絵画、映像、空間で体験。草間彌生のヴィジョンに没入する旅
こんにちは! 大石絵理です。
寒い日々が続いていますが、みなさまお元気ですか?
私は家で映画を見たり、本を読んだりしつつも、気分転換にギャラリーを見て回って小さな旅を楽しんでいます。芸術を見ていると癒され、無になれるのでこの時間が大好きです。
さて、今回は少し前に行った草間彌生美術館をご紹介したいと思います。草間彌生さんは誰もが知っている現代アーティストの一人ですが、彼女は幼少期に見た幻覚を、その恐怖を克服するために描きとめたことが作品作りの始まりだったそうです。以降彼女は、内面世界を作品化し続けているといわれています。開催中の展覧会では、絵画だけでなく映像や空間、彫刻作品などさまざまな形で草間ヴィジョンを垣間見ることができますよ。
展覧会「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」
昨年7月から開催されている本展。草間さんが見る多様なヴィジョンをテーマに、過去10年に制作された日本または世界初公開となる22作品が展示されています。
まず、入り口を進むとこちら。連続する横顔をアルミニウム鋳造で形作った日本初公開のレリーフ作品です。草間さんらしい、モワモワとした、気怠く、そしてにぎやかな世界観に迎え入れられました。
2階のギャラリーで存在感を放っていたのが、草間さんが歌うビデオインスタレーション。1978年に発表した小説に書かれた詩がもとになった、幻覚体験を綴ったもの。独特の世界観で少し背中がゾワっとするような感覚を味わいました。
さらに上の階へいくと、壁一面にたくさんのペインティングが。こんなにたくさんの草間彌生作品を一気に見れることはなかなかないので、舞い上がりました。
こちらは「わが永遠の魂」シリーズの最新作で、1m四方の画面の中で、草間さんが憧れを抱く宇宙や未知の世界が表現されています。
参考:草間彌生 『無限の網―草間彌生自伝』 (作品社・2002年)より
<ある日、机の上の赤い花模様のテーブル・クロスを見た後、目を天井に移すと、一面に、窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張りついている。部屋じゅう、身体じゅう、全宇宙が赤い花の形で埋めつくされて、ついに私は消滅してしまう。そして、永遠の時の無限と、空間の絶対の中に、私は回帰し、還元されてしまう。これは幻でなく現実なのだ。>
続いて、私の一番好きだった作品です。
この展覧会のために制作としたという世界初公開の新作ミラー・ルーム。360度鏡になっているこの空間は、無限に広がる、まさにインフィニティールーム。
数えきれない光と暗闇の中に迷い込みながら、幻の世界にいるような不思議で幸せな感覚になれたのです。世界でも人気のある作品で、SNSで見たときから気になっていました。
私がつけていたお寿司のiPhoneケースがやけにマッチしていたのでパシャリ(笑)
こちらは一つの花を一人一人が飾っていく参加型のアート。日本初公開です。自伝でも語られていた、テーブルクロスの幻覚のヴィジョンを作品化したものでしょう。
そして最後は、屋上に展示されていたこちらの彫刻。
コンクリートの地面に、カラフルで大きな彫刻が一つ飾られ、ポップで可愛く、華やかに演出された屋上空間。ブロンズ鋳造の彫刻作品で、作品を永遠に残したいと願う草間さんが好んで金属素材を用いているそうです。
いかがでしたか?
現代アートのクイーン、草間彌生美術館の作品をご紹介させていただきました。彼女の作品はいつでも、神秘的かつ圧倒的な印象を与えます。壊れそうに繊細で、大胆で、胸が痛くなる時もあります。だけどなぜか癖になってしまうんです。
美術館は事前予約制、安心して鑑賞することができます。館内は写真撮影禁止のものもあるので、気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね!
今月もご覧いただきありがとうございました。
また次回お楽しみに♪
■「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」
会場:草間彌生美術館(東京都新宿区弁天町107)
期間:~2021年3月29日(休館日:祝日を除く火・水曜日)
開館時間:11:00~17:30
観覧料:一般 1,100円、小中高生600円(未就学児は無料、団体割引はありません)
※入場は日時指定の事前予約・定員制。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売しており、美術館窓口では販売していません。
公式HP:https://yayoikusamamuseum.jp/