映画『港のひかり』のロケ地・能登で「いましか味わえない」旅に出会えた

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2025.12.02

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映画『港のひかり』のロケ地・能登で「いましか味わえない」旅に出会えた

舘ひろし主演の映画『港のひかり』が全国で公開されている。震災直前の能登で撮影が行われたことから10月に輪島で行われた出演者登壇のプレミアム上映会の副題は「~能登に元気を!~」。しかし、訪れた能登には元気があふれていた。
先月、珠洲市、七尾市、輪島市、穴水町、能登町を視察で訪れた。もちろん、復興の途上で課題が山積していることは前提にある。でも、実際に元気で気持ちのいい人がいた。それは映画のテーマのように「誰かのために生きている」からなのかもしれない。ぜひ「いましか味わえない能登」に出会ってほしい。旅好きはいまこそ能登に行くべきだと思う。

目次

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旅の起点は「のと里山空港」がおすすめ

6つの飲食店が入居する復興の拠点「NOTOMORI」

ショッピングセンターのなかに36店舗の出張朝市が出現!

ジャンルを超えたシェフの交流から生まれた至極の“牡蠣ヌードル”

珠洲市でみつけた! 最高の“復幸丼”

門前町とともに再建を目指す曹洞宗大本山

おわりに

旅の起点は「のと里山空港」がおすすめ

空港からの移動にはレンタカーのほか予約制の「ふるさとタクシー」も便利

空港からの移動にはレンタカーのほか予約制の「ふるさとタクシー」も便利

能登へは飛行機が近い。羽田から約1時間でのと里山空港に到着。昨年12月から能登-羽田便は通常運行の1日2便に戻っており、8:55羽田発で能登に9:55着、帰りは16:55発18:00時羽田着で日帰り旅行も可能。

6つの飲食店が入居する復興の拠点「NOTOMORI」

空港を出て目の前にあるデザイン性の高い建物は仮設とは思えない。20年は持つ作りとのこと

輪島塗りを模した吊り照明があたたかい雰囲気

オープンからすでに約12万人が利用してくれていると話す笹谷さん

空港の目の前には復興の拠点となる複合施設「NOTOMORI」が。穴水町「SMOCO」、「のと里山食堂 然」、輪島市「香華園」、「御食事処 まだら館」、「芽吹食堂」、富来町の「てらおか堂」の6つの飲食店が出店している。ほかに会議室、コワーキングスペースとしても使える。オープンして1年足らずで11万人が利用し、半数は観光や視察利用とのこと。空港前にあり、便利で居心地のいい空間デザインの“贅沢なフードコート”だが、あくまで仮設。5年で解体が前提とのこと。

NOTOMORIを管理している笹谷さんは輪島出身。東京で働いていたが「地元のみんなのために何か力になりたい」と戻ってきたという。「みなさん再建の見通しがたたない状況でも出店を決断してくれてありがたかったです。復旧作業員、観光客、出店者を含めた県外・県内すべての人たちのハブとなりたいと思っています」

NOTOMORI
住所/石川県輪島市三井町洲衛10-11-1 のと里山空港第一駐車場内
時間/カフェ10:00~16:00、ランチ11:30~13:30、夕食17:00~21:00
※店舗により営業日・時間が異なります、詳細は公式Instagramを確認
定休日/店舗により異なります(公式SNSを確認)

ショッピングセンターのなかに36店舗の出張朝市が出現!

ワイプラザ輪島店にはスーパーマーケット、ホームセンター、携帯ショップなどが入居する

1階の奥に出張朝市のお店がズラリと立ち並ぶ

出展者、地元の客、観光客が自然に交流ができている

「能登の天然ふぐ」で知られるふぐの一夜干しは筆者もおすすめ

のと里山空港から映画のロケ地である輪島市までは西に約30分。映画で舘ひろしと尾上眞秀が買い物をするシーンが撮影された朝市通りの風景は失われてしまっていたが、朝市は形を変えて再開していた。「パワーシティー 輪島ワイプラザ」での出張朝市は2024年の7月からスタート。現在36店舗が出店しているとのこと。

輪島市朝市組合長の冨水さんは「ほぼ毎日やっています。定休日にも店を開ける人もいるくらい(笑)みんな元気です」と頼もしそうにおばちゃんたちを見ていた。この出張朝市は輪島だけでおさまらず、中部地域中心に今年は約200か所で開催したという。「ピンチをチャンスに変えて、朝市のポテンシャルを生かして再生しますよ!」(冨水さん)
筆者は「絶対買った方がいい」と店先ですすめられた肉厚のふぐの一夜干しが気に入った。東京に戻って焼いて食べながら、おばちゃんたちを思い出した。

出張輪島朝市
住所/石川県輪島市宅田町41 パワーシティ 輪島ワイプラザ
電話/0768-22-8733(ワイプラザ輪島店)
時間/9:00~13:00
※ワイプラザ輪島店の営業時間は9:00-19:00
定休日/水曜

ジャンルを超えたシェフの交流から生まれた至極の“牡蠣ヌードル”

フレンチのスープ然としたたたずまいの「牡蠣のまぜそば」(2200円)

もとは別の店舗同士の料理人が忙しく立ち回っている姿にぐっとくる

「作る人はいる、食べる人をもっと呼びたい」と語る池端シェフ

mebukiのすぐ隣にあるキリコ会館は現在臨時休業中だが、少しづつ祭りも復活開催している。

ワイプラザから車で約5分、輪島港に隣接した観光交流施設群「マリンタウン」の輪島キリコ会館向かいに昨年8月にオープンした「mebuki -芽吹-」。ここの「牡蠣そば」が絶品だった。フレンチ1つ星の名店「ラトリエ・ドゥ・ノト」でシェフを務めていた池端隼也氏にこだわりを聞いて得心した。春先の七尾湾で採れた牡蠣をコンフィした油、希少な輪島産の七面鳥を用いたスープ。そこに能登で採れた約10種のハーブがふんだんに盛られ、丼のなかで能登が表現されている。濃厚だけど、さわやかさが鼻に抜け、うま味が後を引く。残ったスープを飲み干したいと思ったら、ごはんを入れてリゾットにしてください、と。完璧だ。まさにディスティネーションヌードル。

震災直後から半年にわたり炊き出しを行ってきた市内の仲間たちで作ったmebukiには、いま15人ものシェフがいる。フレンチ、和食、ラーメンなど異なったジャンルのシェフがいることで、技法の交換が行われ、牡蠣のまぜそばのような新しいメニューが誕生した。「最初は22名もシェフがいました。だから、大赤字ですよ(笑)でも、炊き出しをするのも楽しかったし、誰かのために作ること、やるべきことがあるのがみんな嬉しいんです」(池端氏)

自店を再開すればmebukiを去っていくシェフもいる。ここで能登産ジャージー牛のハンバーグや海鮮丼などを堪能して、次は再開したシェフの店に訪れるというのも旅の楽しみだ。余談だが、輪島出身の漫画家・永井豪氏は毎年mebukiを訪れているという。味はもちろん、きびきびと仕事をしながらも活気のあるワンチーム感のある店内は、再訪したくなる気持ちがわかる。

mebuki -芽吹-
住所/石川県輪島市マリンタウン6-1
電話/0768-23-4567
時間/11:30~14:30、18:00~22:00
定休日/日曜

黒島漁港周辺の海岸線は震災後200m以上も陸地から遠ざかったという

国道249号を走っていると「解体は最後の最後‼」の看板が

朝市で魚を買い、牡蠣そばに舌鼓を打ち魚介を堪能した後、立ち寄った天領黒島地区。地震により4mも海岸が隆起したため漁港の機能は失われたままだ。黒瓦の屋根が美しい家屋が並ぶ重要伝統的建造物群保存地区でもある黒島の被害は甚大だが、ここでも復興に向けてののろしは上がっていた。

黒島漁港の近くにある大沢漁港は7月から漁が再開されたらしい。映画のなかで舘ひろし演じる漁師の三浦が刺し網漁に向かうため大沢漁港から船を出すシーンがある。名カメラマン、木村大作が切り取った漁港と海とそこに住む人々は息をのむほどに美しかった。

珠洲市でみつけた! 最高の“復幸丼”

「えんむすびーち」にある「縁結びの鐘」もいまは静かに復旧を待っている。向こうには見附島が。

「えんむすびーち」にある「縁結びの鐘」もいまは静かに復旧を待っている。向こうには見附島が。

空港から輪島と反対の北東に車で約40分の珠洲市。震災、豪雨ともに甚大な被害があった地域だ。空海が佐渡から渡る際に最初に「見つけた」から名付けられたといわれる見附島。その形から「軍艦島」とも呼ばれていた珠洲の名所も地震の影響で形を変えていた。

代表の坂本さんの話を聞いているだけで元気になった。「珠洲のすばらしさを伝えたい人たちでやっているから、楽しい!」

「復興丼」のサーモンは南三陸産。東日本大震災で被災した南三陸町が能登の復興を支援する形で実現した

食堂の雰囲気と繊細な料理のギャップに驚く視察団

見附島から車で約10分の「道の駅すず」のエリア内に、活気あふれる「すずなり食堂」とお弁当販売の「すずキッチン」がある。こちらもmebukiのように市内の4事業者で共同運営されていて、2026年の12月で仮設期間が終わるとのこと。

名物の日替わりの魚介を使った「復幸丼(ふっこうどん)」(2,200円)を食べて“仕事”の丁寧さにおどろいた。冬期は香箱ガニを使った復興丼も登場するらしい。食堂オーナーの坂本さん(典座のオーナー)に聞くと「みんなこだわりの店の料理人なので、やりすぎなんです(笑) 冬期に出す『ふぐコース』なんて、よそじゃ3,750円で絶対出せない。和田さん(庄屋のオーナー)が譲らないから仕方ないんです。食べにきたほうがいいですよ!」。店内は料理人、工事関係者、観光客が混在していて“同じ釜の飯を食っている”気分になれた。

すずなり食堂・すずキッチン
住所/石川県珠洲市野々江町シ
電話/0768-84-5100
時間/すずなり食堂 木・金・土曜 11:00-14:00、17:30-21:00/日・月・火・水曜 11:00-14:00
すずキッチン 5:00~15:00
定休日/不定休(公式SNSを確認)
https://www.instagram.com/suzu.kitchen_suzunari.shokudo

門前町とともに再建を目指す曹洞宗大本山

漆喰の壁の壊れ方など“いま”の姿について説明をしてくれた、副監院の髙島さん

高さ約17.5mの山門は頼もしく屹立していた

空港から車で西に約30分。輪島市門前町。曹洞宗大本山の「總持寺祖院」。副監院の髙島弘成さんに筆者は4年前話を聞いていた。2007年の能登地震の被災から14年間で38億円かかってようやく再建のめどがたったと語っていた。再建からたった3年。今回の被害も甚大で、回廊は倒壊し、修行を行う僧堂なども復旧のめどはたっていない。それでも高島さんは「これを期にやろうとしていたことを行いたいと思っています。寄付だけじゃなく、町の人と一緒に町全体を復興させる仕組みづくりを考えています」

破損している建物も「いましか見れないもの」として寺院内は一部エリアを除き拝観が可能となっている。総持寺の顔ともいえる総欅造りの巨大な山門は、2007年の地震の際の耐震工事のおかげでその威容を保っていた。震災後の2024年12月9日に「總持寺祖院」の建造物16棟は、国の重要文化財に指定された。門前町とともに新しい街づくりを目指す寺院に、いまこそ訪れたい。

門前町歩きの起点となる「櫛比の庄 禅の里交流館」に貼られていた「港のひかり」のポスター

門前町とまち作りについて熱量高く語る「禅の里交流館」管理人の宮下さん

仮設での営業もはじまっている総持寺通り商店街

おわりに

2018年に発生した北海道胆振東部地震では「元気です北海道」というスローガンが用いられた。きっと元気がないはずだ、いまは訪れると迷惑かもという先入観により観光客が自主規制をしてしまう。それが地域の立ち上がる気勢を削ぐ“二次災害”にもなりかねない。少なくとも僕が見た能登は、元気だった。「これを期に変わる」「いま来てほしい」という言葉を多く聞いた。

<自分以外の誰かのことを考えて生きる大切さが伝わって、観た人がその心を持って帰る体験になってくれたら、この映画は報われると思っています。>

映画『港のひかり』の藤井道人監督が、ロケ地マップに寄せたコメントだ。今回能登を訪れて、映画を観て、自分以外の誰かのことを一層考えるようになった。また次の能登に会いに行こう。

「港のひかり」ロケ地マップはこちら
https://www.info-toyama.com/downloads/media/54538

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編集部 ハリマ

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旅色編集長。情報誌、美容メディアなどを経て、現職。新企画を立ち上げるのが好き。最近は福井県の小浜市で出会った懐箸を持ち歩いています。

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