【愛知】通過するだけじゃもったいない! 地元出身のライターが名古屋駅エリアをご紹介します

愛読書は時刻表、旅色LIKESライターの鉄道旅担当・なおです。わたくしごとですが2月から福岡県に住んでいます。長年愛知県をはじめとした東海地方に住んできた私にとって名古屋駅は親よりも親しい存在なのですが、福岡県に住んで1ヶ月半顔を合わせることがありませんでした。久しぶりに見る名古屋駅は相変わらず凛々しいです。わたしもいつもはただ電車に乗るために寄るだけでしたが、実は名古屋駅周辺には観光スポットがたくさんあります。今回はただ通過するだけじゃもったいない、名古屋駅エリアの魅力をたっぷりとご紹介したいと思います。
目次
今回の旅の主役、名古屋駅
名古屋駅にやってきました。JRのほか、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、地下鉄、あおなみ線が集まる一大ターミナルです。名古屋駅といえばこのJRセントラルタワー。2棟の白い塔が印象的で通称タワーズと呼ばれています。今年で開業25周年を迎え、すっかり名古屋のシンボル的存在としての地位が定着しました。低層の部分には名古屋高島屋などの商業施設、向かって右手のタワーにはオフィス、左手のタワーにはホテルマリオットアソシアホテルがあります。タワーズの右手にも2016年、高島屋やホテル、オフィスが入るJRゲートタワービルが開業しているほか、今もリニア新幹線の開業に向けて至る所で工事が進められており、名古屋市内で最も成長著しいエリアです。それでは名古屋駅エリア観光の旅に出発しましょう!
2つの線路ですべてをさばく!さまざまな工夫が凝らされた名鉄名古屋駅
2005年、新名古屋駅から改名されました。
というわけで、最初にご案内したい場所、名鉄名古屋駅に到着しました。「いや、駅やん!」そう突っ込みたくなる方もいると思いますが、この駅、実は非常に多くの特徴を持っている面白い駅なのです。
名鉄名古屋駅は名古屋鉄道の一大ターミナル駅です。中部国際空港(セントレア)を利用して名古屋に来た方はこの駅に到着します。名鉄名古屋駅からは岐阜、犬山、津島、半田、セントレア、西尾、豊川、豊橋など各方面に列車が出発します。これだけの行先があるならホームもさぞ多いのでは、とお思いでしょうが名鉄名古屋駅には北方面に向かう1番線と南方面に向かう4番線の線路が一本ずつしかなく、この2本の線路で当駅を発着するすべての列車をさばいています。地方の小駅であれば運転本数も限られ十分な規模なのですが、驚くべきはその列車の本数の多さ!写真の知多半島方面、三河方面の電車は時刻表は分かれていますが「すべて4番線から発車します」。最も多い8時台には28本、少ない14時台でも24本の電車がやってきます。2分から3分に1本の列車がやってくる計算です。列車の総本数なら東京のJR新宿駅の方が多いですが、新宿駅は山手線、中央線、総武線が別々のホームから発車する一方、名鉄名古屋駅はそれらがすべて同じホームにやってくるのです。1つのホームから発着する列車の本数は1日400本を超え、東京の各駅を凌ぎ日本一です。名鉄の名古屋駅は国鉄や近畿日本鉄道のあとに開業した駅です。このため駅を設置する場所が狭かったためホームを多く作れず、今日までこのような運用を迫られています。
限られたスペースで乗降客をいかにうまく誘導し、誤乗を防止するか。名鉄名古屋の工夫時は至る所に見られます。狭いスペースの中で最大8両の車両を留める必要があるためホームは意図的にくねらせています。また、降車客と有料席を利用する乗客の乗り場は島式の2,3番ホームに分けてスムーズな乗降を促します。また、1,4番線ホームにはさまざまな色のテープが張られています。これで各方面別に並ぶ位置を分けて乗客を誘導しているのです。テープの色は列車案内のテレビ画面の行き先表示の外枠や、正面の乗車位置案内の電光掲示板とも一致させています。また、名鉄名古屋駅の案内は一部を除いて肉声で行います。ラッシュ時で2分に一本電車が入ってくるこの駅では、自動音声ではアナウンスが間に合いません。列車が出た瞬間から次の列車の種別、行き先、停車駅などのアナウンスを始め、アナウンスを終えたくらいでちょうど列車が入線するように話し終えています。非常に集中力を要する仕事で15分で他の職員に交代しています。
空からの名古屋観光を楽しもう!

タワーズの向かいに聳えるミッドランドスクエアタワー。
せっかく名古屋に来たので、空から名古屋の全貌を見てみることにしましょう。名古屋駅の向かいにある「ミッドランドスクエアタワー」。その46階にスカイプロムナードと呼ばれる展望台があって名古屋の町を一望することができるのです。
46階に登り現れたのはビルの頂上に造られた空中回廊。ビルをぐるりと1周しながら徐々に下っていくようにつくられています。2フロア分下った先にはテーブルやベンチ、ソファもあって座ってくつろぎながら名古屋の町を上から眺めることができます。
スカイプロムナードからは何本もの線路が走り次々にホームに吸い込まれていく列車の姿や、新しいビルが次々と建てられ変貌していく最中の栄地区、足元を見ればリニア新幹線に絡む再開発工事のために2026年春に閉館する名鉄百貨店の姿を見ることができます。ここには名古屋鉄道が新たにビルを建てる計画があり、スカイプロムナードから変わりゆく名古屋駅周辺の姿を見ることができそうです。背の高さではミッドランドスクエアタワーと双璧を成すJRセントラルタワーズも目の前に。いつも下から眺めている姿とはまた違った目線で見ることができ、長年愛知県にいたわたしも新鮮な気持ちで空中散歩することができました。
◆ミッドランドスクエアタワー スカイプロムナード
住所:名古屋市中村区名駅四丁目7番1号 ミッドランド スクエア 44-46階
営業時間:11:00~22:00(最終入場21:30) 8月は11:00~23:00(最終入場22:30)
※年中無休ですが、悪天候や天災のため入場制限や閉館することあり。
入場料金:大人1000円 65歳以上500円 中高生500円 小学生300円(小学生は土・日・祝 無料)
名古屋駅から徒歩圏に残る江戸の街並み・四間道(しけみち)と昭和の香り漂う円頓寺(えんどうじ)商店街
道路幅にちなんで「四間」道。
ここからは少し名古屋駅から離れましょう。栄方面に桜通を歩いて約15分。やってきたのは四間道と呼ばれる地区です。1700(元禄13)年に大火があった後、防火目的と商人の営業活動のために道路幅を四間(約7メートル)に広げました。そのことから四間道と名付けられたそうです。名古屋には戦後防災目的で道幅を100mにした道路、その名も百メーター道路(久屋大通と若宮大通)があります。四間道とネーミングの由来は同じです。
四間道には古い町家も並びます。これだけの歴史を感じさせる民家が名古屋駅の徒歩圏に残っているというのは驚きです。ここは名古屋大空襲の被害も少なく、昔の名古屋の面影をそのまま感じられる稀少なエリアなのです。中でも屋根に小さな祠を作り津島神社、熱田神宮、秋葉神社などを祀る「屋根神様」は明治初期から昭和初期に尾張地方にあった風習。四間道では今も残る古い家屋でその姿を見ることができます。
◆四間道・円頓寺商店街
住所:名古屋市西区那古野
アクセス:地下鉄桜通線「国際センター」駅下車徒歩約5分。または「名古屋」駅から徒歩約15分
四間道を北に抜けると、そこから名古屋駅方向に延びる昭和感溢れる商店街が現れます。ここにある円頓寺(えんどんじ)の門前町としてできた商店街、円頓寺(えんどうじ)商店街です。写真の通り昭和のにおいが漂い懐かしさ溢れる商店街ですが、近年ではクラフトビール店が出店するなど新しいお店も増えてきています。円頓寺商店街に来て試してもらいたいのが金刀比羅神社の名古屋弁おみくじ。賽銭箱に100円を入れて運勢を占いますが、すべて名古屋弁で書かれています。名古屋に来たらいっぺんひいてみやぁ!
陶器の歴史を知り、広場で憩う。ノリタケの森
名古屋駅エリアにある観光スポットをもうひとつ紹介しましょう。名古屋駅から徒歩約12分のところにある「ノリタケの森」。2001(平成13)年に日本最大級の高級陶磁器メーカー「ノリタケ」がその創業の地、名古屋市西区則武(のりたけ)で開園した産業文化施設です。
「ノリタケの森」に入ると6本の煙突跡が目に飛び込みます。かつてここに工場があった時に排煙の役割を担った煙突は1933(昭和8)年の工場大改造の際に誕生しました。45メートルの高さがあり名古屋のテレビ塔と並ぶ高い建造物だったそうです。工場は移転しましたが煙突はそのシンボルとして一部を残しモニュメントとしています。赤煉瓦の工場跡はレトロ感が感じられるエリア。ノリタケの森の中に建てられたイオンの前には広場が造られていて近所の方たちが散歩したり子どもと遊びに来たりしていました。
◆ノリタケの森
住所:愛知県名古屋市西区則武新町3-1-36
アクセス:JR・名鉄・近鉄・地下鉄・あおなみ線名古屋駅から徒歩約15分
営業時間:ウェルカムセンター、クラフトセンター、ミュージアム 10:00~17:00
定休日:ウェルカムセンター、クラフトセンター、ミュージアム 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月26日~1月3日)
入場料金:ウェルカムセンターは無料 クラフトセンター、ミュージアムは大人500円 65歳以上300円 高校生以下無料
産業文化施設ということで、園内にはノリタケの歴史や事業内容を紹介する「ウェルカムセンター」や、実際に陶器を作る工程を紹介したり絵付け体験ができる「クラフトセンター」、ノリタケが造った数々のテーブルウェアを紹介する「ミュージアム」があります。恥ずかしながらノリタケが洋食器だけでなく砥石のトップメーカーであることを初めて知りました。創業120年余りで洋食器のトップメーカーとしての地位をゆるぎないものとするまでに強いられた先人たちの数々の苦難を知ることができ頭の下がる思いです。分野は違いますがわたしもまだまだ頑張らないといけないなと思いました。
おわりに
JR名古屋駅1番線では2025年5月31日まで富山ブラックラーメンが出店しています。
今回は名古屋駅エリアをご紹介しましたがいかがだったでしょうか。名古屋駅周辺の観光スポットは思いつかない方も多く、名古屋城や熱田神宮、レゴランドなどに行ってしまいがちですが駅周辺でも楽しめるスポットが多くあることを知っていただけたのではないでしょうか。これだけのスポットを全部回るのは難しいと思いますが、今回のブログを見ていただいて、名古屋で時間が空いたときにちょっとここ寄ってみようかな。と思っていただけたら地元出身者としてとても嬉しいです。