鹿児島県・徳之島で、闘牛と散歩! 世界自然遺産の島で、生き物とふれあう1泊2日の島旅
徳之島は、鹿児島県・奄美群島のほぼ中央にある離島です。2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄県北部及び西表島」として、世界自然遺産に登録されました。アマミノクロウサギやオビトカゲモドキなどの絶滅危惧種や固有種が多く生息しており、全国でも珍しい伝統文化「闘牛」が盛んな島としても知られています。人と自然が共生する徳之島で、生き物とふれあう島旅を旅色LIKESライター・おんりが体験しました。
目次
徳之島と「闘牛」の歴史
徳之島の伝統文化のひとつ「闘牛」。その歴史は400年以上といわれています。スペインの闘牛とは異なり、人対牛ではなく、牛対牛で闘います。どちらかが戦闘意欲をなくすまで続けられ、数秒で決着がつくこともあれば、30分以上決着がつかないこともあるそう。
訪れた日は、全島一を決める大会が終わったばかり。残念ながら実際に試合を観ることはできませんでした。年間を通して20回ほどしか開催されないため、旅程と試合の日程を一致させるのはなかなか難しい……。そんな人におすすめしたいのが、「闘牛ふれあい体験」です。牛舎にお邪魔して普段の生活を見たり、一緒にお散歩したりできるのだそう。
闘牛ふれあい体験で、間近のご対面!
紹介していただいたのは、伊仙(いせん)町にある稲富さんの牛舎です。愛牛の「秀吉大宝(ひでよしたいほう)」は、10月に開催された全島一を決める大会の中量級を連覇したばかり。対面してみると、つぶらな瞳が可愛らしい! 黒々と光る毛並みがビロードのように美しく、大切に育てられていることがわかります。とはいえ、筋肉と立派な角の迫力は想像以上。王者の風格に圧倒されて、なかなか触ることができません。稲富さんに「どこを触ってもらっても大丈夫ですよ。普段は大人しいので」と教えてもらい、恐る恐る頭を撫でてみましたが、喜んでいるのか迷惑なのか、感情を読み取るのが難しく、ドキドキの初対面となりました。
だんだんと打ち解けてきたところで、手綱を持たせてもらい、一緒にお散歩に出かけます。大きな声で「モー!」と鳴かれる度に、立ち止まって狼狽えてしまう私たちに、稲富さんが「他の牛の糞が気になってますね」「牛舎が近づいているので、雌牛にアピールしてるんです」と理由を説明してくれます。牛主にとって、牛は自分の子どものようなもの。稲富さんの言葉や眼差しから、秀吉大宝への深い愛情が伝わってきます。「島の子どもたちにとって、闘牛は憧れの存在で、牛のお世話をすることが自慢でありステータスである」とか、「勝敗が決まると、❝ワイド! ワイド!❞の掛け声で、みんな一斉に踊りだす」など、エピソードを聞けば聞くほど、実際に試合を見て、その熱気を味わいたくなってしまいます。単なる娯楽やイベントという枠を超えた、生きた伝統文化の歴史を感じる貴重な体験でした。
「徳之島世界遺産センター」で、生き物について楽しく学ぼう
2024年12月にオープンした「徳之島世界遺産センター」は、徳之島の生態系や自然について、楽しく学ぶことができる施設です。木造平屋の館内に入ると、大きな窓いっぱいに世界遺産の山々が広がっています。"リビングミュージアム""のコンセプトのとおり、自然と一体となったような心地よい空間に、ついつい長居してしまいそう。隣には「道の駅とくのしま」があり、観光の拠点としても便利です。
私のお気に入りの展示物は、徳之島の森を再現した巨大なジオラマ「いのちのにぎわい箱庭」です。はく製や標本の動植物約150種が展示されていて、本当に森の中にいるよう! 観察すればするほどいろいろな生物を発見できるので、時間が経つのを忘れて見入ってしまいました。
受付カウンターにはクイズやスタンプカードなどが用意してあり、大人も子どもも楽しめます。参加するとオリジナルステッカーや生き物カードがもらえるなど、嬉しい特典が盛りだくさん。 こんなに充実していて入場無料なんて驚きです。屋内なので、雨でも立ち寄れるスポットとしてもおすすめ。ナイトミュージアムなどのイベントも企画されており、何度でも訪れたくなります。
◆徳之島世界遺産センター
住所:鹿児島県大島郡徳之島町花徳2206番地
電話:0997-84-0726
営業時間:9:00〜17:00
休館日:火曜日、12月29日~1月3日
入館料:無料
ナイトツアーで、国の特別天然記念物・アマミノクロウサギを見つけよう!
「徳之島世界遺産センター」で勉強した後は、「本物の生き物たちを見てみたい!」ということで、ナイトツアーに参加しました。アマミノクロウサギは夜行性のため、夜の方が遭遇する可能性は高いそう。19:30に宿を出発し、天城町の当部(とうべ)集落にある「アマミノクロウサギ観察小屋」へ向かいます。観察小屋では、定点カメラなどで撮影したアマミノクロウサギの行動記録や資料などを見られるのだそう(前日までの要予約)。人里離れた山間部にあるため、辺りは真っ暗。持参したライトをたよりにガイドさんと一緒に、周辺を歩きながら探します。
◆アマミノクロウサギ観察小屋
住所:鹿児島県大島郡天城町当部字大井久479-2
電話:0997-85-5178
定休日:土・日曜日、祝日
その他:前日までに要予約。
観察小屋周辺には、アマミノクロウサギの糞がたくさん落ちていて、独特の甲高い鳴き声が聞こえます。どこからか獣臭もしてくるので、近くにいることは間違いなさそう。目を凝らしながら探していると、ガイドさんが「あそこにいますよ」と教えてくれました。草むらの中に見え隠れするアマミノクロウサギを発見! しかし、距離があるのと、草むらの中なので、写真に収めるのはなかなか難しい……。距離を詰めようと歩いていると、なんと目の前の藪の中からピョコっと飛び出してきたではありませんか。 突然の出来事に、固まる私たち。ガイドさんも、「向こうから目の前に出てくるパターンは初めてかも……」とびっくりしていました。
目の前で見るアマミノクロウサギは、想像よりけっこう大きい! 警戒する様子もなく、近距離で草を食べる姿に思わず笑ってしまいました。
案内していただいたガイドの常加奈子(つねかなこ)さんは、生き物に詳しいのはもちろん、生き物を見つける天才です。真っ暗な木の上でじっとしている鳥やカエルなど、「ここにいます」とライトで照らして教えてくれるのですが、言われて見ても、最初はまったくどこにいるのかわかりません。常さんのおかげで、アマミノクロウサギのほかにも、オビトカゲモドキ、アマミハナサキガエルなどたくさんの生き物たちと出会うことができました。
徳之島をより深く知ることができるエコツアーガイドは超おすすめ!
奄美大島には、奄美群島認定エコツアーガイドという制度があり、「奄美群島の自然・文化について深い知識と哲学を有し、来訪者に安全で質の高い体験を提供するとともに、地域の環境保全に責任を持つガイド」を、奄美群島エコツーリズム推進協議会が認定しています。訪れる場所によっては、認定エコツアーガイドの同行が必要です。
今回私たちは、奄美群島エコツアーガイドである「旅友Tokunoshima」の常さんに旅程をアレンジしていただきました。闘牛ふれあい体験からナイトツアー、観光名所、島グルメと幅広く対応していただいたのですが、常さんといると島の人たちに声をかけられる頻度が段違いです。 売り物にならないドラゴンフルーツをいただいたり、通りすがりにコーヒー農園に招待されたり、ハブ箱を見せていただいたり、想定外の出来事がいろいろと起こります。「観光客」というよそ者の視点から、「島で生活する人」の視点に一歩近づくことができるのが、エコツアーの魅力なのかもしれません。
おわりに
あっという間の1泊2日でしたが、「人は自然の一部である」という当たり前のことを再確認する旅となりました。人と生き物の距離が近い徳之島では、人と自然がうまく共生していくヒントがあるような気がします。
今回は生き物を中心に紹介をしましたが、徳之島にはまだまだ魅力的な場所がたくさん! 花崗岩の海岸線が続く「ムシロ瀬」や、サンゴ礁が隆起してできた「犬の門蓋(いんのじょうふた)」、ソテツトンネルが続く「金見崎展望所」、樹齢約300年を超えるといわれるガジュマルの木など、どれも見ごたえがあります。
2025年12月15日まで、「奄美群島周遊キャンペーン 奄美群島しまめぐり割」でお得に行くことができるので、魅力がいっぱいの徳之島へぜひ足を運んでみてくださいね。















