【業界初のコンセプトサウナが開業!】小江戸・川越で相撲道からサ道へ~スー女が「サウナ横綱」に行ってきた

江戸情緒を残す埼玉県川越市に、業界初となる“サウナ×相撲”をコンセプトにした「サウナ横綱」が2024年11月にオープンしました。オーナーは、元力士の大翔龍(だいしょうりゅう)こと竹内太一さん(35歳)。相撲観戦のために全国を巡るスー女であり、旅色LIKESメンバーであるさっちもが、本格的なサウナと相撲のマリアージュを体験しに行ってきました。相撲とサウナの組み合わせってどんな感じ?
目次
不定期で開催されるレディースデーに訪問
西武新宿線本川越駅東口から徒歩約1分。大通りに面した「サウナ横綱」は、色とりどりの相撲のぼり旗が目印になっており、迷うことなく到着します。普段は男性専用施設。併設されている飲食店は、女性も利用可能です。レディースデーは通常メニューに加え、サウナ120分とちゃんこ鍋がついたお得なセットメニューも。初回なので、迷わずセットメニューに決めました。フロントで料金を支払い、ロッカーキーとフェイスタオルを2枚いただいて更衣室へ。

のれんの奥が更衣室になっている
更衣室にはハーフコートほどの高さの木製ロッカーが上下に2段設置され、ロッカーの下には下足入れがあります。
相撲部屋を彷彿とさせるサウナ室

スー女さっちも、サウナ横綱部屋に入門!
更衣室からサウナエリアに繋がる扉を開けると、すぐ目に飛び込んできたのが「稽古場サウナ」の文字。相撲字で書かれた看板を見ると、気持ちが引き締まります。全身に水をかけて、いざ稽古場へ。

蒸気を含んで檜の良い香りがたちこめる広々とした空間。最大25名が収容可能
サ室※1は、日光東照宮で使われている日光杉と、伊勢神宮で使われている木曽檜で造られています。これだけでも川越の新たなパワースポットといえますよね。写真中央の円柱は、木曽檜のてっぽう柱※2です。奥の大きな鏡は、てっぽうをしている時のフォームの確認をしたり、自分の表情や姿と向き合うことで、メンタルコントロールができるように設置しているそう。大きな鏡が相撲部屋には必ずあると知り、もしかしたら現役力士もここに来ているかもしれない……という想像が膨らみます。
※1 サ室:サウナ室のこと
※2 てっぽう柱:相撲の伝統的な稽古方法「てっぽう」をするための柱で、左右のつっぱりを繰り返すさま。相撲部屋には必ずある

自分でサウナストーンに水をかけて湯気や蒸気を立ちのぼらせる「セルフロウリュ」ができる
サ室の温度は110度に設定してから換気、通気をして90度まで下げられていて、息苦しくなく、急激にカーッと熱くなることもなく、初心者にもやさしい温度設定でした。汗がじわじわと出るのですが、息苦しくないので退出せずに10分はいられました。ロウリュのおかげで、髪の毛がバリバリに乾燥することもなかったです。
サウナ横綱名物イベント「横綱熱波(ねっぱ)」

バスタオルで浴びる熱風が気持ち良い。丸くて重い蒸気の球を受けているかのよう
熱波とは、サウナストーンに水をかけて発生した高温の蒸気を、大きなバスタオルで仰ぐことによって発生させる熱い風。熱波で体感温度が上がり、一気に発汗と血行が促進されます。

サ室のてっぽう柱で本物のてっぽうを披露する大前さん(写真右)とオーナーの竹内さん(写真左)。スー女には嬉しい生てっぽうだ
この日はサウナ横綱の新弟子、大前さんが熱波師として登場。大前さんも元力士で、竹内さんとともにサウナ横綱で日夜働いています。

熱波の後は爆風ロウリュ。竹内さんが持ってきたのは、電動工具メーカー・マキタのブロワー(送風機)。庭や公園の落ち葉を吹き飛ばすプロ仕様の機械です。ブロワーでバスタオルよりも勢いのある熱風を浴びせてくれます。
竹内さん「風が苦手な方は遠慮なく手でバツを作ってくださいね」
とても穏やかな口調ですが、ブロワーのパンチが強くて圧倒されます。ここは一丁、爆風に耐えましょう。「ととのう」を100%モノにするために。また、ロウリュに使う水は初の試みというびんつけ油※3の香りで、相撲感溢れる演出がスー女の心を躍らせます(通常は無香の氷水)。
※3 びんつけ油:力士が髷を結う時に使う油(固形整髪料)。香りはバニラとお香を混ぜたような独特な香りで、力士からしか香ってこない唯一無二の香り
立ち合いで強くぶつかってくる力士を思わせる爆風ロウリュを3ショット受けた後は、10分ほど休憩を。シャワーで軽く汗を流してから水風呂に入り、休憩スペースで水分補給をして体を休めます。
汗をかくと血液がドロドロになるので、水分補給はしっかりと。ドリンクコーナーの上には大相撲の階級が書かれた木札があり、すべての空間で相撲の雰囲気を感じることができます。私はサウナ初心者なので、サ活でいうと序ノ口。あ、爆風ロウリュに耐えたから序二段に昇格かな。サ活に励む皆さんの階級はどのくらいでしょうか?
最後に体験したのは、ミュージックロウリュです。サ室の温度を少し下げ、照明も落とし、ゆったりとしたリズムの音楽を聴きながら、時間をかけて体の芯まで温めます。目を閉じて、じんわりと流れる汗の感覚を味わうこと約15分。次第に「ととのう」感覚がわかってきました。マインドフルネス瞑想に似た境地。計算された温度設定で、高温でも息苦しさや窮屈さを感じず、サウナ専門施設だけあって、お客さんも本気で「ととのう」儀式に集中しています。環境的にも全くストレスがなかったからこそ得られた感覚です。
最後に、ブロワーを持った竹内さんの登場。天井に上がっている蒸気に風をあて、一気に蒸気を下に落としていきます。仕上げの1ショット。ブロワーも竹内さんが持つと、神職がお祓いをする時に振る大麻(おおぬさ)のよう。
最新の美容家電を備えた、こだわりのアメニティ
サウナと水風呂でととのった後は、充実したアメニティで身支度をします。ドライヤーやヘアアイロンが、最新のアイテムというのが嬉しいですね。スキンケア製品は一式揃っているので、手ぶらで来ても問題ありません。
ヘルシー志向のサ飯に舌鼓を打つ

80名収容できる食事処では宴会も可能。足元ではなく、スッと手を伸ばせる高さに荷物置きがあるのは嬉しい
サウナでととのった後は、お待ちかねのサ飯を堪能。店の入り口から左半分が受付と食事処のカウンター席に、右半分が食事処のテーブル席になっています。入店時にちゃんこの引換券をいただいたので、店のスタッフに渡して料理を待ちます。

塩ちゃんこ。ニンニクが効いた鶏だしのスープは〆に雑炊をして、一滴残らず飲み干したくなる味
ちゃんこは竹内さんが所属していた追手風(おいてかぜ)部屋直伝のちゃんこ鍋で、塩か醤油が選べます。私は相撲部屋の塩ちゃんこが大好きなので、即決で塩を選びました。さらに、LINEのお友達登録をするとドリンクが1杯無料になるクーポンが発行されるので、恩恵にあずかり生ビールをいただきました。ごっちゃんです!
ちゃんこにのっている手羽先は味付けがされているので、これがビールの良いアテになりました(調理済みなので、野菜を煮ている間に食べても大丈夫)。小鉢(真ん中)の自家製クリームチーズ豆腐は、ジーマーミ豆腐のようなモチモチの食感で、単品でおかわりしたくなるほどおいしかったです。

素材と塩にこだわりがあり、健康を意識したメニュー。一品料理の種類も豊富で、飲食だけで来店される方も多いのだとか
サウナ後は体がエネルギーを欲する状態なので、いつも以上に味覚が鋭くなるといわれています。確かにサウナでととのったおかげか、全神経が一点に集中しやすくなっていました。旨い。サ飯が旨い。
ちょうど竹内さんが食事処にいらしたので、ちゃんこの感想を伝えたところ、「十割そばもおすすめなんですよ。うちのそばは塩で食べるんです。サウナで汗をかいた後だと、塩のそばが最高のサ飯で。他にも、しらすとからすみを混ぜた“しらすみそば”もおいしいですよ。そば打ち専用の機械も導入していて、そば粉の天ぷら、そば湯も出しています。お腹に余裕があったらぜひ(笑)」と、決まり手はそば推し。ちゃんことビールで既にお腹はパンパンです。私は見事に土俵下に転がされたわけですが、えびすこ強く※4して、次回いただきます!
※4 えびすこが強い:相撲界で使われる隠語で、食欲旺盛、大食い、大食漢のこと
竹内さんのサウナに対する想いとこれからのこと
竹内さんとサウナの出会いは、現役中に首のヘルニア、足首の靱帯断裂、糖尿病を患い、思うように番付が上がらないストレスで悩んでいた時。サウナを習慣化したことで、睡眠の質が向上し、疲労の回復も早くなり、気持ちをととのえて「明日からまた頑張ろう」と精神面にも高い効果を感じたそう。また、ダイエットにもサウナを取り入れ、引退を決めてから半年間で170kgあった体重を90kgも減量して、糖尿病も完治。主治医からは「奇跡だ」と驚かれたそうです。

力士が浴衣の下に着る肌着。カラーバリエーションは豊富だが、値段を考えると白に落ち着きそうだ
スリムになって健康体を取り戻した竹内さんには、さらに嬉しいことが起こります。「ユニクロで初めて服を買いました! 自分は中卒で入門したので、ユニクロを知らなくて。サカゼン(力士御用達の大きいサイズ専門洋品店)でしか服は買えなかったのですが、ユニクロって2,990円で服が買えるんですよ? 安さにもびっくりしました」。サイズダウンした喜びもさることながら、財布にも優しい暮らしも手に入れた竹内さん。力士の服は、肌着(ステテコ)でも上下揃えると9,000円~10,000円(白だと4,000~5,000円)します。浴衣は部屋から支給されるので入門すれば衣食住には困らないと聞いていたが、着用を義務付けられている力士肌着をご自身で購入されていたことには驚きました。
「汚れるし、替えも必要なんで大変でした」と眉を八の字にして笑い、「サカゼンでは6Lを着ていたんですけど、今はユニクロのLが着れます。電車のイスもちゃんと1人分のスペースしか使わないですしね。周りの目を気にせずに座れます(笑)」と嬉しそうに語る竹内さんの目がキラッキラとしていて、はじける笑顔がとても印象的でした。

力士にとって髷は体の一部であり、命と同じくらい大切なもの。竹内さんは2021年5月、16年の力士人生に幕を下ろした
サウナとの出会いでダイエットも成功、病気も克服と人生が大きく変わった竹内さん。「今度は自分のサウナで誰かの人生が変わると良いな」と想いを語ってくださった後、「今は男性主体の施設ですが、これから店舗数を増やして、男性女性、みんなが一緒に楽しめる場所にしたいのと、ただの娯楽施設じゃなくて、癒しの空間づくりに徹底的にこだわった、明日への活力になる場所にしたいですね」と力強く話してくださいました。
おわりに
竹内さんの第二の土俵人生は川越から。川越は、大相撲本場所で使用される土俵の土「本荒木田土(ほんあらきだつち)」が採取される土地であり、ちびっこ相撲大会や巡業開催地にもなっていることから、地域住民の相撲への関心度が高く、相撲との相性も良い所。サウナへの情熱と相撲を愛する心は変わらないまま、竹内さんの挑戦はこれからも続いていきます。小江戸を散策した仕上げに、もうひとつの江戸文化に触れて、サウナで気持ちよくととのってみませんか? 明るい笑顔の竹内さんと、元気なスタッフさんのおもてなしで心身ともに癒されますよ。
◆サウナ横綱
住所:埼玉県川越市中原町1丁目2-6カシーラ彩食館1F
電話:049-227-9600
※レディースデーは公式HP、X、Instagramで確認
※レディースデーは女性熱波師を招き、熱波を楽しめる。竹内さんによる横綱熱波は、水着着用可能なイベント時に開催を検討中とのこと
※内容はレポート時のものとなるため、最新情報はHPなどでご確認を