D&S列車「ふたつ星4047」で、佐賀・長崎の景色とグルメを楽しむ春の旅へ【4/10は駅弁の日】

4月10日は「駅弁の日」。今回はオリジナル弁当も魅力的な、D&S列車「ふたつ星4047(よんまるよんなな)」を紹介します。D&S列車は、JR九州が運行する観光列車のことで、「D」は「デザイン」、「S」は沿線地域の歴史や伝説などの「ストーリー」を意味します。座っているだけで景色やグルメ、体験イベントも楽しめる観光列車は、旅の計画を立てるのが苦手な方にもオススメです。旅色LIKESライター・おんりが、友人と旅してきたのでレポートします。
目次
「ふたつ星4047」とは
JR九州が運行する佐賀県と長崎県を結ぶ人気の観光列車です。車内体験イベントや、各停車駅でのおもてなしを受けながら、美しい海沿いの景色を堪能することができます。
2022年の西九州新幹線開通に合わせて運行を開始し、当初は予約サイトにアクセスできないほどの人気ぶりでした。数年たった今もすぐに満席になることが多いので、1ヶ月前の発売開始日に予約するのが確実です。ボックス席とカウンター席はみどりの窓口のみの販売なので、満席でも諦めずに窓口に行ってみましょう。

有明海コース ⓒJR九州
佐賀県の武雄市から長崎県へ向かう「有明海コース」と、長崎県から武雄市へ折り返す「大村湾コース」があり、運行はそれぞれ1日1本ずつ。私は午前便の「有明海コース」を予約しました。
真っ白な車体がまぶしい「ふたつ星4047」とご対面
いよいよ「ふたつ星」とご対面! パールメタリックを基調とした外観と金色の装飾が、ラグジュアリーな雰囲気です。「4047」という数字は、旧国鉄時代に設計・製造されたキハ40形・キハ47形という車両が使われていることに由来します。内装や外観は新しくなっていますが、出入口のドアが手動ですごく重いところや、座席が固いところに昔の名残を感じます。
優雅な「ラウンジ40」で、イベントを楽しむ
「ふたつ星」は3両編成で、1号車と3号車が全席指定です。注目すべきは、2号車の「ラウンジ40(よんまる)」。一両まるまる共用部分になっていて、大型モニターや日本酒専用サーバー、沿線のおいしいものを集めたビュッフェ、売店があり、誰でも自由に寛ぐことができます。床から天井まで細かくデザインが施されとても華やか。デザインを手掛けているのは、鉄道ファンにお馴染みのデザイナー・水戸岡鋭治(みとおかえいじ)氏です。
「ラウンジ40」では、午前便は「佐賀海苔の試食体験」、午後便は「うれしの冷茶飲み比べ試飲体験」の車内有料体験が実施されます。乗車後にアナウンスがあるので、希望する方は早めにお申し込みくださいね。
「佐賀海苔の試食体験」では、最初に大型モニターで佐賀海苔について説明を受けた後、「有明の風 プレミアム焼きのり」をいただきます。元海苔漁師が厳選した初摘み海苔だけを使用しているそうでパリパリ感が半端ない! 軽い食感と共に、磯の風味と旨味が口の中に広がります。口どけも良く、「久しぶりにこんなにおいしい海苔を食べたかも」と感動してしまいました。ご飯、チーズ、笹かまぼこがついていて、味変も楽しめますよ。肥前浜(ひぜんはま)駅で「地酒の飲み比べセット」を購入し、海苔をつまみにお酒をいただくのもオススメです。
予約必須のオリジナル弁当で、ウキウキのランチタイム
写真左「4047弁当」(1,600円)。写真右「特製ふたつ星弁当」(2,800円)。
列車旅の楽しみといえば、なんといっても駅弁! 「ふたつ星」には2種類のオリジナル弁当があります。販売は午前便のみで、3営業日前までの予約制です。 私は「特製ふたつ星弁当」、友人は「4047弁当」を予約しました。「特製ふたつ星弁当」は、季節ごとにデザインが変わるオリジナル風呂敷に包まれていて、見た目から特別感が漂っています。この日は12~2月限定の「実-frutti- フルッティ」という、えんじ色でした。持ち帰れるので旅の記念にもなり、なんだか得した気分です。
「特製ふたつ星弁当」は、佐賀の特産品を詰め込んだ二段重です。 どれも一品一品丁寧に味付けされていて、甲乙つけがたい。特に鬼おろしポン酢で食べる佐賀牛ローストビーフが私のイチオシです。あまりのおいしさに景色を楽しむのを忘れ、夢中になってしまいました。
停車駅で沿線地域のおもてなしを楽しもう
各停車駅のホームでは、地域の特産品販売や地元の方によるおもてなしが待っています。午前便は、江北(こうほく)駅、肥前浜駅、多良(たら)駅、小長井(こながい)駅、諫早(いさはや)駅に停車します。発車時間ギリギリまで楽しみましょう。
江北駅
最初に停車する「江北駅」では地元の方々が旗を振って出迎えてくれます。ホームでは、地域の特産品やおつまみ、スイーツなどの販売も。停車直後は混雑するので、一段落してから購入するとスムーズです。
肥前浜駅
肥前浜駅近くの肥前浜宿は、昔から酒造りが盛ん。駅舎には「HAMA BAR」という日本酒バーが併設されており、ホームでは「地酒の飲み比べセット」が販売されていました。たくさんある銘柄の中から、特別純米酒、純米吟醸、純米大吟醸を1種類ずつ選べます。飲み比べはしてみたいけど、お酒は弱い私。悩んだあげく「弱いので、3分の1の量で」とお願いしてみることに。「いいの~? なんか申し訳ないね~」というやり取りを楽しみながら、無事ゲットすることができました。
お酒素人の私には味の違いはよくわかりませんでしたが、夢の「飲み鉄」気分を味わうことができて大満足でした。それにしても、おつまみの「クリームチーズの粕漬」が絶品でびっくり! 粕漬のクセの強さがクリームチーズでまろやかになっていて、お酒との相性が抜群の一品でした。
多良駅
多良駅は「良いことが多い駅」と書くことから、ホームに幸せを願う「幸せの鐘」があり、写真スポットとして人気です。この日も写真待ちの列ができていました。特産品のみかんやカニのかぶりものをした地元の方と一緒に写真を撮るのも楽しそうですね。
小長井(こながい)駅
小長井駅は、海と雲仙岳を同時に見ることができる絶景駅です。残念ながら雲仙岳は雲に隠れていましたが、180度広がる有明海と「ふたつ星」の白い車体が絵になります。2022年夏、JR「青春18きっぷ」のPRポスターにも採用されました。
満潮時と干潮時でまったく違う姿を見せるのも大きな特徴で、干潮時には写真の海の部分が広大な干潟になります。どちらの光景も素晴らしいですが、写真映えするのはやはり満潮時かなぁ。
春色の汽車に乗って有明海へ
諫早駅を過ぎると、終点の長崎駅はもうすぐです。各駅のおもてなしや車内イベントを楽しんでいると、3時間の列車旅はあっという間。長崎駅に着く頃には、「午後便にも乗ってみたいよね。いつにする? 」とすっかり次の予定を考えていました。
「ふたつ星4047」のコンセプトは「西九州の海めぐり列車」。日本一の干満差を誇る「有明海」と、“琴の海”とも称される穏やかな「大村湾」。みなさんはどちらの海を巡る旅が気になりますか?