幻想的で、癒しの空間として人気を呼んでいます。