ノスタルジックな思い出に浸る。修学旅行の記憶をたどる大人の京都新京極をぶらりさんぽ

今月おさんぽするのは、新京極商店街です。修学旅行のコースに入っていることが多いさかい、懐かしい思いを抱かはる方もぎょうさんいはるんやないでしょうか。京都人に長く愛されるお菓子、不思議な鳥居を持つ神社、商店街で見つけたあれやこれやをご紹介します。
目次
新京極商店街って
京都の繁華街にある全長200メートルほどの商店街です。元々お寺さんの境内やったところに見世物小屋や芝居小屋が立ち並ぶ繁華街になっていた場所を1872年に整備して作られました。今年153周年を迎える新京極商店街は、浅草商店街に次いで日本で2番目に古い商店街なんやそうです。
新京極は、かつて映画の街として大小さまざまな映画館と、喫茶店や洋服屋やレコード屋などが沢山あって、京都のおしゃれな若者が集まる街でもありました。その後修学旅行のコースに組み込まれることが増えて、日本全国から学生が集まります。
京都人が大好きなロンドン焼き「ロンドンヤ」
四条通りからアーケードの下を北に向いて歩くと、カッチャン、カッチャンと京都人がこよなく愛するロンドン焼きの機械の音が聞こえてきます。右手に見えるオレンジの看板はロンドンヤさんの店舗です。
京都に育った私たちは、ロンドン焼きの名前を聞くと、甘い香りに包まれながら、まあるい機械の上をゆっくり回るロンドン焼きをいつまでも飽きずに眺めていた子供の頃を思い出します。商品は1種類。ただし、月に1回だけレアな抹茶味が売り出されるので出会えた人はラッキーです。
聞くところによると、「京都では今川焼をロンドン焼きと呼ぶ」というデマが流れていたようですが、今川焼とは全く別物。戦後すぐの京都で「ハイカラなお菓子をつくりたい」と考えた創業者さんが、当時目新しかったカステラ生地を使って作ったお菓子にハイカラな名前にしたいと「ロンドン」を付けはったそうです。
カステラ生地の中身は白こしあん、5センチメートルほどの食べやすい大きさ。ロンドン焼きは、京都っ子にハイカラでどこかノスタルジックな甘い記憶を連れてくるお菓子なのです。
◆ロンドンヤ
住所:京都市中京区新京極通四条上ル中之町565
電話:075-221-3248
営業時間:9:30~20:30、土日祝日9:30~20:30
料金:1個80円
創業100年京都人に愛されるづける老舗洋食屋「レストランスター京極店」
温かいロンドン焼きを買い込んだら、再び北へ向かってアーケードの下を進みましょか。
新京極商店街には様々なお店が並んでいます。
レトロな店構えの漢方薬の店、キティちゃんが座っている店は海外からのお客さんに人気のお土産物屋です。ほかにもおしゃれなカフェや古いお蕎麦屋さんなど、一見統一感がないような店が集まって独特の雰囲気を醸し出しているのが特徴です。
商店街の中ほどまで来ると、大きなオムライスのオブジェが見えてきました。
ここは、ストランスター京極店。1925年の創業以来、ずっと京都人に愛され続けている老舗洋食レストランです。
オムライスが人気の洋食屋さんですが、ハンバーグ、オムライス、エビフライが乗ったランチもおすすめ。カフェタイムにはジャンボなパフェもいかがでしょう。
◆京都洋食レストランスター京極店
住所:京都市中京区新京極通四条上ル中之町565
電話:075-221-2555
営業時間:11:30~22:00(LO21:00)
定休日:年中無休
錦市場の正面に鎮座する「錦天満宮」

結界の向こうは錦市場
お腹がいっぱいになって、北へ向かうと天神さんの提灯が見えてきます。
錦の天神さんの提灯です。錦天満宮は錦市場の正面に鎮座しています。創建は1003年とされ、学問の神様である菅原道真公を祀っています。
ぎょうさん並んだ提灯に圧倒されますけど、ちょっと後ろを振り向いてみてください。錦市場の東の端に位置する天神さんの鳥居は不思議なんです。よく見ると、鳥居の端っこが両側の建物にめり込んだ形になってるでしょ。なんでこうなったかというと、1935年に鳥居が建てられた後、柱の位置だけで参道の幅を決めてしまったんやそう。そしたら道幅ぎりぎりに建てられたビルに鳥居の端がめり込む状態になってしまったんだそうです。
振り返って天神さんの境内は、撫でると頭がよくなると言われている撫で牛や、梅の木の他にもからり人形がおみくじを引いてくれる「からくりみくじ」や、今の時代を感じさせる「非接触祓鈴」などがあって、訪れた人たちは珍し気に眺めたはります。
◆錦天満宮
住所:京都府京都市中京区中之町537
電話:075-231-5732
開門:8:00~20:00
親孝行なお坊さんが名前の由来「蛸薬師」
新京極はお寺さんや神社の境内に新しくできた繁華街なので道沿いにお寺さんや神社がいくつかあります。
女性を救う阿弥陀様と慕われた安養寺、和泉式部を初代住職とする誠心院、浄土宗西山深草派の総本山誓願時など由緒のある古いお寺が並んでいます。
なかでもちょっと変わったおみくじがある蛸薬師さんに寄り道してみましょ。
“蛸(たこ)薬師さん”が通り名にもなっていますが、お寺の名前は永福寺です。
“蛸薬師さん”と呼ばれることになったのは、昔、善光という名のお坊さんが病気のお母さんを助けたい一心から戒律に背いて蛸を買い、それを見とがめた街の人たちにとがめられお薬師様に祈ったところ、蛸が八軸の経巻となり霊光を四方に照らしたというお話に由来するそうです。
お寺さんの中は撮影禁止ですけど、あちこちに蛸がいます。
蛸が抱える可愛いおみくじをいただいて帰り窓辺に飾りました。
◆永福寺
住所:京都市中京区新京極通蛸薬師下ル東側町503
電話:075-255-3305
開門:8:00~17:00
終わりに
新京極商店街は、お寺や神社の町、繁華街、修学旅行の思い出も町、京都で青春時代を過ごした人たちが若い頃通ったおしゃれな町と、いろんな人たちの心の中にノスタルジックな思いを思い起こさせる街です。
夏には祇園さんのお神輿さんも商店街の南の入り口の向かいにある御旅所から出発します。
京都になくてはならない商店街、新京極商店街。お近くへお越しの際はふらっと歩いてみませんか。