絶景を撮影する陰には苦労も...それでも続けるドローン旅

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2021.12.06

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絶景を撮影する陰には苦労も...それでも続けるドローン旅

以前、「ひとりで順調に事故ってます(笑) それでもドローン旅は続く」というタイトルの記事を書きました。どうやらみなさんお好きなんですよ、こういうの(笑)。よく読んでいただき、ぶっ壊している甲斐があるというものです。以降も順調に壊し続けて、今のドローンは8機目ですよ。みなさんの代わりに破壊しておきましたので、どうぞ読んで、見て、スカッとしてください。

目次

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宮古島で、まさかの○爆?!

フィリピンの離島の、さらなる離島で御臨終

美しいものにはワナがある?! 虹の誘惑で危機一髪

初めての橋桁激突、崖の下、どハデな墜落劇!

おわりに

宮古島で、まさかの○爆?!

まずは、宮古島での残念なお話をお届けいたします。

いい夕暮れだったんですよ。どこか切ないようなしっとりした雰囲気。波のない静かな静かな海には、ばっちり夕焼けが映り込み……世界が淡〜いゴールド。太陽の光と、残り陽と、海と、自分が作る波紋と……たくさんの掛け合いにうっとりして、海の中でくるくる回って撮り続けました。

そして着陸。静かな海だから大丈夫、水ギリギリでの着陸シーンを残したいなと、波打ち際にちゃくり……く!!? こんな時に限って、波がきた!

……チーン。

波被りましたよ。しばらく頭も体も固まりましたねぇ。まだまだ宮古島での撮影日程は残っているというのに。

ところでみなさん、お気づきになりましたでしょうか? 上の動画を再度見直してみてください。着陸ギリギリのところで、わたしは「波が来た、救わなきゃ!」と、ドローンに駆け寄ったのですが、そのときに蹴り上げた海水が機体にかかっているではありませんか! まぬけか(笑)。

宿に戻って動画を確認した時は、宙をあおぎましたね。だいぶ壊し続けてきたけど、このタイプの自爆は初めてだなぁとしばし遠い目。からの爆笑! ネタ持ちだなぁ自分。

そしてさらなるご報告。潮を取り去るよう機体をよく拭いて、一晩乾かしたところ動きましたよ! どうやら「海水を蹴り上げた」というのがポイントだったようです。この時使っていた「DJI MAVIC2PRO」という機体の大切なところは機体の下側、お腹の部分についているので、上から被った海水はそこに侵入しなかったみたい。よかったー!!

フィリピンの離島の、さらなる離島で御臨終

さて、これはコロナ前の出来事。フィリピンはエルニド、最高にかっこいい多島海に囲まれた地域です。そんな島々の中でも、マティンロックという島に行きました。宿泊施設としては、マティンロックリゾートという別世界的最強リゾートホテルだけがある島です。

なぜここにしたのかというと、エルニドのいろんな写真をネット検索していて、たまたまマティンロックリゾートの桟橋の写真を見てしまったのです。うわーこれ、空から見たらかっこよさそう! どうにも撮りたくなっちゃいましてね。むっちゃ高いけど、このクオリティを日本や他の国で味わうならもっともっと高いはず。一回くらいそんなホテルに泊まる経験もしてみたいし、エイヤッと泊まったというわけです。

ちなみに99%のお客さんがカップルで、ハネムーナーも多く……島へ渡るボートに乗る時、スタッフさんに

「え。ひとり?」

と、一瞬周りをキョロキョロして確認したあげく吹き出されましたけど(笑)。
そこまでして撮りたかった写真がこちら。

エルニドの海には、沖縄のキレイな海とは決定的に違う風情があるんです。それは、いきなり深い! 沖縄の海はサンゴ礁の浅瀬が続くから正反対。海の色の印象が、沖縄はエメラルドグリーンなのに対して、エルニドは真っ青。潔くって魅せられます。マティンロック島から数十メートル離れたところでスタッフさんがボートを浮かべて釣りをしていたのですが、かかったのが深海魚でびっくりしました。聞くとすでに水位100mなんて言うから、初めは聞き間違えたかと思いましたよ。

さて、カヤックに乗ってホテルエリアから少し離れると、ギザギザツンツンの岩山に囲まれたすっごいビーチまでやってきます。マティンロック島はリゾート以外のエリアはジャングルなので道がなく、カヌーで回るしかないんです。

もちろん、ドローンは防水バックに入れてカヤックに積んで持ってきていましたよ。砂州からもフライト、超絶景の中、心地よすぎ! そしてこちらが、このときのドローンを使った最後の写真です(笑)。

シャッターを切ってから着陸して電池を交換、再離陸のためドローンを砂の上に置きます。岩に囲まれ波がないから、海スレスレの離陸を撮ろうと波打ち際の近くまで移動して……もっと近くまでいけるかな……あと一歩近くてもいいかな。少しずつじりじりと離陸ポイントを海に寄せていき、さあ離陸。と思った瞬間、ザッパーン! 突如の波がドローンを飲み込んだ?! ほとんどなかったはずの波が大盤振る舞い、気前いいね! 宮古のケースとは違い波に襲われたので、機体の上も下も海水に浸かって一発KO!

そうして、潔くドローン旅は終了。あとの時間は、シュノーケリングをして、プールに入って、エステを堪能して、お土産を買って……普段、旅の99%の時間をドローンに費やすわたしにはなかなかできない、ザ・リゾーターを満喫しましたとさ。

美しいものにはワナがある?! 虹の誘惑で危機一髪

さて、今度は神秘的な虹の誘惑で、スコールに突っ込んでいき、ずぶ濡れになった事例です。

ここは石垣、崎枝浜。太陽方面の空がそれはそれは劇的で。うっとりと西へ西へと飛んでいたんです。そんな折、ふと東を向いてみると、あれま!

大きな虹がかかっていたんです、神秘的! すぐさま回れ右。全速力で東へ飛んでいくと、虹は黒い雲から降りてきていました。雨粒に反射した太陽の光が虹ですもんね、なるほどの光景です。

もう俄然、意気揚々ワクワクして虹に突っ込んでいったんです、わたしのドローンは。するとあっというまにスコールの中。送信機のモニターを見ていて、ドローンのレンズに水滴がどんどんひっつくのでわかるのですが、気づいた瞬間ドッキーン! 胸が痛いですよ。再び回れ右発動、全速力で虹と雨雲から逃げるのでした。

自分のいる浜に戻ってきたときは両手を広げてお迎えです。「ごめんね〜冷たかったでしょ」ほおずりのうえ、なでなで。それにしてもずいぶん濡れちゃった! これはだいぶハラハラの状況ですよ……しっかり拭きあげて、その日のフライトは終了。一晩乾かすと……ドローンは息を吹き返したのでした!

濡れた原因が潮水ではなく雨の真水だったこと、また宮古での事例同様、お腹部分のドローン基部には影響がなさそうとのことで、大丈夫でした。一時的に動きがおかしくなったり、レンズが曇ったりもするけれど、雨の場合、乾かせば通常運転にもどってくれることが多くてほっとします。

初めての橋桁激突、崖の下、どハデな墜落劇!

この数ヶ月間、香川県観音寺市の山の中、五郷ダムの上流が工事のために水が抜かれてカラッカラなんです。普段はダムの底になっているところをのぞけるのはなかなか興味深いです。こんな貴重な瞬間の風景はぜひ撮っておきたいな。

どうです、橋の下もスッカスカ。こんな機会はめったにないので、くぐってみようかと思いまして。橋桁と橋桁の間もどうやら広いし、なんにも心配せずにスイーッとね。と、軽い気持ちで橋の下、自分の下を飛び始めました。ところが!

送信機を見つめる目がパチクリしましたよ。何が起こった? まさか、橋桁に激突して落ちた? 島でたびたびやってしまう、アダンの茂みに突っ込んでいく衝撃緩和型の墜落とは違って、なかなかの強打だったみたい。機体の電源も瞬時に切れてしまいました。こうなると位置情報も得られず、もうどこに落ちたのか検討もつきません。

目を凝らして橋の上からはるか谷底にドローンの点を探すけど……あった! 同行していた方が見つけてくれたんです、すごい視力。そしたらもう、崖を降りてドローンを救出するしか選択肢はありません。ただ、崖の下へは崖そのものを降りていくしかなさそう……瞬間的に、わたしは崖をほとんど滑り落ちて行ったのでした。どうでもいいけど、その時履いていたアミタイツはびっしりオナモミだらけ、肌にも刺さりまくってイッタイなー(笑)。

見つけたドローンは泥まみれ。痛々しいったらありゃしない。もうひたすら謝りまくりです。「ごめんね〜痛い思いさせてごめんね〜」。動かなそうな気配しかないけど、回収できないよりは100倍うれしい! 大切な撮影データも入ってるしね。

再開の喜びの記念写真ですよ。そして、崖を上がってペットボトルの水で湿らせたティッシュできれいに拭きあげ、スイッチを入れてみる……動いた!

奇跡が起きたのでした(涙)。ドローンへの思いが通じたみたい〜。

そんなわけで、わたしのドローンは国内外で大冒険の連続! 今は「とまこドローン」の名を脈々と受け継いでの8機目、大切にするからね〜。というか、7機のドローンよ、ごめんなさい!

おわりに

いかがでしょう、それでも好きだから飛ばし続けているんです。ぜんっぜん懲りてない(笑)。その心意気は「だって飛びたいんだもん」。アホほどに自分の欲求に忠実なドローンアーティストの失敗談、ちょっとスカッとするでしょう(笑)?

ひとりで順調に事故ってます(笑) それでもドローン旅は続く

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#ドローン #とまこ #香川県 #宮古島 #フィリピン #観音

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ドローン旅作家 とまこ

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とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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