ドローン“自撮り”は大自然との共同作業! 撮影のコツは服選びにあり
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ドローン自撮りで絶景作品に臨場感をプラス!
ドローン撮影と聞くと、メカニックで男性的なイメージを持つ人も多いかもしれません。でも、自分を画角に入れたいわゆる“自撮り”撮影は、女性ならではの服のセンスとその撮り方が問われるとっても繊細な作業!
かくいうわたしも、ドローン空撮の旅に出る時の荷物で、一番気を使っているのは服の選抜です。そう、わたしはドローン自撮り常習犯(笑)
いつも大パノラマの風景をさんざん撮ったら、最後にはその中に自分を佇ませます。美しく壮大な風景には感動の連続ですが、それのみだと臨場感にかけるでしょ? わたしは見てくださる方に、よりリアルな追体験をお届けしたいんです。人のいるシーンほど、自分もそこにいる感覚を得やすくなるのではないかと見積もっていまして。
そんなわけで今回は、ドローン空撮旅での服選びのお話をしたいと思います。
服選びの心得1:海や山に映える色のワンピースを選ぶ
わたしは自然の中でドローン空撮をしたい派です。街や建造物もおもしろいですが、それより、まだ見ぬ大自然の姿に心打たれたいんです。中でも今、主に空撮地として選んでいるのは日本の離島。海あり森あり、山も川もあったりします。そんな中に自分を配置することがより効果をもたらすようにするには……パッと目に入る色でしょう。大自然の偶然性だけでは成立しづらい色のアクセントを、小道具の自分で演出するんです。気分は“大自然との共同作業ですよ、仲よしっぽくていいでしょ(笑)。
重宝しているのは赤。青や緑の大パノラマの中でわかりやすく決まるから空撮時には安心感がありまして。形は、ロングのワンピースがベストです。写り込むのは豆粒ほどに小さいことが多いので、一色がなるべく大きい面積を占めるほうがポイントになります。
上の写真は石垣島の大浦川河口の朝。スカートの裾をもって広げて赤の面積を大きくし「もっと華やかになれー!」といい画になるよう念じています。
なんだか牛を引き付けたくて赤旗を振るスペインの闘牛士か、メスを誘惑しようと羽を広げるクジャクのオスみたいな気分ですよ(笑)。実際、見る人の視線を集めたい、という目的からすると似たりよったりですしね。
こちらは南伊豆の田んぼに挟まれた道で。田んぼの真ん中で低い位置から人物を撮ってみました。稲穂やそこにとまる虫の目線になって、こちらを見てどんな気持ちになるのか感じてみたかったんです。
この時も服を赤い色のものにしようか少し迷ったのですが、2週間前に行ったドローン旅で「稲穂×赤ワンピース」のシチュエーションは空撮済みだったので、かぶらないようにピンクを採用。より可愛らしい印象になりました。
普段海や山の補色の服を着ることが多いので、ときには同系色を選んでみます。自然と溶け合うような印象もすてきでしょ。ただこういうときは、なるべく自分に近づけて撮るように心がけています。小さすぎると周りと同化して、いてもいなくても同じになってしまいますから。こちらは黒島の西浜、サンゴと雲にすっかり挟まれました。
服選びの心得2 :生地の透け感も画の印象を左右する
日の出の時間によくドローンを飛ばすわたしにとって、素材の透け感も画の効果を高めてくれる大切な要素になっています。
太陽が水平線や陸から離れて、まだ低い位置にあるときの横からの光は、暖色がかって味がありますね(空が赤くなる理由は「旅色プラス」の連載第43回をご覧ください)。そんな光の太陽を背負って写すと、逆光で服の色はほとんどわからなくなりますが、布が透けてぐっと表情がプラスされます。 ここは朝によく飛ばしに行く石垣島の伊原間ですが、裾の黄色が透けて、いつもより雰囲気のある瞬間に仕上がりました。
ちょっぴり他人事感のある絶景の美が、服という身近なものの顔色でいくらかこちらに歩み寄ってくる気がしませんか。
こちらは石垣島の大浦川での撮影ですが、履いているのは「ギョサン」。これも太陽の光が透けているでしょう。
ギョサンは「漁業サンダル」の略で、小笠原発の漁師さん用ビーチサンダルです。特徴はプロも認める機能性。びっくりするほど滑らず、鼻緒とソールが一体になっているので切れる心配がないんです。さらにはカラーバリエーションも豊富で、写真のように透ける素材のものがあるのも嬉しくて。手元に集中して足元への注意がおろそかになりがちな空撮時には、安全な上に映えるので必須アイテムになっています。
ちなみにギョサンは、今ではすっかり海好きに重宝されているので、あちこちの離島含む海辺の町や、ネットのお店で購入できます。
服選びの心得3:夕焼け撮影はシルエットのわかる服でカッコよく
夕焼け撮影も島での日々のマスト行事になっていますが、この時間は着陸後の自分のシルエット撮影もカッコいいんです。
電池が少なくなってもう飛べない機体を地面に起き、残りの電池で自撮りします。手元でレンズの角度を調節でき、送信機のモニターでばっちり確認しながら撮影できるのがとっても便利なんですよ。しかも四つ足だから安定感抜群。さらには地面から見上げるのでスタイルもよく写るかな? そんなわけで、シルエットがきれいに見える服をチョイスするのもポイントです。
撮るときのポーズとしては、メリハリのある箇所を見せるように意識します。顔はなるべく鼻を見せ、顎のラインが髪の毛で隠れないように、腕は体からちょっと離すか体の影にしまうか。胸が大きかったら影に使うんですけど、わたしの場合そこはノーッタッチで。残念(笑)!
さらにはちょっとスカートが揺れると最高です。画に躍動感がでますよね。なので電池が続く限り風待ちをすることもあります。
シルエット撮影のときはバリ島の影絵職人に弟子入りした気持ちでやるんですよ。職人なので、厳しくポーズをチェックをして何枚も何枚も大量に撮り直しているんです。
わたしにとってドローン撮影のお楽しみは、自然との共同作業の絵作りにもあるんです。大きなキャンバスで体を使ってアートしている気分、一枚一枚が唯一無二の作品です。ドローンでなくても、旅の撮影時のヒントになれば幸いです。