音旅演出家Ⓡ・大迫淳英さんに聞く音楽が彩る旅の情景

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2021.12.30

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音旅演出家Ⓡ・大迫淳英さんに聞く音楽が彩る旅の情景

「音旅演出家Ⓡ」という聞きなれない肩書を持つヴァイオリニストの大迫淳英さん。“旅を音楽で演出し、「音」で「旅」を感じる事ができる演出を施す”というその活動の詳細と、テーマ曲をプロデュースしたクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」や「THE ROYAL EXPRESS」をはじめとする「音旅」の魅力を教えていただきました。

文・写真/大迫淳英

目次

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音旅演出家って?

音楽と旅の関係性―「ななつ星 in 九州」「THE ROYAL EXPRESS」―

音楽から始まる旅―櫛田神社の四季を音楽で描く—

音楽で聴いた情景を探しにゆく旅とは……?

おわりに

音旅演出家って?

豪華寝台列車クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」に336回乗りました! 残念ながらお客様ではなくスタッフとして……。さらに、そのうちの最初の305回は運行開始から休むことなく連続で乗務。年間200日以上を「ななつ星」の中で過ごしました。

そこまでしたのは、ひとりのアーティストである前に、乗務員として「ななつ星」に向き合いたいと考えたからです。通常クルーは料理をサーブしたりベットメイクしたりしますが、その代わりに私は演奏をしてお客様をもてなします。今まさに、この原稿を書きながら乗っている東急「THE ROYAL EXPRESS」には250回程乗務しています。そんな旅スタイルを8年間ほど続けています。

音楽と旅の関係性―「ななつ星 in 九州」「THE ROYAL EXPRESS」―

ななつ星

「ななつ星」や「THE ROYAL EXPRESS・クルーズプラン」ではお客様からリクエスト曲を寄せていただきます。そして列車の中でリクエストの曲をさりげなく演奏しお届けすると、それぞれ音楽にご自身の人生を重ね合わされるようで、遠くを眺め涙を流される方、想いを語られる方などさまざまです。そしてその大切な曲に新たな旅の記憶が重なっていくのです。

私がずっとお客様と旅を共にしていて分かったこと。それは、お客様は自分の心の中を旅しているということでした。列車での旅を通して、ご自身に向き合っているのです。
そんな旅をひも解くために、音楽は欠かせないのです。

そうして「ななつ星」で創ってきた演出を列車の中だけではなく、日本中、世界中の旅に広げるため、現在はラグジュアリー旅行を専門に扱う「JTBロイヤルロード銀座」で「夢の休日 感動の響き」という新しいツアー旅を創っています。コンセプトは“音楽が寄り添う旅”。私がななつ星で作ってきた演出をすべて盛り込み、テーマ曲から始まり、すべての行程に同行し演出します。演出家が演出する旅って今までないですよね。道中のBGMから、思いがけないところでの演奏やコンサートまで。お客様の旅を音楽で包む特別な旅です。

音楽から始まる旅―櫛田神社の四季を音楽で描く—

さらには「音楽から始まる旅」も実現しました。ちょうど1年程前に富山県の櫛田神社の四季を音楽で描いた「雪光風火(せっこうふうか)〜ステンドグラスに映える神在杜(かみいますもり)〜」という新しいCDをプロデュース、リリースしました。曲を聴いた方々から、是非「櫛田神社」に行ってみたいと多くの声が上がり、音楽の世界を体験するツアーが実現したのです。音楽で聴いた情景を、実際に探しにゆく旅でした。

作曲は中原達彦氏。千数百年、邑の守り神として鎮座している櫛田神社。四季を描く4曲から成り、元旦、雪で覆われた神社に人々が初詣にくるところから物語が始まります。

「雪」:人々が白銀のキャンバスにその年の願いを描く
「光」:春にはやわらかな光りを受け、生命が吹き出す
「風」:夏になると櫛田の杜の木陰に人々は集い、心そよぐ風鈴の音色に涼をとる
「火」:秋になると神様は神輿に乗って村々の様子を見てまわり、邪気を全て背負い神社に戻ってくる。そして参道に焚かれた炎の中を駆け抜け全てを浄化する「火渡り」という儀式を描く

櫛田神社には、富山出身の作家・大伴二三彌氏によるステンドグラス記念館が併設されています。ステンドグラスはガラス片がガッチリと合わさっていますが、音楽もステンドグラスと同じように4つの曲名を一つに合わせ「雪光風火」としました。まさに「音楽のステンドグラス」。そして、4つの曲が組み合わさることで、人々の心のよりどころである神社の四季がすべて描かれている、というストーリーなのです。

音楽で聴いた情景を探しにゆく旅とは……?

櫛田神

大晦日、東京駅を出発した一行は一路櫛田神社を目指します。北陸新幹線で富山駅に着くと、そこは雪が降る真っ白な世界。新年を迎える直前23時30分ごろから拝殿にて「雪光風火」の奉納演奏をしました。もちろんお客様にも拝殿でその演奏を堪能していただきます。

櫛田神社

実際に曲が生まれたその地でその曲を聴くという最も音楽をダイレクトに感じることができる時間です。そして演奏が終わると同時に元旦を迎えます。宮司の祝詞が拝殿に響きます。お客様はそのまま拝殿で新年の特別参拝を受けました。「雪光風火」という櫛田神社のストーリーの中に身を置き、音楽の中を実際に旅するという体験でした。

音楽は時空を超えて旅をします。ツアー参加者が再び「雪光風火」を聴いたとき、その音楽の中を自由自在に旅することができるはずです。

皆さんも大好きな曲をいっぱい持っていることでしょう。それらの曲を思い出すと、その音楽を聴いていたころの情景などが鮮明に蘇ってきますよね。映画音楽を聴くと、その映画のフィルムが鮮明に蘇ってきます。音楽は記憶を紡ぎ出すキーのようなものです。音楽とともに旅をするということは、旅の記憶をしっかりと刻むということ。「雪光風火」の旅のように、音楽と共に旅をした記憶は色あせないのです。

おわりに

旅は人生の縮図。人生そのものです。五感をしっかりと働かせて100%旅を満喫したいですよね。しかし、耳を使う音という要素はこれまでの旅にはあまり活かされていませんでした。音楽の無い映画を観ているような旅だったのかもしれません。どんな素晴らしい映画でも音楽でグッと感動し、ドラマチックになりますよね。ですから、みなさんの旅にも「音楽」が加わることで、さらに素晴らしい旅ができるかも知れません。旅を感動に変えるために、「音旅」へ、一緒に出かけましょう。


・THE ROYAL EXPRESS
2022年春 (3月〜4月)出発分の受付はホームページもしくは郵送で2022年1月17日(月)まで
HP:https://www.the-royalexpress.jp/

・JTBロイヤルロード銀座
HP:https://www.jtb.co.jp/luxurytravel/

◆大迫淳英

大迫淳英

日本で唯一、旅を創り、旅を彩るヴァイオリニスト・音旅演出家。皇太子殿下(現 今上天皇)ご夫妻の御前で演奏やベルリン・フィル ヴァイオリン・アンサンブルの日本ツアーでソリストを務める。これまでにJR九州クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の音楽演出をプロデュースし、現在は東急「THE ROYAL EXPRESS」の音楽演出、JTBロイヤルロード銀座〈夢の休日〉感動の響きアンバサダーとして、これまでに無かった新しい音楽が寄り添う旅を企画。エフエムたちかわ「サウンド・クルーズ・ジャーニー」のパーソナリティとして「音と旅」の番組を担当している。
HP:https://jun-ei.jp/

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#音旅 #音楽 #ななつ星 #櫛田神社 #THE ROYAL EXPRESS

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