【奈良】旅すれば『豊臣兄弟!』がもっと面白くなる~大和郡山で秀長ゆかりの地を巡る~

奈良県

2025.11.12

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【奈良】旅すれば『豊臣兄弟!』がもっと面白くなる~大和郡山で秀長ゆかりの地を巡る~

2026年のNHK大河ドラマは『豊臣兄弟!』。主人公は豊臣秀吉の弟・豊臣秀長。あまり知られていない人物ですが、地元では「大納言さん」として親しまれています。秀長は1585(天正13)年に大和郡山城の城主となりました。彼は城を大規模に拡張・整備したほか、城下町の形成にも尽力しました。今回はドラマの予習に、旅色LIKESライターの神奈月みやびが大和郡山城を中心に秀長ゆかりの地を紹介します。

目次

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“100万石の大名”にふさわしい城だった「史跡大和郡山城跡」

「本家菊屋」にて秀吉も好んだ御城之口餅(おしろのくちもち)を食す

城下町の繁栄を願った秀長の「箱本制度」

源 義経にもゆかりあり! 秀長が建立に携わった源九郎(げんくろう)稲荷神社と洞泉寺(とうせんじ)

秀長の墓「大納言塚」と関連資料が残る「春岳院」

中谷酒造柳町醸造所で復活した「豊臣秀長」を呑もう

おわりに

“100万石の大名”にふさわしい城だった「史跡大和郡山城跡」

郡山城と桜

日本さくら名所100選になっている郡山城跡

元々、大和郡山城は筒井順慶が織田信長に与えられ、1580(天正8)年に入城した場所です。1584(天正12)年に順慶が死去し、翌年に養子の定次が伊賀上野(三重県伊賀市)に転封(※1)となったため秀長が入城しました。同じ年に、秀長は紀州(現在の和歌山県全域と三重県南部を合わせた地域)攻めで副将の功績が認められて紀伊(和歌山県)、和泉(大阪府南西部)に64万余の所領を、四国攻めの総大将を務めたことで大和も与えられたため、100万石以上を領有する大大名に。そのため、100万石の大名にふさわしい城にすべく大規模に整備したのが現在の郡山城の原型です。5層の天守閣を備えた壮大な城だったと伝わっていますが、関ヶ原の合戦後に天守閣は取り壊され、江戸時代にも復原されませんでした。現在は史跡公園として整備され、市民の憩いの場となっています。日本さくら名所100選の一つで、4月初旬の「お城まつり」ではたくさんの花見客で賑わいます。

※1転封(てんぽう):戦国時代の豊臣政権・江戸時代の徳川政権で行われた、大名の所領の移動のこと。

さかさ地蔵

石と石の間にも、大小の小石が詰められている

さかさ地蔵

覗き込むと確かにお地蔵様が逆さになっている

郡山城天主台

整備された天守台の石垣

まず目を引くのが立派な石垣。これだけの大城を築くためには大量の石が必要だったため、寺の大門や五輪塔(※2)、墓石やお地蔵様までも徴収したそうです。今も石垣の一部には、これら「転用石」の痕跡が随所に残っています。積み方は野面積み(のづらづみ)というそうで、まるで石のパッチワークのよう。城マニアにはたまらない魅力があるらしいです。天守閣のあった場所には天守台が整備されていて、その土台に、お地蔵様が逆さまになって石の間に埋もれている「さかさ地蔵」があります。隙間から覗けるのはお地蔵さまが見つけてほしくて自ら動いたのかも? 脇には供養のために塔婆(※3)が建てられ、お供えの小銭が石の間に置かれています。

※2五輪塔:平安時代後期から見られる、仏教の教えに基づいた供養塔やお墓の一種。5つの石を積み重ねており、下から順に地・水・火・風・空という宇宙の五大要素を表している。
※3塔婆(とうば):仏教において故人を供養するために墓の後ろなどに立てる、細長い木製の板のこと。正式名称は「卒塔婆(そとば)」で、仏舎利(仏陀の遺骨)を納める「ストゥーパ(仏塔)」に由来する。故人の供養を願う目的で用いられ、戒名や命日などが記されている。

郡山城

天守(だった場所)からの景色

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復元された追手門。豊臣家の家紋五三の桐がはめられている

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歩き疲れたら城内の番屋カフェで休憩するのがおすすめ。天気が良ければ庭から天主台を臨める。犬連れも可能、サークル付きの専用席もあり

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天守台から番屋カフェのテラス席を見下ろす

天守台からは若草山や興福寺が見えます。向かって左には、平城宮跡や薬師寺の塔も拝め、まさに大和を一望できるところ。ここに天守閣があるということは、向こうからもその威容が見えるわけですから、社寺の力が強い大和のなかで政治的にも重要な場所だったのでしょう。いかに秀吉がこの地を重視して、信頼できる弟に任せたのかがわかるような気がします。

◆史跡大和郡山城跡
住所:大和郡山市城内町
電話番号:0743-52-2010(大和郡山市観光協会)

史跡大和郡山城跡 関連HP

なお、郡山城内にある「柳沢文庫」では通常、江戸時代中期以降にこの地を治めた柳澤氏のゆかりの「御城印」を販売しています。今回のNHK大河ドラマ放送を記念して、11月1日から12月30日までの間、豊臣秀長公のイメージをデザインした「特別御城印」を販売することになりました。期間限定、今回限りのレアものです。集めている方は見逃さないでくださいね。

特別御城印「大和大納言 豊臣秀長公居城」の販売について

「本家菊屋」にて秀吉も好んだ御城之口餅(おしろのくちもち)を食す

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店内

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暖簾に歴史を感じる

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御城之口餅の期間限定パッケージ

お城の前の坂を下っていくと大和郡山市役所の前に出ますが、昔はこの端までがお城の敷地内でした。市役所の斜め向かいには「本家菊屋」という老舗和菓子屋の本店があります。ここの名物は御城之口餅。秀長が秀吉を茶会でもてなした際、新しい茶菓子の製作を命じ、菊屋の初代がきなこをまぶした一口大の餡餅を作って献上したところ、秀吉がとても気に入ったため「鶯餅」の銘を授かりました。その後、このお店が城の大門を出て町人街の1件目にある事から、「お城の入口で売っているお餅=御城之口餅」と通称が付き、今に至るそう。保存料を使っていないため店頭販売分は売切次第。ドラマ放送に合わせ、期間限定パッケージが登場しました。歴史を感じられる店内でお茶とともに食べるもよし。お土産購入はマストです。

◆本家菊屋 本店
住所:大和郡山市柳1丁目11番地
電話番号:0743-52-0035
営業時間:9:00~18:30
定休日:1月1日

本家菊屋 本店 公式HP

城下町の繁栄を願った秀長の「箱本制度」

箱本館「紺屋」外観

「紺屋」の外観。藍染めの職人の町だった

紺屋の店内

紺屋の中には、金魚も展示されている

郡山城下町は秀長がつくった「箱本制度」で栄えます。これは、商工業の種別ごとに職人をそれぞれの町に住まわせるというもので、最初に13の町ができました。この「箱本十三町」では、当番制で治安維持、防災、営業許可などを行い、税も免除されていました。当番に当たった町には権限を示す御朱印の入った箱(御朱印箱)が回され、目印として「箱本」と書いた小旗を立てるのが決まりでした。車町、鍛冶屋町、材木町など、その名前を見れば、どんな職種の人が集まっているのかがわかります。現在も地名に残る町もありますが、多くは通常の住宅地となっています。藍染の町として栄えた紺屋町ではいまもその伝統が残っています。なかでも江戸時代から続く町家を改装した「箱本館『紺屋』」には御朱印箱や箱本関連の資料が展示されているほか、藍染めの歴史や金魚(※4)コレクション、藍染め体験などを行っています。

※4金魚:大和郡山では、亨保9(1724)年、甲斐国から郡山城主として入った柳沢吉里が持ち込み、金魚の養殖が始まったとされている。特に、幕末の頃は藩士の副業として、明治維新後は職を失った藩士や農家の副業として、金魚養殖は規模を拡大していった。現在では日本有数の金魚の産地へと発展。現在は、金魚すくいなどに使われる「和金」を中心に年間約4300万匹が生産されている。

◆箱本館「紺屋」
住所:大和郡山市紺屋町19-1
電話番号:0743-58-5531
入館料:無料 ※開館日や体験については公式HPを要確認

箱本館「紺屋」 公式HP

源 義経にもゆかりあり! 秀長が建立に携わった源九郎(げんくろう)稲荷神社と洞泉寺(とうせんじ)

源九郎稲荷神社

源九郎稲荷神社では、狛犬ならぬ狛狐が迎えてくれる

旅色LIKES

九尾の狐の像

旅色LIKES

洞泉寺のご本尊は、快慶作の阿弥陀三尊立像。予約して拝観できる

源九郎とは、源 義経のこと。有名な歌舞伎の演目の一つ『義経千本桜』でも伝えられていますが、兄・頼朝に追われ吉野山へ向かった義経を追いかけた愛妾の静御前を、白狐が義経の家臣・佐藤忠信に化けて守ったとされています。義経はその忠義に感じ入り、白狐に「源九郎」と名を与えました。この話が由来になっているのが「源九郎稲荷神社」。のちに、白狐は老翁の姿になり、秀長と親交のあった僧・宝譽(ほうよ)の夢枕に現れ、郡山城の守護神となることを告げます。秀長は話を聞き、城内に鎮守として白狐を祀りました。この宝譽の建立したのが「洞泉寺」。当初は1581(天正9)年に長安寺村(現在の大和郡山市長安寺町)にありましたが、1585(天正13)年に秀長により城の南へ移動。その後、寺の隣に「源九郎稲荷神社」も移されました。境内には狛犬ならぬ狛狐がおり、愛嬌のある顔で迎えてくれます。

◆源九郎稲荷神社
住所:大和郡山市洞泉寺町15
電話番号:0743-55-3830

◆洞泉寺
住所:大和郡山市洞泉寺町15-1
電話番号:0743-52-2893
拝観時間:10:00~16:00
拝観料:無料 ※本堂は見学料300円

源九郎稲荷神社 公式HP
洞泉寺 関連HP

秀長の墓「大納言塚」と関連資料が残る「春岳院」

秀長は52歳という若さで亡くなります。秀長が生きていれば豊臣家はもっと続いただろうと言われましたが、それは歴史の“IF”でしょう。墓は城の南西に造られ、「大納言塚」と呼ばれています。これは、秀長が朝廷から従二位・権大納言の官位を与えられたため、「大和大納言」と称されたことが所以です。兄・秀吉が墓の近くに建立した大光院というお寺が管理を任されていました。しかし、1615(慶長20)年の大坂夏の陣で豊臣家が滅び、寺の荒廃を懸念した家臣・藤堂高虎により寺は京都に移されました。そのため、秀長の位牌は城下町にあった東光寺に移され、大納言塚の管理も委任することに。このことから、東光寺は秀長の法名から春岳院と改名し、菩提寺となりました。秀長の肖像画や木像、多くの史料が残る場所ですが、老朽化が著しいためクラウドファンディングを行い修繕することに。ドラマが始まる頃には修繕が終わり、参拝客を迎える準備ができていることでしょう。

◆春岳院
住所:大和郡山市新中町2
電話番号:0743-53-3033
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:志納 ※要問合せ

春岳院 関連HP

中谷酒造柳町醸造所で復活した「豊臣秀長」を呑もう

中谷酒造

中谷酒造柳町醸造所の前に掲げられている豊臣秀長の肖像画

中谷酒造「豊臣秀長」

純米吟醸「大和大納言 豊臣秀長」

中谷酒造は、もとは大和郡山市番条町にあった老舗の酒造ですが、2020(令和2)年に蔵での醸造を終了。近鉄大和郡山駅から徒歩圏内の柳町商店街のなかに、毎日小ロットで日本酒を醸造するマイクロブルワリー「中谷酒造柳町醸造所」をオープンしました。ここでは特定日に日本酒醸造体験ができるほか、併設の清酒バーでできたてのお酒が飲めます。ちなみに、中谷酒造定番の一つは「大和大納言 豊臣秀長」でしたが、酒造停止に伴い終売。しかし、『豊臣兄弟!』の放送決定を受けて再販希望が高まったため、冷蔵倉庫に残っていたものを詰めて復活しました。ここ柳町醸造所や公式オンラインショップで販売していますので、チェックしてみてください。

◆中谷酒造柳町醸造所
住所:大和郡山市柳二丁目4番
電話番号:0743-85-7281
営業時間:13:30~19:00
定休日:月・火曜日

中谷酒造柳町醸造所 公式HP

おわりに

いよいよ年明けから『豊臣兄弟!』が始まります。大河ドラマ館が大和郡山城跡からすぐの「DMG MORI やまと郡山城ホール」に設置するのも決まりました。秀長の誕生日である3月2日(月)から逝去の日翌年1月22日(金)まで開催されるそう。また、市では「秀長の輪」というロゴマークを掲げ、ドラマファンを迎える準備が着々と進んでいます。秀長が郡山にいたのは晩年の6年間なので、ドラマではいつ描かれるのかが気になります。皆さんも大和郡山で秀長の足跡をたどってみてください!

豊臣兄弟! 大和郡山 大河ドラマ館 公式HP

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出身は奈良県。現在は奈良市内の観光地エリアに住んでいます。奈良をこよなく愛し、奈良愛を布教する人間です。奈良を売り込むのをライフワークにしています。 特に奈良のお酒が好き。令和6年5月、奈良まほろばソムリエ検定の最上位ソムリエ級に合格。

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