身近なところに冒険が! 初心者でも楽しめる「自転車旅」の始め方
「趣味は何ですか?」という質問に『自転車旅』と答えると、いつも珍しいと言われます。つまり、それほど自転車旅が世の中に普及していないのですが、この旅に魅せられて7年が経過しました。冒険心を解き放つ快感や、目に焼き付いて離れない絶景、空腹時にいただく最高のグルメなど、飽くなき魅力に富んでいる自転車旅。「もっと自転車旅を楽しむ方がいてもいいのでは?」今回、そんな思いから筆を執ってみることにしました。まずは初心者に知ってほしい自転車旅の魅力をお伝えします。
目次
始めは通学用。日常の足から、旅の相棒へ
私がスポーツ自転車に触れるきっかけとなったのは、大学時代の通学です。自転車旅をしていると「日本一周でもしていたんですか?」と質問されることがありますが、もともと大仰な目的を持っていた訳ではありませんでした。
当時、偶然にも自転車通勤に熱中していた父からのすすめで、クロスバイク(スポーツ自転車)を購入したのが始まりでした。1台7万円以上もする高価な自転車なので、最初は購入を迷ったものの、今となっては手に入れる決断をして本当によかったと感じています。
自転車に乗るやいなや、すぐにスポーツ自転車ならではの疾走感の虜になりました。そしてまだ行ったことのない場所を、自転車で走る楽しさに目覚めていったのです。
それから、みるみるうちに通学4km→バイト通勤60km→琵琶湖一周200km→北海道1,000kmと、走行距離を伸ばしていきます。気づいたときにはクロスバイクは日常の足でなく、旅の相棒へと変わりました。
そのあとロードバイクをすぐさま2台購入して、より自転車へ傾倒した話は長くなるので、また別稿を期したいと思います。
自転車に乗ると、フットワークが軽くなる!
クロスバイクを手に入れて一番変わったことは、フットワークの軽さです。半年ほど乗っていると、自宅から10km圏内は近いと感じるようになりました。例えば、スポーツ自転車では一般的に、平均時速15~20km/hで走ることが可能です。信号の多さにも影響しますが、10kmであれば30分〜45分ほどで到着できます。
走ること自体が楽しいのはもちろんですが、スポーツ自転車に乗れば、隣町にあるカフェや観光スポットなど、行ける場所を格段に広げることができるのです。
そして自転車の楽しみ方に大きく影響を与えてくれたのは、2年にわたるバイト通勤です。大学時代、京都市に住んでいた私ですが、大阪高槻市まで片道約30kmを自転車通勤していました。
今思えばなかなか酷ですが、当時は交通費を少しでも節約するために必死でした(笑)しかし、この距離を当たり前に走れるようになる頃には、距離に対するハードルは下がり、行ける限りどこでも自転車で行く習慣が身に付いていました。
ここまで来ると、あとは一歩踏み出すだけで、自転車で日本各地を旅できるようになります。
いろいろな種類がある自転車旅。初心者で始めやすいのは?
ひとえに自転車旅と言っても、そのスタイルは実に多彩です。例えば、以下に一例を挙げてみたいと思います。
①宿に泊まったり、テントを積載して日本各地を走る「ツーリング」
②近隣のエリアを1日で走り回る「ロングライド」
③絶品グルメを求めて、週末だけ走る「グルメライド」
④交通機関を活用しながら、自転車の機動力を生かす「輪行旅」
⑤旅先で自転車を借りて、観光スポットを巡る「レンタサイクル旅」
※輪行:自転車を専用の袋に入れて交通機関で運ぶこと
このように何を重視するかで、旅の楽しみ方は大きく変わっていきます。自転車に乗り続ける中で、方向性が変わることも多いです。私も②ロングライド→①ツーリングの旅スタイルにシフトしてきました。
上記に挙げた中で、まず初心者の方におすすめしたいのは「レンタサイクル旅」と「グルメライド」という2つのスタイルです。
レンタサイクル旅であれば、自分の自転車を持つことなく自転車旅を楽しむことが可能です。初期投資というハードルがないのが最大のメリット! 昨今はスポーツ自転車のレンタサイクルも増えていますし、スポーツ自転車を貸し出すお宿も出てきています。
グルメライドについては、社会人が自転車を始めるときに特に有効ではないかと思っています。休日日帰りで楽しめて、運動の習慣化にもつながり、おいしいものもお腹いっぱい味わえる。まさに魅力尽くしです!
こうしたグルメライドを目的とする自転車サークルは、インターネット上でも多く募集されているので、一人で不安という方でも始めやすいでしょう。
自転車の選び方、どんな車種がある?
最後に「スポーツ自転車を購入するなら、どんな車種がいいか」ですが、参考までに簡単に代表的な車種をご紹介したいと思います。スポーツ自転車は、主に3種類に分けられます。
①クロスバイク
日常の足から自転車旅までこなせる、スポーツ性と使い勝手の良さを兼ね備えた自転車です。価格は5万円前後からと比較的リーズナブルなので、自転車入門者におすすめできます。アルミ素材のものが多く頑丈なので、1度購入すると長く乗ることができますよ。
②ロードバイク
長距離を速く走ることに適した、よりスポーツ性の高い自転車です。主な素材はアルミ、スチール、カーボンの3つで、特性や価格が少し変わってきます。
アルミ:10万円前後〜20万円/頑丈、もっとも標準的な乗り心地
スチール:10万円前後〜20万円/頑丈、バネのある滑らかな乗り心地
カーボン:25万円以上〜/軽量、シャキシャキ加速する乗り心地
ややハードルが高いのが難点ですが、自転車にどハマりする自信のある方は、クロスバイクよりこちらがおすすめです!(笑)
③小径車
ホイールベースが短く、もっとも積載性があり、輪行旅に向いている自転車です。価格は5万円前後から。この車種は、星井さえこさんの著者『おりたたみ自転車始めました』(KADOKAWA)にて、とっても分かりやすく紹介されているので、ぜひ読んでみてください。
以上、初心者が「自転車旅」をはじめるときに知っておくといい情報を簡単にご紹介しました。本稿はあくまで導入編です。これからより具体的に、日本各地の自転車旅についてお伝えしていきますので、お楽しみに!