「縁」で広がる農業の輪! 栃木の農家で学んだ農作業の尊さ

栃木県

2022.02.28

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「縁」で広がる農業の輪! 栃木の農家で学んだ農作業の尊さ

みなさんこんにちは! 農業旅・アンバサダーの川瀬良子です。“農作業大好き”な私から、これから農業旅の魅力をしっかりと発信していきたいと思います。久しぶりの更新ということで、今回は私が携わっているプロジェクトについてお伝えします。農業旅ってどういうこと? と思っている方にぜひ知ってもらいたいです。

文・写真/川瀬良子

目次

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「農縁プロジェクト」のきっかけになった栃木の農家・宮下さん

ドライブや農作業のあとの温泉も農業旅の醍醐味

畑ではこんなことをしています! ある日の作業風景

大変さと楽しさが、身近な野菜につながっています

「農縁プロジェクト」のきっかけになった栃木の農家・宮下さん

2013年から、定期的に栃木県の農家・宮下仁さんのところを訪ね、農作業のお手伝いをしています。

栃木県の農家・宮下仁さん

栃木県の農家・宮下仁さん

栃木県の農家・宮下仁さん

農薬不使用、無化学肥料の野菜はどれも抜群においしい!

宮下さんは、陶器で有名な益子町(ましこまち)にある、広さ約500坪の畑をお一人で管理されていて、年間約30種類の野菜を作っています。宮下さんが作る野菜はどれもおいしいのですが、特に好きな野菜は、夏~秋に収穫できる丸いナス「ローザビアンカ」。

ローザビアンカ

加熱すると、とろっとろのとろける食感になって、採れたてを畑でバーベキューでいただくと最高なんです!

私が知り合った頃は東京で広告関係の仕事をされていた宮下さん。土づくりに欠かせない堆肥(たいひ)のPRをしたいと相談を受けたことで農業に出会い、次世代に残せる環境・農業を勉強するうちに、自ら農業の道へ。そして、2013年、栃木県へ移住、新規就農されました。

私自身は、2009年から友達とお米作りをスタート(どうして農業にハマったのかは、1回目の記事をぜひ!ご覧ください)。2010年からは、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」の司会が始まり、もっともっと野菜作り、農業の知識を深めたい! と思っていた時に、宮下さんから「手伝いに来てよ」と声をかけていただき、お手伝いに行くようになりました。

地元の農家さんや、ラジオ局の方も協力して下さり、農作業だけでなく、地元の高校生と加工品作りにチャレンジしたり、こんにゃく作りを地元のおばあちゃんに教えていただいたりも。「これも何かのご縁!栃木県を盛り上げたい」と強く思うようになりました。

そして、「農」が繋いでくれる「縁」を大切にしたい。という思いを込めて、この活動を「農縁プロジェクト」と、名付けました。

農縁プロジェクト

みんなでつくった「農縁プロジェクト」の看板

その様子を、毎回SNSで発信していたら「農作業って楽しそう!一緒に行きたい!」と、友達や身近な方たちから連絡をもらうようになり、東京からみんなで通うように。「農作業経験ゼロの方でも、まずは農業に触れてほしい」と、快く受け入れてくれる宮下さんに本当に感謝です!

農縁プロジェクト

気付けばさまざまな「縁」でたくさんの人が集まりました

ドライブや農作業のあとの温泉も農業旅の醍醐味

ひとりの時は電車で行くのですが、友達が参加するときは車で向かいます。東京から益子町の畑までは約2時間半。向かう途中、佐野サービスエリアに寄ってパンやコーヒーを買うのも楽しみの一つです。畑に着くと宮下さんは作業の手を止めて、笑顔で迎えて下さいます。すぐに長靴に履き替えスイッチオン! 耕したり種まきをしながら恋愛の話をしたり、仕事の愚痴をこぼしたり。畑なので、人の目を気にすることもありません(笑)。お昼には、採れたての野菜を畑で食べて、おいしーーー!と叫び、作業後は、近くの温泉で疲れを癒してから帰る。これがほんっとにサイコー!なんです!まさに、農業旅。

この経験を味わうと、また友達が友達を呼んで、畑で「はじめまして」と出会う方もたくさんいるのですが、何時間もみんなで雑草を抜いて、ふと振り返るとすっごくきれいになっていたりと、一緒に達成感を感じることができる瞬間がたくさんあるので、自然と仲良くなれちゃうのも農作業の魅力です。

農縁プロジェクト

農家さんや参加者との交流も農業旅の魅力です

そんなことを続けていたら地元の新聞が取材をして下さり、その記事を見て地元のご夫婦が農縁プロジェクトに参加。さらに、私のツイッターを見て、埼玉県から資材などを提供してくれるご家族も! まさにいろんなご縁で、年齢も職種もさまざまなたくさんの方達と気づけば“10年間”農作業を楽しんでいます! この農縁プロジェクトに参加したことをきっかけに、新規就農した仲間もいるんですよ!

農縁プロジェクト

農業をきっかけにご縁がどんどんつながっていきます!

畑ではこんなことをしています! ある日の作業風景

重労働で大変なイメージを持つ方も多いだろう農作業、ここで野菜作りをスタートする、とある一日の作業をご紹介します。

宮下さんの畑は、ほぼ機械を使わないので手作業です。クワで硬い土が柔らかくなるまで耕したら、縦40メートルほどの畝を作ります。その畝に雑草を防止するためのシートを敷き、苗を植え付けるための穴を等間隔にあけて、茎が折れていないかなど苗をチェックしながら並べ、植え付けをしていきます。多いときは、これを ×30畝! このような作業を、緩く斜めになっている畑で横移動しながらも、立ったり座ったりを繰り返し、作業は前かがみで行う時間がほとんど。

農縁プロジェクト

クワを使って畝をつくって……

農縁プロジェクト

植え付けをしていきます

夕方、作業が終わる頃には全身筋!肉!痛!バッキバキです。温泉に浸かりたくなる気持ち、わかっていただけますか~!?

ただ、畑を見渡してみると真っ赤な夕焼けのなか何もなかった畑にまっすぐ綺麗な畝が何列も出来ていて、かわいい苗がびしっと勢ぞろい。来月来る頃にはどれぐらい大きくなっているのかなぁ~なんて宮下さんやみんなで話すとワクワクしてきて、疲れも吹き飛びます。

農縁プロジェクト

大きくなるのが楽しみ!

大変さと楽しさが、身近な野菜につながっています

体ひとつで自然に向き合い、安心安全なお米・野菜を作る。これを宮下さんをはじめとする農家の皆さんは毎日行っています。そして、日本にはご高齢の農家さんもたくさんいらっしゃいます。

農林水産省の「高齢農業者の営農や地域活動への参画に関する意向調査」によれば、「農業就業者は高齢化が進み、平成21年(2009年)には65歳以上の高齢者が6割を占めており、さらに高齢農業者が普段農業にどのようにかかわっているかをみると『自分が中心となって行っている』、『自分1人で行っている』を合わせた割合は、65~69歳74%、70~74歳66%、また75歳以上になっても50%を占めています」とのこと。

驚きますよね。本当に感謝と尊敬です。そして、もっともっと、農業を志す若い方が増えたらいいな、と切に思います。

農縁プロジェクト

子どもにとっても、たくさんの学びがあるはずです

農縁プロジェクトにご家族で参加した方から、「うちの子は野菜が苦手なんですが、宮下さんの野菜だけは食べられる!」という感想をよく耳にします。農家さんのお人柄を知り、真摯に向き合っている姿を見て、一緒に大変さも楽しさも感じると、味わいが変わるのだと思います。

土、作物と触れ合うことと同じように、農家さんとのコミュニケーションの場がとても大切だと思います。

農縁プロジェクト

高齢農家さんの力になれるのも農業旅の魅力です

私は農作業を体験して以来、スーパーなどに並んでいる野菜を見る度に「ここにある野菜は、全部誰かが毎日向き合って愛情を込めて作ってくれた野菜なんだ」と思うようになりました。傷が少しついてしまっただけで安くなっている野菜も味は一緒です。いろんなことを感じるようになってからは見切り品コーナーの野菜から選ぶようになりました。

みなさんぜひ!機会があったら畑に行ってみてください! トマトって、葉っぱからもトマトのにおいがするんですよ! そもそもトマトって、どんな風に育っているのか知っていますか?
畑にはワクワクがいっぱいあります。農家さんがいろんなことを教えて下さいます。大人も子どもも関係なく作業できるのも農作業の魅力です。

「農業体験」や「収穫体験」などで検索してもらうと、お住まいの地域で参加できるイベントなどがあるかもしれません。今は難しい状況ですが、落ち着いたぜひ!「農縁プロジェクト」に参加していただきたいですし「“旅色”農業体験ツアー」が出来たらいいな~!


◆農縁プロジェクト
栃木県の農家・宮下仁さん(@hitoshi_miyashita820)と一緒に立ち上げた栃木県の遊休農地を活用するために立ち上げた農縁プロジェクト。「農」で繋がる人の「縁」を大切に、活動しています
活動の様子は@nouenpjでもご覧になれます。

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#農業 #農業旅 #アグリツーリズモリゾート #農縁プロジェクト

Author

農業旅 川瀬良子

Ambassador

農業旅農業旅

川瀬良子

静岡県出身。NHK 『趣味の園芸 やさいの時間』司会を10年間務める。現在はラジオパーソナリティとしてTFM&JFN日本の農業を応援する番組『あぐりずむ』などで活躍中。2016年『川瀬良子のプランター野菜』(主婦と生活社)出版。 自身が農業好きになったように、一人でも多くの人に家庭菜園、農業に興味を持ってもらいたい!と、きっかけづくりになるようなモノ・コトを創り出している。

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