東北で紅葉を見るなら石川町へ! 知られざる福島の郷で見つけた豊かな時間

福島県

2025.11.08

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東北で紅葉を見るなら石川町へ! 知られざる福島の郷で見つけた豊かな時間

福島県といえば、福島市? 会津? それとも、いわき? いえいえ、石川町です。パッと名前が挙がるような場所ではありませんが、甲子園の常連校「学法石川(学校法人石川高等学校)」と聞けば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。桜の名所として春に賑わう石川町ですが、秋から冬が穴場のシーズン。紅葉に染まる山々を眺めながら、名湯・母畑温泉に浸かれば芯から温まる贅沢な時間が待っています。今回は、旅色LIKESライターのさっちもが、石川町の親戚を訪ねた後に、せっかくなので家族水入らずの1泊旅をしてきました。見慣れた町の景色も、歴史や文化を知ると、まるで初めて訪れたような新鮮な感動に変わりました。

目次

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温泉と桜が癒す石川町

「石川町立歴史民俗資料館イシニクル」で、石川町の歴史に触れる

石川町グルメは、峰清館の「海老丼」に決まり!

伝統と格式のある温泉旅館・八幡屋に宿泊

おわりに

温泉と桜が癒す石川町

北須川の桜並木。

静かな時が流れる八幡神社。

緑に囲まれた町の景色。

石川町は、福島県の中通り南部、阿武隈高地の西側に位置し、母畑(ぼばた)、猫啼(ねこなき)などの温泉郷を有する町です。JR水郡線が南北に走り、福島空港から車で約20分とアクセスも抜群。町の中心部を流れる北須川と、今出川沿いには約2,000本の桜が植えられ、春には多くの観光客で賑わいます。樹齢500年以上の「石川の高田桜」や、町内全域に桜の巨木が多く見られることから、¨桜の町¨として親しまれています。1967(昭和42)年には、大相撲の巡業が開催され、当時使われた土俵が、地元の石川小学校に移設されていたことや、母畑温泉に力士たちが湯治に訪れるなど、相撲との縁も深い町です。

「石川町立歴史民俗資料館イシニクル」で、石川町の歴史に触れる

「石川町立歴史民俗資料館イシニクル」は、1974(昭和49)年に、町民の教育、学術、文化の発展を目的として設立された歴史民俗資料館です。2024年4月に移転オープンし、新たな資料館では、石川町の原始、古代から近代までの歴史や、民俗資料、国内外の鉱物標本を展示しています。

午前中は人が少ないので、ゆっくり見学できる。

愛らしい藁沓(わらぐつ)。まるで雪ん子が遊びに来たかのよう。

約8分間で石川町の歴史を紹介する映像シアター。

石川町は、岐阜県苗木(なえぎ)地方、滋賀県田上(たなかみ)地方と共に、「日本三大ペグマタイト鉱物の産地」といわれています。ペグマタイトは、大きな結晶からなる花崗岩の一種。なかでも石川町のペグマタイト鉱物は、苗木、田上と比べて結晶が大きいのが特徴です。石川町の産出鉱物は約130種あり、そのうちペグマタイトからは約80種の鉱物が見つかっています。特殊な石英、長石、サマルスキー石などの希少鉱物が産出され、明治から昭和40年代にかけて鉱石採掘が町の主要産業でした。石の標本を見ていると、「石英、長石って中学の時に習ったよなぁ」と、当時、理科が得意科目だったことを思い出して、わくわくしてきました。のどかな田園風景の裏に、ダイナミックな大地の歴史が隠れていたことを知り、石川町の魅力を再発見。知的好奇心をくすぐるイシニクルに、ぜひ足を運んでみてください。

◆石川町立歴史民俗資料館イシニクル
住所:福島県石川郡石川町長久保96
電話:0247-26-3768
開館時間:9:00~17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日 ※祝日の場合は翌平日、12月28日~1月4日
入館料:一般・学生 300円、小中学生 150円

「石川町立歴史民俗資料館イシニクル」公式HPはこちら

石川町グルメは、峰清館の「海老丼」に決まり!

いつ来てもツヤツヤな床で居心地が良い。

ランチで訪れた「峰清館(ほうせいかん)」は、石川町の中心部にある老舗食堂です。店内はテーブル席と座敷の個室があり、子連れでもゆっくり楽しめます。

海老丼(1,400円)。

丼からはみ出た海老天に、思わず「わぁ! 」と声が出た。

海老3尾丼(1,750円)。

味のある手書きのメニュー表。

メニューは、海老やとんかつを軸にした12種類。なかでも丼からはみ出るほど大きな海老天が2尾のった「海老丼」が一番人気です。ほのかに甘みを感じるサクサクの衣とプリプリの海老は、甘さ控えめのタレとの相性が抜群。通常の海老丼でも十分お腹が満たされますが、ガッツリ食べたいなら「海老3尾丼」がおすすめです。ご飯をすっぽり隠す大きな海老天は迫力満点。

◆峰清館
住所:福島県石川郡石川町新町92
電話:0247-26-1115
営業時間:11:00~14:00、17:00~19:00
定休日:不定休

伝統と格式のある温泉旅館・八幡屋に宿泊

1880(明治13)年に創業した八幡屋は、3日入れば効能を実感できる「母畑温泉の三日湯」のいい伝えがあり、町民に長く親しまれてきました。1975(昭和50)年ころからは、筋肉痛や関節痛の治療に最適と力士たちの間で評判となり、お忍びで訪れる隠れた名所でもあります。

2017(平成29)年に、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で総合第1位に輝いた。

土・日曜日は、浮き舞台で琴の演奏が行われる。

伝統的な和の趣と、モダンな装飾が調和した空間。緑の皿が静寂を彩る。

畳の香りが優しく迎える純和室。2間あるので、のびのびと寛ぎながら家族や友人と過ごせる。

館内は、吹き抜けの天井で優雅に回る風車と、豪華絢爛な浮き舞台が織りなす幻想的な空間。見上げれば荘厳な美しさに心を奪われ、見下ろせば細部にまでこだわった装飾が目を楽しませます。また、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」のモデルなのでは? とファンの間で話題になり、独特な世界観を体感しようと訪れる方が増えているそうです。私の家族もその1人。浮き舞台の周りを、さまざまな角度から撮影していました。

本館大浴場(写真奥)と別館に向かう入り口。

雨模様でも深い緑が絵になる通路。

石川町立歴史民俗資料館イシニクルに行かなければ、大きさに気づきながらも素通りしていたかもしれない石川町の象徴。

温泉は、本館に大浴場と露天風呂、別館「帰郷邸(ききょうてい)」には、展望大露天風呂と4つの貸切風呂を備えています。女性用の露天風呂には自然石をくりぬいた大小3つの石風呂があり、それぞれ湯温が異なるため、自分の好みに合わせた湯船を楽しめます。泉質はアルカリ性単純温泉で、滑らかでとろりとしたお湯が肌に優しく、温浴効果で入浴後も体はポカポカ。「3日入れば効能を実感できる」といわれる八幡屋の温泉ですが、1日だけでも首のコリがやわらぎ、すっきりとした感覚がありました。かつて力士たちが関節痛や怪我の治療のため、ひそかに湯治に訪れていたという話も、この心地よい効能を体感すると納得できます。
夜の露天風呂は、オレンジ色の温かな灯りに照らされ、虫の声や山の緑の香りに包まれながら、心身ともに深い癒しを感じられるひとときでした。

新鮮なお造りと、「鮑の蒸し焼き」に舌鼓を打つ。

繊細な味付けで、里芋の自然な甘みを堪能。

特製ごまだれで食べる和牛のしゃぶしゃぶが絶品。

夕食は、阿武隈の厳選された山海の食材を使用した会席料理です。お造りや鮑の焼き物、和牛のしゃぶしゃぶなど、素材の持ち味を生かした料理が彩り豊かに並びます。なかでも印象的だったのは、しゃぶしゃぶに合わせる特製ごまだれです。濃厚で香ばしいごまの風味が際立ち、出汁を加えて最後の一滴まで飲み干したくなる深い味わいに、すっかり魅了されました。

大人気の「マグロのぶつ」。

滑らかな食感で、甘みのある「イカソーメン」。

本能の赴くままに取り分けた、生ものが多めの朝食。

朝食は、和洋折衷のバイキングで、旬の野菜を取り入れた体に優しい総菜が約40品並びます。新鮮なマグロのぶつやイカソーメンなど、海の幸も充実していて、刺身好きには最高の朝食。カニや魚のアラを使用した郷土料理の「ざっぱ汁」で体を温めれば、心地よく1日をスタートできますよ。

◆八幡屋
住所:福島県石川郡石川町母畑樋田75-1
電話:0247-26-3131

「八幡屋」公式HPはこちら

おわりに

子どもの頃は、夏休みか冬休みに訪れていた石川町。いつも見ていた町が、地質を通じて町の歴史を深く学ぶことで、見え方が変わる面白さを知った旅となりました。紅葉の穴場スポットでもある石川町。11月末頃に見ごろを迎えるそうです。ぜひ訪れてみてください。

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#温泉 #福島県 #温泉旅館 #家族旅行 #穴場

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本場所は前相撲から結びまで、すべての取組を追いかける「スー女」です。旅のモットーは「相撲があり、力士がいる場所へ」。滞在先の魅力を、相撲エピソードを織り交ぜながら、お伝えしていきます。記事を通して、相撲をもっと身近に感じていただけると嬉しいです。

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