北と南じゃ違う国? 表情を変える海を一気に堪能、四国ぐるりの旅がおもしろい
目次
四国をおおざっぱに一周して、4県の防波堤を歩き、ドローンで飛んで回りました。防波堤はまさに海の上に佇むことができる貴重な空間、気分爽快! 印象深かったのは、瀬戸内と太平洋の差です。前者の陸に囲まれた静かで穏やかな海と、太平洋側の黒潮がドカンとぶつかる大海原とはだいぶ印象が違うんですね。それに伴って防波堤の規模も変わるのがおもしろくて。ぜひ一緒にぐるりと四国旅に出かけましょう。
四国の北西は愛媛の今治から。牧歌的なのほほんとした雰囲気がいい感じ
まずは四国の北の海、愛媛県今治市の田之尻漁港です。
山々が取り囲んで、なんとものどかでほのぼのした雰囲気でしょ。山は右のツンとしたのが名石山で、その左奥が高萩山と思われます。車で走っていて、雰囲気がよさそうだったから急遽立ち寄ったのですが、正解でした。
小さめのテトラポットが敷き詰められた狭くて低い防波堤を、ドローンを操縦しながら歩きます。水は中まで透けて見え、さほど深くもなく、なによりめっぽう静かで、あーなんてやさしい海!
先まで来たとき、時刻は午前11時過ぎ。太陽が南中する手前の時間で、ドローンのカメラをほとんど下に向けて撮ると、光が自分から逃げていきます。あの輪に入ろうと躍起になっても無理なんですよね、ひょいっとわたしを交わしてすぐ隣でとびきり明るく笑ってます。もう少しだけ待って太陽が真上に来たら、今度は逃げたくても逃げられないかな? こんなどうしようもない追いかけっこすら楽しく感じられるツボの浅さは、ある意味お得かもしれません(笑)。
瀬戸内海の遥か向こうへ目を向けると、染め物にしたくなるような青いグラデーションの世界が広がっていました。この日は気温がだいぶ上がっていたから、海面あたりが水蒸気で覆われていたのでしょうか。もやる海面から、ちょんと離島の頭が浮かんで見えました。幻想的です。
四国の南西は高知の土佐町から。久礼の港が巨大で複雑で心に響く
さて、続いてぐんと南下して、四国の南海岸、高知県の土佐町にある久礼湾へ。湾ということは、少しは海も穏やかになりそうなものだけど、ご覧ください、この重なる防波堤。
黄色い点はわたしです。幅広い、高くて長〜い防波堤で波を鎮めているのに、さらにその内側でまた防波堤が見えるでしょう。いくつかの防波堤をいろんな角度に配置して波をうまく遮っているところは多いですが、こんなにはっきり二重に並べてるなんて、よっぽど高知の海は荒くれ者なんですね。
さらに奥に進むと、港が複数あって、川もあって橋もあって! にぎやかな地形です。家も車も船もたくさん並んでいて、本州とだいぶ離れた南の端の町とは思えません。
まだ日の入りまで小一時間はあるけど、山があるからすっかり日の入り直前の趣です。ずっと向こうから伸びる太陽の道が、陸地を挟んで、海にまで続いていました。
気がつくとそこには星空が。あれま久礼って空にある町だったのか。天の川もあるしね。いい気分で夜が始まりました。
四国の南東は高知の室戸岬。ダイナミックすぎる姿にすっかりやられた気分
高知の南東、室戸岬漁港はこれまで訪れた日本の港で一番迫力ありました! ドーンと長く、広く、高く、重厚で迫力。超広角のドローンでも手に負えません。
右上の防波堤の付け根から灯台までだって、600m近くあるのではないでしょうか。そんな規模の防波堤が何本もニョキニョキ伸びているんです。
ちなみに、これは日の入り直前に高めの空から見ている画ですが、それでも海の中までなんとなく見えるのがすごいでしょ。四国の海は本当にきれい。
1番外側の防波堤を灯台まで歩いたら、付け根のあたりから10分以上かかりましたよ、すごい長さ! 広くてがっちりしてるから落ちることもないでしょうけど、海の凄みが強烈すぎて恐ろしく「足元よく見るんだよ、油断大敵よ」と自分に言い聞かせて歩きます。
オレンジの浮きが沈んでいますが、その下にもテトラポットがたくさんあるのが見えます。テトラポットって突飛な形をしているし、名前の響きもいいから個人的には愛着がわくんです。そんなのが海の底で高知の荒波からわたしたちを守ってくれていると思うと、ジーンとしてしまうんですよね。まさに縁の下の力持ち!
なぜか大きなテトラポットが防波堤の上に置かれていました。赤いわたしと比べると大きいでしょう! しかもめちゃくちゃ重いらしいですよ。存在する1番大きいものだと5m四方、なんと重さは80tだというから驚き! ここで出合ったテトラポットの実際のサイズは定かではないのですが、きっと相当な重量でしょうねぇ。いったいどうやって積んでいるのでしょう。それにしても、そんな迫力とは裏腹に、やっぱりかわいいし絵になります。
室戸岬で夕焼けを迎えた日は雲が多く、はっきりとした太陽を拝むことはできませんでしたが、この地を覆う雲もまた、規模が大きく味わい深いものでした。
四国の東は徳島の竹ヶ島。やさしくてかわいらしい海にほっとする
続いて、高知から徳島・香川方面へ北上していきます。海岸線を走っていると、だんだん海が優しくなっていくのがわかっておもしろいんです。小学生の頃、社会の教科書に載っていた黒潮の流れを示す矢印は、たしかに徳島の東までは伸びてこなさそう。
ここは高知から徳島に入ってすぐの竹ヶ島の港です。葛ヶ島や赤葉島などで囲まれているからか、辺りの海は穏やかで。
防波堤は短く細め、テトラポットも少なくて、静かな海環境にあるのが想像つくでしょ。というのも、島はこんな風に鎮座しているんです。港があるのは島に囲まれた安全地帯なんです。
これが竹ヶ島の全貌で、左が四国本土側、その奥まったところに港があります。右側港の後ろのほうが太平洋の大海原で、写真の手前、すぐお隣には波を抑える協力隊のように、葛ヶ島と赤葉島が続くんです。
ちなみに、葛ヶ島のてっぺんを見てください。
真ん中は枯れかけているのでしょうか? 白くふわふわしています。なんだかカリフラワーの一種、ロマネスコみたいでしょ。周りの緑のもこもこはブロッコリーみたいだし。しかもロマネスコ地帯がハートを描いているようにも見えちゃって、かわいい島です。
四国の北東は香川・高松市庵治町の夕凪が感動的。そして全国の田口さん必見
さて、香川までやってくるとすっかり瀬戸内海の優しい海です。こちらは高松市庵治町の庵治(あじ)漁港。
日の入り前の夕凪の頃です。あまりに海面がぺったらで、歩けてしまいそうですね。さすが、島だらけの海です。港の後ろに見える山の上にプリンを乗せたような山は女体山。漫画みたいにわかりやすいフォルムで主張しています。
漫画みたいな情景は、海にもありました。全国の田口さん、ご覧ください!
なんと美しく並んだ「田口」。養殖用の囲いかと思いますが、これは誰がどう見ても田口さんです。田口さん、そして田口さんのお友達のみなさん、田口さんが身近にいないミーハーなみなさんも、ぜひ庵治漁港へお越しくださいませ。
さあ、そうこうするうちにどんどん太陽は降りてきます。船が通り、トラの毛皮みたいな歪んだシマシマの海に光が滑り込んできました。他と比べてプチサイズのテトラポットはとてもお行儀よく並んでいます。防波堤は狭くて低くて短くて。この海のまっただ中の特等席で、太陽をお見送りする旅は最高に心地いいのです。
いかがでしたか。 個人的に特に目を見張ったのは、高知の防波堤の太さ、頑強さ、大きさ! とはいえ立ち寄れた場所は限られていますし、天気でも大いに印象は左右されます。今回のぐるり旅だけで決めつけようとは思いませんが、四国ほど違う表情の海をいっぺんに見られるところはそうないのは確かかもしれません。メリハリのある海を感じ、比べる旅もおもしろいかも?