【愛媛】道後温泉だけじゃない! 伊予鉄道で行ける松山観光案内

愛読書は時刻表、旅色LIKESライターの鉄道旅担当・なおです。今回訪ねたのは愛媛県松山市。この町には地域の足として活躍する私鉄・伊予鉄道が走ります。観光客の多くは伊予鉄道を使って道後温泉まで行くことが多いですが、伊予鉄道で行けるのはそこだけではありません。伊予鉄道に乗って魅力ある沿線の観光スポットを紹介します。
目次
旅の始まりはリニューアルされたJR松山駅から
今回ご紹介するのは伊予鉄道ですが、遠方から来る観光客の多くが利用するJR松山駅を先にご紹介します。2024(令和6)年9月29日、松山駅はこれまでの地上駅から高架駅に生まれ変わりました。現在は1953(昭和28)年から多くの乗客を迎え入れてきた旧駅の解体工事のさなかにあります。新しい駅は木のぬくもりを感じられる駅。「だんだん通り」にはじゃこ天やみかんジュースの出る蛇口など愛媛県の味覚を楽しめる飲食店やお土産品店が並びます。
伊予鉄道のあらまし
伊予鉄道の路線図
伊予鉄道は路面電車と一般の鉄道双方を運行しています。路面電車は主に松山市内の中心部を走り、一般の鉄道は松山市内と伊予市を結ぶ郡中線。そして東温(とうおん)市に向かう横河原線、松山市郊外の港方面に走る高浜線の3線があります。
いずれの鉄道もその中心となるのは「松山市駅」で、JR松山駅とは歩いて20分ほど離れています。
ありそうでない! 線路の平面交差「ダイヤモンドクロッシング」
伊予鉄道観光案内は、大変マニアックな場所からスタート。JR松山駅から徒歩約6分の場所にある大手町駅です。ここは路面電車と伊予鉄道高浜線の乗換駅になっていますが、両線の線路は道路上で交差しています。これを「ダイヤモンドクロッシング」といって、かつては全国でみられた光景でした。近年は、運行上の支障や事故発生リスクが高いこともあって数を減らし全国で3か所しかありません。特に路面電車と一般の鉄道が交差するのは全国でもここだけです。
ここで市中心部と道後温泉を結ぶ「坊ちゃん列車」がやってきました!坊ちゃん列車がここを通るのは1日1往復だけ。その通過音をお届けしましょう。
伝説のトレンディドラマの舞台となった梅津寺(ばいしんじ)駅
大手町駅から高浜線に乗って終点近くになると瀬戸内海が間近に見えてきます。終点高浜駅の一つ手前の梅津寺(ばいしんじ)駅は、瀬戸内海に面する海に近い駅です。ここは1991(平成3)年に大ヒットしたドラマ『東京ラブストーリー』の舞台となった場所。ヒロイン・赤名リカがホームの柵にメッセージを書いたハンカチを括り付けたことで有名になりました。ドラマ初放送から約30年を経た今もハンカチやタオルを括る恋人たちが多く訪れます。また、駅前には愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」のグッズを取りそろえた「みきゃんパーク梅津寺」もあります。みきゃんグッズのほかにも愛媛県のお土産品や柑橘系のドリンクなども楽しめるのでぜひ立ち寄ってみてください。
◆みきゃんパーク梅津寺
住所:愛媛県松山市梅津寺町1374-1
電話番号:089-992-9898
営業時間:9:30~16:30(夏期変更あり)
定休日:月曜日
アクセス:伊予鉄道 高浜線 梅津寺駅すぐ前
レトロな町並みが広がる港町・三津浜(みつはま)
梅津寺駅から2駅ほど松山市駅側に戻り、三津(みつ)駅で下車します。三津駅から15分ほど歩いたところにある三津浜港を中心とした一帯は、かつて松山城の外港として栄え、古民家が多く集まります。近年はその古民家をリノベーションした店舗やワークスペースなどが相次いでオープン。古さと新しさが入り混じったイノベーティブな町となっています。150年以上の歴史を持ち、今も松山と呉、広島を結ぶ高速船「スーパージェット」を運航する石崎汽船は、2013(平成25)年まで三津港に本社を置いていました。レトロな本社社屋は国の登録有形文化財に指定されています。また、三津港と対岸の港山を結ぶ「三津の渡し」は500年の歴史を有し、今もなお松山市が運航する渡し船。対岸の港山は伊予鉄道港山駅も近いのでここで下車して渡し船で三津港に入るのも人気の観光ルートです。
町を歩き回って少々疲れたので休憩することにします。三津駅から徒歩5分ほどのところにある「N's Kitchen & labo」はアンティークな家具がおしゃれなベーカリー。店内で飲食できるのもうれしいです。わたしはビールに合いそうな「プレッツェル」を頂きましたが、「シナモンロール」が人気のようです。次に三津に来たときは試してみたい。リピしたくなるお店です。
◆N's Kitchen & labo
住所:愛媛県松山市住吉1-3-33
電話番号:090-1577-4114
営業時間:11:00~16:00
定休日:月・木・日曜日
アクセス:伊予鉄道 高浜線 三津駅から徒歩約5分
やっぱり外せない道後温泉は「裏ルート」で
高浜線の沿線を紹介してきましたが、せっかく松山に来たのですからやはり道後温泉には入りたいです。多くの場合、JR松山駅から道後温泉に行くには5号系統、松山市駅からは3号系統に乗って行きますが、どれも大変混雑します。古町(こまち)駅は路面電車1、2号系統の乗換駅で、ここから道後温泉に近い上一万駅まで赤十字病院前駅経由で行くことで幾分混雑を免れることができます。1号系統はJR松山駅、2号系統は松山市駅からも乗車することが可能です。
道後温泉は四国きっての温泉地であり、多くの観光客を集める四国一の人気スポットです。特に5年半にわたる改修工事を終え、2024(令和6)年7月11日に営業を再開した本館は1894(明治27)年に改築された重厚な和風建築で道後温泉のシンボル的存在となっています。お風呂だけ楽しむなら飛鳥乃温泉、椿の湯もありますが、風呂あがり2階の大広間などで休んでゆっくりくつろぎたいなら少々混雑していても本館に入りたいところです。
◆道後温泉本館
住所:愛媛県松山市道後湯之町19-22
電話番号:089-921-5141
営業時間・入浴料:HP要確認
定休日:なし
アクセス:伊予鉄道松山市駅線 道後温泉駅から徒歩約4分
◆道後麦酒館
住所:愛媛県松山市道後湯之町20-13
電話番号:089-945-6866
営業時間:HP要確認
定休日:水曜日(祝日の場合は翌木曜日)
アクセス:伊予鉄道松山市駅線 道後温泉駅 徒歩約4分
沿線のおすすめ温泉スポット
このまま道後温泉に宿泊して体を休めるのもいいのですが、もうひとつ伊予鉄道の沿線にある温泉をご紹介します。松山市駅から横河原線に乗り、東温市の見奈良駅で下車します。そこから歩いて約8分のところにある「くつろぎの宿樹楽」は日帰り温泉施設と宿泊施設を兼ね備えた天然温泉です。東温市は道後温泉が由来の温泉郡の東部にあることから名づけられたもので、ここにも良質な温泉が湧き出ています。とくに西日本最大級といわれる野天風呂は道後温泉では味わえない開放感があります。お湯はなんと2億年前の地層から湧きだしているもの。伊予鉄道を乗り継いでタイプの異なる温泉のはしごをしてみてはいかがでしょうか。
◆くつろぎの宿樹楽
住所:愛媛県東温市見奈良1110
電話番号:089-955-1661
アクセス:伊予鉄道 横河原線 見奈良駅から徒歩約8分
おわりに
レトロな駅舎が味わい深い松前駅。
伊予鉄道を使った松山市とその周辺の観光、いかがだったでしょうか。ほかにも路面電車を使えば松山市の繁華街「大街道商店街」や、何とも言えないいい味を出している松前(まさき)駅へ行けます。多くの方は道後温泉に行く際に路面電車を利用するに留まっていたかと思いますが、それだけじゃない伊予鉄道沿線の魅力を乗って知ってもらいたいです。