- 1泊2日
- 1日目
青森文学旅 Part2 森沢明夫「青森三部作」の要所を巡る
西津軽、青森、八戸(青森県)
予算:21,000円〜
・旅行する時期やタイミングにより変動します。あくまでも目安ですので、旅行前にご自身でご確認ください。
・料金は1名あたりの参考価格で、宿泊施設は1泊2食付き週末料金を参考にしています。
更新日:2024/12/28
青森編「Part2」の文学旅は、レジェンド・太宰治に加えて、森沢明夫「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」「ライアの祈り」── いわゆる“青森三部作”の要所を巡りながら、県を西から東へ横断して行きます。なんぼ、あずましぃなぁ〜

ふかうら文学館(旧秋田屋旅館)

千畳敷海岸

岩木山とリンゴ畑

JR東日本五能線・木造駅

合浦(がっぽ)公園

青森県観光物産館アスパム

みちのく料理 西むら

特別史跡・三内丸山遺跡

八戸屋台村 みろく横丁

スーパーホテル八戸天然温泉
前半は「Part1」に引き続き太宰治をめぐり、後半は“青森三部作”へ参ります。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 前回の青森文学旅「Part1」で、太宰治が深浦で宿泊した場所について「詳細は不明」と書きましたが、実は判明しているんです。それがこちらのスポット。小説「津軽」では書かれていませんが、太宰はここ旧秋田屋旅館に宿泊しました。聞けば「津軽」を描くために取材旅行をした昭和19年だけでなく、翌20年にも泊まっているのだそう。“部屋が汚い”と呟きながら、門構えの立派なこの旅館を気に入っていたのかもしれませんね
- ★ 宿泊した部屋は現在、「太宰宿泊の間」として当時の雰囲気を再現して保存されており、「津軽」の初版本や婦人とのプライベートな書簡など貴重な品々が所蔵されています。「Part1」の旅、五所川原で立ち寄った太宰治の生家「斜陽館」と併せて見学すると、太宰文学に対する知識と理解が深まること請け合います

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 「ブラタモリ」的に地学をいうと、この奇岩群は1793年に起きた地震によって、それまで海食を受けて平坦だった地盤が隆起した姿だ、ということになります。相当に大きな地震だったんですね。そんな場所であることを知ってか知らずか、ここで1,000もの畳を敷いて酒盛りをする津軽のお殿様の……豪毅(ごうき:意志が固くて強く、くじけないこと)というか愚行というか……まあ、そんな感じです
- ★ ここに太宰治の文章を刻んだ碑があるのは多少奇妙な感じがしないでもありませんが、太宰は木造から五能線に乗ってこの地に足を運んでいるようなのです。碑は海岸隆起から200年を記念したもので、碑文には太宰が「盃沼」について述べた部分を刻んでいます。「盃沼」とは何か、お知りになりたい方は、ぜひ「津軽」のご一読を
- ★ 太宰のことですから、ここ千畳敷についても陰々滅々な皮肉を展開したのでは……と思われるかもしれませんが、どうぞご安心ください。太宰は当地について「津軽の、不幸な宿命は、ここには無い。」と言い切っています。なぜ、そう思ったのか、もはや「津軽」を読まねばなりませんよね(笑)

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ここで気分を転換しましょう。青森といえば、リンゴの味が口に広がるくらいイメージが直結していませんか? そうです、今回の行程では、手塩にかけて育てられたリンゴ畑と青森県の霊峰・岩木山のコントラストを味わえる、すばらしい景色に出合うことができるんです
- ★ 今回の旅は太宰さんと森沢さんの“青森三部作”をモチーフにしていますが、森沢さんのほうは弘前の食堂やカーリング、縄文の世界観を舞台としていてリンゴ畑とはちょっと遠く、作中では出合うことがありませんでした。一方、太宰さんのほうは──
- ★ ──リンゴについて記述しています。ただし、太宰さんの手に掛かると、あれほどの特産物も“歴史の浅い”軽薄な産物になってしまうのです。太宰にとって青森の特産物は、何をおいてもヒノキ(この場合はヒバ)を第1等とし、それこそ「伝統を誇つてよい」ということになるのです。あっ、そういえば「Part1」で訪ねた太宰の生家「斜陽館」は総ヒノキ(ヒバ)造りでしたよね……なるほど、なるほど
- ★ 最近のリンゴは甘くて、大好物になってしまいました。品種の違いもあるのかもしれませんが、昔は酸っぱくてどうも……という感じでした。品種改良の努力ってすごいですよね

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 太宰は木造駅に来て、まずダジャレをかまします(笑)。木造警察署の看板を見て、なるほど“もくぞう”の建築物か……とうなづくのです。そうして「はつと気附いて苦笑したりなどした。」──
- ★ 駅舎に張り付くように造られた土偶は、思った以上に大きく迫力に満ちています。“遮光器”を付けた土偶の「目」は赤く発光させることができるようになっていて、設置からしばらくの間は列車の発着に合わせて点滅させていたといいます。人呼んで「いらっしゃいビーム」と言ったとか言わなかったとか
- ★ しかし、周辺住民から「子どもが怖がる」「不気味だ」といった苦情が寄せられ、間もなく点滅は自粛することに……という顛末に涙が止まりません。ふるさと創生って、こういうことを言っていたのでしょうか……?
- ★ ちなみに、木造から10㎞ほど北に行くと、この遮光器土偶や火焔(かえん)式土器などが発掘された世界遺産「亀ヶ岡石器時代遺跡」があります。画像の最後にその入り口に立つモニュメントを掲げました。パワースポットを巡るのも良いかも。ご参考まで

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ここからは“青森三部作”に入っていきます。まずは「青森キックドロッパーズ」(三部作の2作目)から。青森県の公園といえば、桜の名所で名城を擁する「弘前公園」をまずは思い浮かべる人が多いと思います。ですが、そこは文学旅行、一筋縄ではいきません。県外者にとっては馴染みの薄い「合浦公園」をご案内いたしましょう
- ★ というのも、上記の小説はカーリング競技を通した青春物語で、主人公たちは「青森市スポーツ会館(オカでんアリーナ)」で競技に熱中する一方、この合浦公園でトレーニングに励むのです
- ★ 上記の小説を含めた“青森三部作”は、最初の作品である「津軽百年食堂」に登場する主人公たちが、以降の2作品中ところどころで登場する仕掛けになっていて、なおかつ3作全編にわたって青森の名所や隠れたスポットが散りばめられており、いろいろ“狙ってる”ことがよく分かるのですよ(笑)。私たちとしては、そこにまんまと乗っかり、森沢さんも好きな“プロレス”をしようか……というわけなんです
- ★ 文学旅行的には、ほかにも特筆すべき事項として、公園内に31基の石碑が点在することを挙げておきます。すべてを列記できませんが、一つひとつ探して歩くのも秘めた楽しみになる……かも(笑)。4月中旬には市内西部に位置する「野木和公園」とともに「青森春まつり」が開催されるので、その時季の文学旅がおすすめです
青森県観光物産館アスパム

青森県観光物産館アスパム

昼の景色

宵の頃合いも良い宵
青森県のランドマークとして知られる県内最高層の観光施設。「アスパム」の名称は、Aomori(青森)、Sightseeing(観光)、Products(物産)、ansion(館)の頭文字から。外観デザインはAomoriのAをかたどっている。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 続いては、青森の中心市街へまいりましょう。県内の物産──地酒、お菓子、果物、スイーツなどなど、あらゆる特産物が集合しています。ここでお土産を買い込むのも良いかもしれませんね。また、県内最高層の建物で13階展望台にのぼってごらんなさい(有料)。青森市街はもちろん、 下北・津軽・夏泊(なつどまり)の半島や陸奥湾を360度ぐるりと一望でき、まるで青森県を制覇した気分になれますから──
- ★ 展望台から眺望する青森湾・陸奥湾は、今から1万2千年前(縄文時代の草創期)には海面が現在より40~45mほど低かったと考えられているそうです。つまり、その頃はまだ陸地だったんですよ。そんな想像力を使って眺めてみると、目の前の景色が別の楽しさにあふれてきます
- ★ 実は、こちらにご案内したのは、お土産を物色するほかに、昼食をいただく予定だったからです。上記「青森キックドロッパーズ」で主人公の女の子が、ここに入居するステーキレストラン「はなぁふ」で“別れ話”をしていたのです。ですが、直前になって、そのお店の閉鎖が判明……コスパに優れたお店だっただけに、何ともはや残念(泣)。さて、そうとなれば──
みちのく料理 西むら

みちのく料理 西むら

つがる定食

縄文定食

ほたてづくし定食

おまかせ海鮮丼定食

店内からの眺望は抜群
アスパム10階にある郷土料理の老舗。タラの「じゃっぱ汁」をはじめ、新鮮な魚貝類を使った郷土料理を一年中味わえる。陸奥湾を一望できる人気の席は予約が必須。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ──というわけで、お昼ご飯は同じアスパムの中で「みちのく」郷土料理をたらふく食べるチョイスをしました。文学しばりならば、たとえば「津軽百年食堂」の津軽そばもよいかなとも思ったのですが、ここはやっぱり新鮮な魚貝類を食べたいっ、それも陸奥湾の景色を眺めながら、そう考えました。この施設でした別れ話は、のちにどんな方向へ発展するのやら……
- ★ どのメニューもみちのくを味わえるのがうれしい! 例えば「津軽定食」の「じゃっぱ汁」=タラの「じゃっぱ(アラ)」と野菜を煮込み、塩や味噌で味付けしたお椀の懐かしさ。ホタテの貝を鍋のように使う「貝焼きみそ」の濃密な味。ニシンの切り込みに箸を移せば、その珍味に思わず「な、生ビールをお願いします」と……いかん、いかん、クルマだった……たまりましぇーん
- ★余談ですが、冬に青森で本当のタラを一度食べてみてください。吃驚しますよ。東京で流通するタラとは別物ですから!
- ★ 昔ながらの郷土料理を提供して30余年だそうで、同じ年月を加算するように営業を続けてほしいお店です。なぜかって? それはですね、「百年食堂」にかかわってくるからです。青森県が定めた「百年食堂」の定義は、3世代、70年以上続いている大衆食堂だそうですから──
特別史跡・三内丸山遺跡

特別史跡・三内丸山遺跡

高床建物

六本柱建物と倉庫

建物内部

冬景色

竪穴建物
縄文時代前期~中期(現在から約5900~4200年前)の大規模な集落跡。たくさんの竪穴建物跡や掘立柱建物跡、多量の土器や石器、貴重な木製品、骨角製品だけでなく、翡翠や黒曜石(こくようせき)などの交易品が出土している。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ いや〜昭和生まれなので、縄文時代は狩猟採集社会で定住していなかった、と教わったものでした。定住するようになったのは稲作が伝わった弥生時代からだ、と。それが今や、縄文時代は豊かな自然の恵みを受けながら採集、漁労、狩猟を行い「定住」していた、ということになっているのですよ。ここ「三内丸山遺跡」で縄文人が定住していた期間は、およそ1700年! だそうです
- ★ ……ということはですよ、稲作に不向きだった寒冷地は、日本がコメを経済の中心にする社会になっていくに従い、貧しくなっていった……と考えることもできるのですよ。むしろ縄文時代のような狩猟漁猟を続けていたほうが、争いもなく豊かだった……と
- ★ 遺跡からは魚や獣の骨だけでなく、クリやクルミをはじめとする木の実が大量に出土しています。 周辺にはクリ林が広がっていたと推定されており、あの巨大な「六本柱」建物にはクリの樹が使われていたんです。しかも驚くことに翡翠の大珠が発見されており、翡翠は新潟県糸魚川が主産地であることから、広域交易社会がここにあったことがわかっているんです! 青森の縄文人は、何とも「いい感じ」で暮らしていたのではないでしょうか。でなければ1700年も定住できないですよね
- ★ 太宰が生きた時代には、こうした世界認識はありませんでした。太宰が知ったら何と言ったでしょうか。この遺跡に来たのは青森三部作の最終作「ライアの祈り」を体感するためでもありました。縄文の世界観をファンタジー風味で味わうのに、青森は最適な場所かもしれませんね

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 「ライアの祈り」の主要舞台である八戸にやってまいりました。次のスポット10に車を預け、徒歩で“横丁”にご案内いたします
- ★ というのも、上記作品の主人公たち( 眼鏡店の店長である女性と考古学者で四十路男性のカップル)は、横丁街へ繰り出して「せんべい汁」のうまい店に行くのです。そこで注文される品々は、「鯖缶せんべい」だったり、「モツ入りせいべい汁」だったり……こんなにバリエーションがあるのかっ! とびっくりさせられるものばかり。八戸には横丁と呼ばれる場所が8つあり、主人公たちは「ハーモニカ横町」「たぬき小路」「れんさ街」(れんさ街には「ロー丁れんさ街」と「長横町れんさ街」とがあり、どちらへ行ったかは不明……)の3つの横丁をハシゴするんですっ
- ★ 私たちは「みろく横丁」で、うまいせんべい汁を探すことにしましょう。みろく横丁がほかの横丁とは違ってユニークなのは、ここで開店した店は3年後に「卒業」しなければならない約束事を設けていること。横丁を「起業のふ卵器」として、やがては大きく巣立ってほしいという願いが込められているそうです。厳しそうですが、こういうシステムは応援したいと思います
- ★ 「みろく横丁」の名は、八戸市の三日町と六日町にまたがって立地することから名づけられたといいます。勝手に「みろくぼさつ」に関係するのかな? などと勘違いしていました(苦笑)

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ いや〜、遊びました。飲みました。食べました。もう帰路につく気力がありません(笑)。というわけで、癒やしのエコノミーホテルに泊まっちゃいます。こちらのホテルチェーンは、快眠を追求しており、心地よい堅さのベッドに横たわるとき、枕の柔らかさと高さを選べるんですっ!
- ★ ほかにも、天然温泉が完備されているのは、なかなかありがたかったです。「三社の湯」と名付けられた温泉の雰囲気は、画像のとおり。熊ノ沢温泉の地下800mから汲み上げた源泉を使用しているそうです(循環濾過)
- ★ まだまだ“推し”はあるのですが、無料の朝食とレディースルームの対応状況の詳細については直接店舗へお問い合わせください
- ★ 温泉に浸かって、ぐっすり快眠。翌朝はスッキリした目覚めで、帰路に……ああ、もうだめです、おやすみなさい……
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青森文学旅 Part1 太宰治「津軽」を追体験する旅へ
東津軽、五所川原、西津軽(青森県)
予算:15,000円~


NPO法人文学旅行主宰鹿子沢ヒコーキ
三沢空港発着 青森の自然とグルメを堪能する2泊3日の旅
三沢、十和田、田子、八戸(青森県)
予算:72,000円~


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青森・三沢空港発、秋田空港着 歴史とグルメを知り尽くす2泊3日の女子旅
三沢、十和田(青森県)、小坂、鹿角、北秋田、仙北、秋田(秋田県)
予算:82,000円~


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JAL社員おすすめ! 青森・秋田を遊び尽くす3泊4日の旅
三沢・十和田(青森県)、小坂・大館・能代・三種・男鹿・潟上・秋田・仙北(秋田県)
予算:119,000円~


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