【兵庫】旧正月は盛大なお祝いに包まれる中華街へ。南京町ぶらり旅

神戸元町のイメージは、異国情緒漂うおしゃれな街。海側に中華街、山側に異人館。ファッショナブルで洋菓子とチョコレートの香り漂う街、それが私のイメージ。今回は、そんな元町にありつつも、違った雰囲気が楽しめるスポット・南京町へ出かけました。南京町といえば横浜・長崎とともに「日本三大中華街」に数えられている場所。1月29日(水)から2月2日(日)には旧正月を祝う春節祭が、1月24日(金)から2月2日(日)からは神戸ルミナリエが行われ、より華やかになっています。
目次
南京町ってどんなところ?

ここに来るといつも思うんだけど、門の前にいる半裸のおなかの大きいおじさんは誰なんだ?
南京町は元町商店街の南側、東西約270m、南北約110mの範囲に広がる商店街で、3つの門と一組の獅子に守られた地域に異国情緒あふれるたくさんのお店が立ち並んでいます。一歩足を踏み入れると極彩色に彩られたテーマパークさながらの街がそこにあります。赤い提灯が揺れ、中国雑貨や食材をお使うお店、中華料理のお店、お肉屋さんにドラッグストア、いろんなお店の間を縫うようにお客さんたちが行き来しています。笑い声や、呼び込みの声、どこからともなく聞こえてくる音楽、にぎやかで活気に満ちた様子です。

南京町のもう一つの魅力は、アクセスが良いところ。横浜は横浜駅から地下鉄に乗り換え、下車後も地下をずっと歩く必要がありますし、長崎も長崎駅からバスや路面電車に乗り換える必要があります。しかし、南京町はJR元町駅から海に向かって徒歩5分ほど。角にで~んと建っている大丸元町店を越えると、すぐに右手に長安門が見えてきます。そこが南京町の入り口です。しかも、新神戸の駅からもタクシーで10分ほどです。ちなみに、南京町のHPを見ると「アクセス」のページに「船をご利用の方」という見出しがあるのは、さすが港町神戸。古くから外国との交流が盛んで、交易や国際交流が盛んだったのがわかります。
究極のパワーを持つ龍に守られている街
ほか二つも同じですが、中華街には龍がつきもの。「どうしてなんですか?」と南京町商店街振興組合で相談役を務められている曹 英生さんにお聞きしてみました。中国では龍は皇帝の象徴であり、雨を降らせることによって収穫の恵みをもたらす神聖な生き物だ、と考えられているそう。また、風水では究極の幸運のシンボルであり、財運や幸福をもたらしてくれるのだとか。曹さんご自身も、「ずっと龍に守られてきたような気がする」と言います。財運や幸運をもたらすだけでなく、家や事務所の外から入ろうとする邪気を打ち払ってくれる究極のパワーのシンボル・龍をかたどったオブジェが視界に入るところに必ず1匹はいる、そんな感じなのです。
グルメの街・南京町はぶらり旅にぴったり
龍だらけの街を歩くと、あちこちからおいしい香りが漂ってきます。そう、ここはグルメの街でもあるのです。先ほどお話を聞かせていただいた曹さんは、南京町で110年続く老舗の豚饅屋さん「老祥記」の三代目店主でもあります。店は南京町の真ん中の広場に面しており、地元民だけでなく全国から集まったお客さんで常に長い行列ができています。神戸名物の豚まん、こちらのは赤ちゃんのこぶし大くらい。しっとりむっちりの皮に肉汁がたっぷり含まれた具がギュッと詰まっていて、食べ応え抜群です。
私が龍柄のマグカップを買ったというと、「じゃあ、お茶を買わないとね」と曹さん自らお茶屋さんに案内してくださいました(めっちゃいい人……)。案内していただいたのはお茶専門店「天福茗茶」。中に入るとたくさんお茶が並んでおり、いい香りがします。こちらには花柄の素敵な茶器も豊富で、食器好きの私の心をくすぐります。お店の人が出てきて「どんなお茶がお好みですか?」と、丁寧に好みを聞いてくれて、中国茶初心者の私にぴったりなお茶を選んでくれました。さらに、VIPにも案内してもらい、まるで賓客のようにおもてなしされ、至れり尽くせりです。
幾多の危機を乗り越えながら、四季のイベントも続く街
曹さんとお別れし再びぶらり。この日は4年ぶりに開催された神戸ルミナリエ(旧居留地で開催されている祭典・イルミネーション)の初日だったので、いつもより人が多かったそう。また、この時期は春節祭(旧正月を祝う間お祭り)のため、南京町に爆竹が鳴り響き、龍や獅子の舞が行われます。帰りに寄った元町商店街の天井にも、春節祭の垂れ幕が下がっていました。ほかにも、「端午の節句にはちまきを食べよう」が合言葉の端午節や、中秋の名月を愛でる中秋節、中華提灯のあたたかな光で街が包まれるランターンフェア……と、四季折々のイベントも豊富で、常に賑やかな南京町。その歴史は古く、今年で157年を迎えるそう。この長い歴史の中で、神戸大空襲や阪神淡路大震災など幾多の危機を乗り越え、街の人たちが一丸となって発展させ、守り継いできたのです。また、震災の経験を活かし、東北や熊本の震災時にもいち早く駆け付け、炊き出しなどのボランティアを続けられています。昨年は能登地震で被災された方々を支援するため春節祭の時期には募金活動も行われていました。
おわりに
南京町をぶらぶらすると珍しいもの、おいしいものがそこかしこにあり、何度訪れても楽しくなります。私のこの日のお持ち帰りは、縁起のいい龍のマグと、香りのいいジャスミン茶、甘いお菓子、そして豚饅。龍と、おいしいものと、おいしいものと、おいしいものです。南京町は長い歴史とともに今も活気があり、龍の究極パワーもいただける街。そして、お腹と心も満たせる街。これからの春節祭の時期や、いろんな行事のタイミングに合わせて行ってほしいです(横浜と長崎も私を呼んでいるような気がしてきた……)。