コスパ最強!“北斎”アートのまち・錦糸町にあるクラフトビール飲み放題の店
みなさーん、こーんにーちはーっ! 食欲の秋ですね。おいしい食べ物がいっぱいで食欲全開の“ビールおねえさん”こと古賀麻里沙です。旬の食べ物には、やっぱりビールの存在が欠かせません。おつまみに合わせて味わいの違うビールを都度合わせたいところですが、クラフトビールってちょっぴりお高いイメージがありませんか? 今回はそんなお悩みを吹き飛ばす、クラフトビール飲み放題のお店を見つけましたよ。芸術の秋も楽しみながら、秋のビール旅を満喫する旅へ……レッツゴー!
目次
世界的アートに触れる北斎通り
ここ、どこだかわかりますか? どこかで見たことのある絵が並んでいますね。ここは錦糸町から両国まで続く「北斎通り」です。世界的に著名な葛飾北斎は、生涯のほとんどを墨田区で過ごしました。墨田区内で93回もの引っ越しを繰り返したんだとか。代表作である「冨嶽三十六景」には当時の墨田区周辺の景色も描かれています。
通りを歩いていると至る所に北斎色を感じられます。名前に北斎がつくお店もチラホラと目に入ってきて、見つけるのが楽しくなってきました。約1kmの通りには、街路灯や公衆トイレなど合わせて103枚の北斎作品が掲示されているのだそうです。
「あと10年、いや5年でよいから生きさせてくれ、そうすれば真の画工になれる」
北斎が死に際に放った言葉です。絵を描くことに対する執念が詰まった一言。日本国内にとどまらず、マネやモネ、ゴッホなど世界的な芸術家に影響を与えた北斎らしい最期ですね……。
すみだ北斎美術館
看板の先に進んでいくと見えてくるのが「すみだ北斎美術館」。かっこいい建物ですね~。ここには貴重な北斎の作品の数々が展示されています。学校の教科書にも載っている冨嶽三十六景に北斎漫画、弟子たちのために描いたとされる絵の見本など、見どころがたくさん。
なかでも全長7mの絵巻は見応え抜群でした。しばらく行方不明になっていて、100年ぶりに再発見されたという幻の絵巻です。「隅田川両岸景色図巻」という作品で、両国橋付近から新吉原へ向かう隅田川両岸の風景が描かれています。現在の地図と見比べてみてもかなり正確で、その繊細さに興奮して7m絵巻を端から端まで何度も往復してしまいました。写真はNGだったので、この興奮を味わいたい方はぜひ実際に見に行ってみてくださいね。
もうひとつ興奮、というかびっくりしたのは蝋人形。食い入るように夢中で北斎作品を見ていたのですが、ふと振り返った瞬間……びくぅっっ! 展示室の真ん中辺りに和室のセットが組んであって、そこには晩年布団に入りながら絵を描く北斎の姿が。かなり精巧なつくりで、あまりにもリアルな蝋人形。思わず心臓が飛び跳ねました。あーびっくりした。じっと見ていると機械音とともに手がわずかに動きます。……いや、怖いわ。
◆すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
電話番号:03-6658-8936
開館時間:9:30~17:30(入場は閉館の30分前まで)
定休日:月曜日、年末年始
超贅沢! ワンコインで三大珍味が味わえる「北斎麦酒工房」
北斎アートにたっぷりと浸ったあとに向かったのは「北斎麦酒工房」。醸造所併設のレストランなので、出来立てのフレッシュなビールを楽しむことができます。さすが葛飾北斎ゆかりの地、こちらの店名にも北斎の名前が付いていますね。
ビールメニューを見てみると、なんと……! 飲み、放、題だ…と……!? Sサイズで一杯650円のクラフトビールが1,000円で飲み放題とはどういうこっちゃーーー! なんて太っ腹なの、北斎麦酒さん(感涙)。北斎麦酒工房ではランチタイムのみ60分1,000円でビールの飲み放題を楽しむことができます。自家製ビール6種類に期間限定ビールが3種類という、うれしいラインナップ。もちろん迷わず「飲み放題でお願いします!」と言いました。まずは食前酒に白ビールを頼んでみましょう。
きめ細かな泡、美しい液色。柔らかな口当たりに苦味は控えめで軽やか。すっきりとした味わいなので、白ビールは1杯目にぴったりです。今日はたくさん歩き回ったので、ビールがよりおいしく感じられます。お腹もぺこぺこ。ということで、お店に入った時から気になっていたおすすめメニューの“スッシーニ”とやらを注文してみます。
破壊的なビジュアル。これは贅沢すぎるやろ! 小ぶりなシャリの上に和牛、フォアグラ、トリュフがドドンと覆いかぶさっています。世界三大珍味の2/3を一気に味わう贅沢。軽く炙られた和牛は美しい赤が煌めき、まるで成人式の振袖のよう……いや、北斎が描く女性画の着物のように鮮やかです。そしてその上に乗った肉厚のフォアグラ。濃厚な旨味がとろけて口の中に広がります。鼻からふんわりと抜けていくのはトリュフの上品な香り。はぁ、幸せ。余韻を壊したくないので、ここは主張の控えめな白ビールで口の中を締める。何個でも食べたい最高のペアリング、ここに完成です。
食欲が刺激されたのでメインをいただきます。頼んだのはベーコンと季節野菜のペペロンチーノ。旬のナスとキノコがたっぷりと入っていて、唐辛子がピリリと効いたシンプルパスタ、うんまいっ! ベーコンの旨味と塩味をたっぷり吸った茄子がジュワッといい味出しています。「秋茄子は嫁に食わすな」なんていじわる言ったの誰? こんなにおいしいものはみんなで一緒に仲良く食べなくっちゃね(私はひとりで全部平らげました)。
辛味や刺激があるものにはIPAがよく合います。ほんのり痺れた舌にIPAの刺激が効く~。爽やかな柑橘香にガツンとくる苦味。口の中をさっぱりとリセットしてくれるので、次のひと口が欲しくなって食が進みます。
最後はゆったりと黒ビールを飲んで締めましょう。コク深い麦芽の甘みがじんわりと体に染み渡っていきます。時間が経つにつれて濃く広がるカラメルの香り。デザート代わりにちょうどいい甘さです。大満足のランチタイムでした! お客さんのなかには、60分の間にクラフトビール全種類制覇する強者もいるらしいですよ。私も次回は制覇目指して、またリベンジしてみようと思います。
◆北斎麦酒工房 東京楽天地店
住所:東京都墨田区江東橋4-27-14 楽天地ビル 1F
電話番号:050-5457-4609
営業時間:11:30~21:00(LO20:00)、金・土・祝前日は11:30~22:00(LO21:00)
定休日:月曜日
ビール豆知識「北斎とビール」
葛飾北斎が活躍した1760~1849年ですが、実はまだ日本でビールは造られていませんでした。ビールが最初に文献に登場したのが1724年の「阿蘭陀(オランダ)問答」で、「殊のほか悪しき物にて何のあぢはいも無御座候(ござなくそうろう)、名はヒイルと申候」と記されています。何の味わいもない悪い物という意味で、かなり否定的。日本でビールが本格的に造られ始めたのは、この文献から読み解くに100年以上後の1869年からです。北斎がビールという飲み物を知っていたか知らなかったかはわかりませんが、北斎の絵画は日本人が初めてビールを味わった国・オランダでも高く評価されていたようです。ちなみに北斎は下戸で、お酒は全く飲まなかったという説が残っています。
余韻まで大事にしたい秋のビール旅
芸術の秋に食欲の秋、北斎のアートとビールにすっかり酔いしれました。昔の日本を覗き見たような高揚感で体が火照ったので、ビールで程よくクールダウン。その地の歴史に触れ、その地で造られたビールを飲む。これぞビール旅の楽しみ方ですね。
北斎麦酒の瓶ビールは葛飾北斎の作品がラベルになっています。お土産の品を家で傾けながら旅の思い出を振り返るのも、旅の大事な余韻の時間ですよね。さて、次はどの町を散策しようかな。だんだん涼しくなってきて外も歩きやすくなってきたので、また新しいお気に入りの場所を開拓してみたいなと思います。
それではまた次のビール旅でお会いしましょう!