どんな天気でもまるごと楽しむ! 雨でも室内からでも屋久島の自然を全身で感じる旅

屋久島といえば縄文杉や白谷雲水峡のトレッキングなどが有名です。野外での体験が多いので、せっかくの旅程の中で雨が降ってしまったら気分は憂鬱に。旅色LIKESライター・さっかは先日訪れた際に雨に降られてしまいました。そんななかでも十分に楽しめる過ごし方を見つけたのでご紹介します。トレッキング以外の屋久島の自然を体感する方法として参考にしてみてください。
目次
屋久島ってどんなところ?
屋久島は、鹿児島県に位置する離島です。島の約 90%が森林で、「縄文杉」をはじめ樹齢数千年もの屋久杉や苔など神秘的な自然が広がり、1993(平成5)年に日本で初めて世界自然遺産に登録されました。そんな屋久島は、「1ヶ月のうち35日雨が降る」とも表現される日本で一番雨量が多い場所でもあります。「雨でも楽しめるのか? 」というのが私の訪問前からの不安でした。
1,000年以上の歳月に思いを馳せる「仙人さんの箸づくり」体験
白谷雲水峡へ向かう途中、集落から離れた森の中に建つ杉の舎「仙人村」。屋久島空港横にある杉の舎本店でも箸づくりは体験できます。
屋久島のおすすめの体験のひとつが、樹齢1,000年以上の屋久杉を使った箸づくりです。長年生きてきた屋久杉は、真っ直ぐではありません。曲がっている部分があるのが当たり前。その「ゆらぎ」をそのまま生かした箸づくりができるのが、杉の舎「仙人村」の「仙人さんの箸づくり体験」体験です。
まずは材料とする屋久杉を選びます。一つ一つ形の違う屋久杉。「こんなに曲がっていて箸になるかな」と心配になりますが、職人さんにゆらぎを生かした作り方をアドバイスしてもらえるので大丈夫。相談しながら選ぶうちに、自然の作り出したゆらぎに魅了されていきます。
使う道具はノミと浮造りの2つだけ。小学校低学年以上から、だれでも参加できます。
選んだ材料をノミで削り、浮造りで磨いて箸の形を作ります。削るたびに広がるいい香りに思わず深呼吸しながら進めていきました。屋久杉は油を多く含んでいることから、特にいい香りが広がりやすいそう。木くずを最後にいただけたので家でも香りを楽しんでいます。また、削るたび違った木の目が出てくるのも魅力です。職人のお姉さんが「この目がかわいいですね」「あ、こっちもいいですね」と、変化していく木の目を一緒に楽しんでくれました。
◆屋久杉工芸 杉の舎「仙人村」
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦2567-2
電話:0997-42-0898
体験時間:9:00~、14:00~、15:30~
※電話またはHPで要予約。時間が合わない場合は相談可能
所要時間:約1時間
料金:1980円~※材料によって異なる
屋久島を知るには外せない! 「屋久杉自然館」
屋久島といえば縄文杉への登山が有名ですが、登山道への道中にあるのが「屋久杉自然館」です。縄文杉や屋久杉と人間との関わりについて学べます。縄文杉まで登山する方はもちろん、行かない方にもぜひ立ち寄っていただきたい施設です。
入館してまず目を引くのが、「いのちの枝」と呼ばれる縄文杉の大枝です。長さ約5メートル、重さ約1.2トン、枝の年齢およそ1,000年。近づくと1本の枝とは思えないほどの大きさに圧倒されます。縄文杉は保全のため触ることはできませんが、「いのちの枝」は自由に触ることができます。触ってパワーを感じてみてください。床には縄文杉の幹周りが形どられた線もひかれていて、太さを体感できます。2,170年以上であることは確認されていながらも、中心部が空洞であることから正確な樹齢は分かっていない縄文杉。6,900年とも7,200年とも推定されていますが、長年の雨風、台風や豪雪にも耐えて生き続けてきた歴史に人々は感動させられるのだなと思いました。
触って体感できるコーナーへ。屋久杉の特徴である樹脂分が多く、香りの強いことを体感できたり、成長が遅くぎっしり詰まっていることで強度が高いことを木片の重さで感じることができたりします。樹脂分が多いことで腐りにくいので、江戸時代には平木と呼ばれる屋根材として重宝されていたそうです。かつて屋久島で伐採に使っていた全長約2メートル、重さ約20キログラムのチェーンソーを持ち上げてみることもできます。
◆屋久杉自然館
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町安房 2739-343
電話:0997-46-3113
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:第1火曜日、年末年始(12月29日~1月1日)
入館料:大人 600円、高校・大学生 400円、小・中学生 300円
屋久島の特等席「samana hotel Yakushima」で自然を全身で感じるホテルステイ
ホテルステイでも屋久島の素晴らしい自然を感じたい人におすすめのホテルが「samana hotel Yakushima」。“屋久島の特等席に泊まる”をコンセプトに、全部屋でオーシャンビューまたはマウンテンビューを楽しめます。ホテル名にある「samana」は、サンスクリット語(インドの古典語)で“調和”を意味し、ホテルでも屋久島の恵みと切り離されることはないことを表しているそうです。今回はマウンテンビューの部屋に泊まりました。部屋の大きな窓からは正面にドーンとモッチョム岳。時間帯によって山肌が色を変え、雲が山にかかっては流されていく様子はいつまでも見ていられます。屋久島には山岳信仰がありますが、モッチョム岳も手を合わせたくなるような雄大な姿で、心が洗われるとはこういうことなのかなと思いました。
レストランでは、地元生産者から仕入れた材料を使ったビュッフェを楽しめます。メインディッシュを注文すると、ライブキッチンで調理したできたてを食べられるのもうれしいところ。デザートはパティスリーのように、様々な種類が揃います。
海の上を鳥が飛んで行ったり、船が行き交ったり、風なのか生き物がいるのか、時折あちらこちらで白波がたつ様子を見ながらの食事はおいしさを一層引き立てます。12~4月頃には、クジラが見られることもあるようです。
「この温泉だけでも泊まる価値がある」といわれているほど人気のホテルの天然温泉。約200メートル離れた泉源から引かれる屋久島温泉の湯です。pH9.7のアルカリ性単純温泉は「美肌の湯」として愛されます。とろみの強い湯は、あっという間に肌をツルツルすべすべにしてくれるのでは!? とも感じるほどトロトロでした。浴室内は写真撮影不可でお見せできませんが、切り立った崖に波が打ち寄せる様子は自然の大きな力を感じ、日常の悩みなんてちっぽけで大したことないと感じさせてくれるような絶景でした。
◆samana hotel yakushima
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間136-2
電話:0997-47-2011
時間:チェックイン15:00~、チェックアウト~11:00
おわりに
samana hotel Yakushimaから見た雲のかかったモッチョム岳。晴れの風景だけでなく、雲がかかってはまた流されていく様子も素晴らしいものです。
自然の中での体験をイメージすることの多い屋久島への旅で、とにかく心配だった天気。滞在中は雨に降られることもありましたが、天気の変化による山の景色の変化も含めて屋久島特有の自然として楽しむことができました。雨でも楽しめる施設は、紹介した以外にもまだまだあります。どんな天気でも屋久島の自然を満喫できますので、恐れずに旅先に選んでみてください。