食から沖縄を紐解く! 元・“島ナイチャー”が選ぶ推しのお店5選

琉球王朝時代から残る食文化とアメリカの食文化が入り混じる沖縄。食から、人々の営みや歴史、文化が垣間見えます。東京出身ですが、沖縄の文化やグルメに魅了され10年ほど沖縄に移住していました 。春の沖縄はスギ花粉もないので過ごしやすく、3月下旬からは海開きも始まります。春旅を堪能しに沖縄へ行きませんか? “島ナイチャー”(沖縄移住者)の旅色LIKESライターのじゅんが、沖縄でしか食べられない味を沖縄の食文化を交えてご紹介します。
目次
メニューは3本勝負「ちえ食堂」(本部町)
沖縄本島の北部にある本部町(もとぶちょう)。そこには、みそ汁、沖縄そば、ゆしどうふ(豆乳ににがりをいれて固まり始めたふわふわの状態のもの)、の3つのメニューで営業している「ちえ食堂」があります。私の推しメニューは「みそ汁」です。沖縄での「みそ汁」は食事の立派な主役。どんぶりに入って出てきます。シャキシャキの葉野菜に三枚肉(皮付きの豚バラ肉)、島豆腐、かまぼこなど、たっぷりの具材に卵が落とされていてボリューム満点。カツオベースのスープに野菜の旨みも加わっています。テーブルの上にある、おろしニンニクやコーレーグース(泡盛の唐辛子漬け)などで味変も楽しむことも。みそ汁だけでも満腹感を得られます。
みそ汁がどんぶりででてくるのは、沖縄ならではの文化です。沖縄では、一汁一菜の習慣がありました。米作りには適さない環境だったため、主食はイモ類。イモ類は汁物と相性が良く、島で獲れる魚介や野菜などを具材にしたみそ汁は、栄養満点の立派なおかずになったのだそう(諸説あり)。
◆ちえ食堂
住所:沖縄県国頭郡本部町伊豆味903
電話:0980-47-3100
営業時間:11: 30〜16:00 ※時間変更の場合もあり、事前に電話で確認するのがおすすめ
定休日:不定休
その他:駐車場あり
受け継がれる沖縄スイーツを「新垣ぜんざい屋」(本部町)
ガイドブックにも載っている有名なお店。1955(昭和30)年の創業から60年以上、年中ぜんざい一択のメニューで営業をしています。うちなんちゅ(沖縄生まれの人)にもファンが多く夏は大賑わいですが、回転が早いので待ち時間も少なく入ることができます。「沖縄ぜんざい」は甘く煮た金時豆に、削った氷がのったかき氷のようなもの。券売機で食券を購入して席へ向かい、座るとすぐにぜんざいが運ばれてきます(食券はMAX20個まで一度に注文可能)。食べられるか不安なほど盛られた氷はふわふわで、ふっくらした金時豆と相性が抜群。口の中に程よい甘さが広がります。サラッと食べれてしまい、あっという間に完食。
本土のぜんざいには小豆が使われているのに対し、沖縄ぜんざいに使われているのは金時豆。戦後に緑豆や小豆が手に入りにくくなった一方で、金時豆はアメリカ軍の物資として手に入りやすく、黒糖や砂糖で煮ても煮崩れもしにくいことから広まり普及していきました。沖縄ぜんざいは、現在にも受け継がれている歴史ある沖縄スイーツの1つです。
◆新垣ぜんざい屋
住所:沖縄県本部町渡久地11-2
電話:0980-47-4731
営業時間:12:00〜18:00
定休日:月曜日 ※祝日の場合は翌平日
小腹が空いたときの定番「パイ工房おしゃれ」(名護市)
1個80円のお手頃価格が魅力なパイ専門店。焼き立ての香りが漂う店内には一口大のパイが並び、ブルーベリー、チョコレート、アップル、紫芋など種類が豊富に揃います。どれもちょうどいい甘さのサクサク触感で、食べる手が止まりません(笑)。毎回もう少し多めに買えばよかったなぁと後悔するほど。焼きたてはもちろん、冷凍してひんやりスイーツとしても最適です。ザックリ触感に変わるのも楽しんでみてください。早朝から行列が途切れることなく、地元の方が足を運んでいました。手軽に1個から購入できるので、旅行をしながらお気に入りのパイのお店探しも面白そうです。ドライブやビーチのお供にもおすすめ。
アメリカ文化の影響を受けている沖縄では、名護市(なご)の「フリッパー」(おしゃれ工房の創業者は、このお店の出身)、北谷町(ちゃたんちょう)の「ミセスマーコ」、沖縄では誰もが知っている洋菓子店のジミーなどほかにもアメリカの食文化を感じられるお店がいくつもあります。沖縄に住んでいた頃は手土産でいただくこともしばしば。
◆パイ工房おしゃれ
住所:沖縄県名護市宇茂佐の森1丁目17-11
電話:0980-53-1907
営業時間:8:00〜19:00
定休日:火曜日、第3月曜日
その他:駐車場あり
定番の店で沖縄ならではの味を「吉野家」(那覇市)

タコライスと沖縄そば。沖縄グルメのゴールデンコンビとしても過言ではない。
言わずと知れた全国チェーン店。外観は見慣れた風景ですが、メニューにはタコライスや沖縄そばといった沖縄のソウルフードが並びます。観光客は少なく、うちなーんちゅの利用率が高いので、店内は沖縄の食堂のよう。しかも24時間営業なのが嬉しいポイント。今回、飛行機が遅延して到着したのが25:00……。昔はモノレールもなく終電の概念がなかったからか、沖縄には24時間営業の食堂も多くありました。しかしコロナ禍や高齢化、人手不足に物価高などをきっかけに深夜営業をするお店が激減。食堂の24時間営業がなくなった時代の流れに寂しさを感じつつ、おなじみのチェーン店で本土にはないメニューがレギュラー化されていたという嬉しい発見がありました。
タコライスは米軍さんのお腹が満たされるメニューをと、メキシコ料理のタコスをアレンジした沖縄生まれの料理。そして沖縄そばは、琉球の時代から伝わる中国の中華麺をルーツにもつ郷土料理です。かつて沖縄そばは、そば粉が入っておらず小麦粉を使用していることから「そば」と表示ができませんでした。そばの表示が認められたのは1978年で意外と最近なんです。沖縄のソウルフードは他国からの影響を受けているものが多く、それぞれに時代の背景が隠れています。
◆吉野家 58号線那覇新都心店
住所:沖縄県那覇市天久2丁目6-5
電話:098-988-3000
営業時間:24時間
定休日:年中無休
沖縄でアメリカ旅行を「Seaside」(嘉手納町)
嘉手納(かでな)町一般の人でも利用できる米軍基地のレストラン。本来はパスがないと基地内には入ることができませんが、「Seaside」はパスなしで入店可能です。10:00頃の到着で、駐車されているのはほぼYナンバー(米軍基地の車)。お店の前にある営業時間は英語表記、ドアを開けると、スタッフの方から英語で話しけられ、メニューの金額はドル表記も。店内の様式やあちこちで英語が飛び交う様子から異国感を感じます。日本人の方も働いているので、英語が話せなくても安心してください。席に座ると飲み物からオーダーを聞かれるので、着いたら最初に飲み物を決めましょう。料理は基本的にはアメリカンサイズで、朝食でもボリューム満点です。支払いは日本円での現金やカードのほか、ドルでも可能です(日本円でのお支払いの場合、おつりはドルになります)。支払い時はチップも忘れずに(チップはランチなら10〜20%が相場)。沖縄文化ではありませんが、直接アメリカ文化にも触れられるのは米軍基地のある沖縄ならではの体験です。テラス席もあるので、寒くない日は綺麗な沖縄の海を眺めながら食事をするのも素敵です。
◆Seaside()
住所:沖縄県中頭郡嘉手納町(嘉手納マリーナ内)
電話:036-868-2213
営業時間:火~金曜日 10:30~21:00、土・日曜日 9:00~14:00、14:00~21:00
定休日:月曜日
さいごに
沖縄は時代と共に他国からの影響を受けて独自に生み出された、ご当地グルメの宝庫。まだまだ、たくさんの食文化が埋もれています。毎度異文化を感じる食事に、お店を探しては気持ちがワクワクする日々。今は沖縄を離れてしまいましたが、先日久しぶりに訪れて“沖縄グルメ欲”が再熱しました。ただ食べるだけじゃもったいない! 沖縄へ行った時は、沖縄グルメのルーツにも注目して旅を楽しんで見て下さい。新しい発見があるかもしれません。