歴史とアートと猫に出会う自転車さんぽ ~瀬戸内海の離島・本島へ~

香川県

2025.01.01

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歴史とアートと猫に出会う自転車さんぽ ~瀬戸内海の離島・本島へ~

丸亀城を見ようと香川県丸亀市を訪れた12月。現地でふと思い立ち、瀬戸内海の離島・本島(ほんじま)に行ってきました。本島は戦国時代から江戸時代にかけて、優れた造船・操船技術により、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康ら時の権力者を支えた塩飽水軍(しわくすいぐん)の本拠地だった島です。三年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されている現代アートの祭典・瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の会場の一つともなっています。今回は、そんな2025年に注目な場所を、日本の歴史や伝統に触れる旅が好きな旅色LIKESライター・長月あきが歴史を深掘りしつつ、紹介します。

目次

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塩飽諸島の島・本島の概要とアクセス情報

「塩飽勤番所跡」で島の歴史を知る

地元の方との会話とゆるさが心地いい「茶房 伊達」

ノスタルジックな風景を歩く「笠島まち並み保存地区」

見応えのある「長徳寺のモッコク」と「木烏(こがらす)神社」

窓からの眺めが美しい「HONJIMA STAND」

奥深い歴史だけじゃない! アートと猫が溶け込むノスタルジックな島

今年は三年に一度の祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」

塩飽諸島の島・本島の概要とアクセス情報

丸亀港

丸亀港

丸亀港

丸亀港からの旅客船

瀬戸大橋の西側に位置する塩飽諸島(しわくしょとう)は、岡山県と香川県に挟まれた大小28の島々からなります。本島(ほんじま)はその中心となる、人口約250人の島です。丸亀港から旅客船で約20分、フェリーで約30分。丸亀港はJR丸亀駅から歩いていける距離なので、思ったよりアクセスの良い島です。今回はお昼すぎの旅客船で本島に向かいました。

◆本島汽船
乗船場所:香川県丸亀市福島町127-16(丸亀港)、香川県丸亀市本島町泊611-4(本島港)
電話番号:0877-22-2782(受付時間7:00~18:00)
時間:丸亀港始発 6:10、丸亀港終発 20:00、本島港始発 6:50、本島港終発 19:30
料金:大人(片道)560円

本島汽船 公式HP
本島からの瀬戸大橋

瀬戸大橋を眺めながらサイクリング

本島にはコミュニティバスがありますが、今回は本島汽船の待合所でレンタサイクルを借りました。電動アシスト付きもあるようですが、あいにくこの日は全て貸出中。体力に自信はありませんが、今回は滞在時間が短かく、島一周はするつもりがなかったので、普通自転車で行くことに。今回周ったスポットだけなら全く問題なく楽しめました。スタッフの方によると、島を一周するならアップダウンがあるので、やはり電動アシスト付き自転車が良いそう。島内のマップももらえました。

◆本島レンタサイクル
住所:香川県丸亀市本島町 本島汽船待合所
電話番号:0877-27-3320
営業時間:7:00~17:50
定休日:無休
料金:普通自転車 500円、電動アシスト付き自転車 1,500円

「塩飽勤番所跡」で島の歴史を知る

塩飽勤番所跡

時代劇に出てきそうな塩飽勤番所

塩飽勤番所跡

御朱印状の入った箱を納める石櫃

塩飽勤番所跡

御朱印状の入った石櫃を納める朱印蔵

船の中や港周辺は人が思ったより多いなと感じましたが、自転車で走り出すと、ほとんど人影を見ない静かな島の道路が続きます。みんなどこに行ったんだろう……などと考えていると、数分で塩飽勤番所(しわくきんばんしょ)跡に到着。勤番所とは、江戸時代に塩飽諸島の政務が行われていた役所のようなものです。後に、本島村役場、本島支所として使われ、国の史跡指定を受けて解体復元し、現在は塩飽水軍の歴史を展示した資料館になっています。見どころは、信長・秀吉・家康の御朱印状。御朱印状とは、戦国時代から江戸時代初期にかけて、将軍や大名が朱肉の印を押して使用した公文書のこと。それらの厳重な保管方法が印象的でした。ちなみに、幕末期に勝 海舟や福沢諭吉らを乗せて、日本初の太平洋横断を達成した咸臨丸(かんりんまる)の水夫50人のうち35人が塩飽諸島の出身者なのだそう。彼らがアメリカから持ち帰ったものや、咸臨丸の模型なども展示されています。

◆塩飽勤番所跡
住所:香川県丸亀市本島町泊81
電話番号:0877-27-3540
営業時間:9:00~16:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金:大人200円 ※小人無料

地元の方との会話とゆるさが心地いい「茶房 伊達」

茶房 伊達

地元の方との会話が楽しかった「茶房 伊達」

茶房 伊達

メニューがなく価格もわからなかったカレーは600円

塩飽勤番所跡から少し走ると喫茶店が見えてきました。お昼ご飯を食べ損ねていたので、何か食べようと自転車を停めていると、「今日、魚がなくてカレーしかないんだけどいい?」と店主さんが出てきました。「お腹空いてるんでお願いします」と中に入ると、地元の漁師さんたちと店主さんがテレビを見ながら一杯飲んでいた様子。どうやらメニューは日替わりで、店主さんがその日に決めるようです。出てきたカレーはごく普通の家庭のカレー……かと思いきや、これがおいしい。ちょっと量が多いなと思ったけれど、ぺろっと完食していました。食べている間も、店主さんだけでなく常連さんもお酒を飲みながらあれやこれや気さくに話しかけてくれ、「この人、知ってる?店にきたんだよ。ほら、吉本の……」と指さされた壁には、色褪せ過ぎて人らしきものが写っているという程度にしか判別できない写真……難題すぎる(話によるとフットボールアワーの後藤さんだそう)。そのうち「お姉さん、演歌歌手では誰が好き?」と聞かれ、「坂本冬美さんかなあ」と答えると、すぐさま常連さんがカラオケで披露(うまい!)。 フレンドリーな店主さんや常連さんたちとの会話や、少々雑然とした店内が、島に合うゆるい空気感を作っていて、妙に居心地のいいお店でした。また行きたいな。

◆茶房 伊達
住所:香川県丸亀市本島町1093
電話番号:0877-27-3016
※営業日・営業時間は事前に要確認

ノスタルジックな風景を歩く「笠島まち並み保存地区」

笠島重要伝統的建造物群保存地区

三つの建物が内部公開されている

笠島重要伝統的建造物群保存地区

「マッチョ通り」の名は「町通り」の訛りだとか

笠島重要伝統的建造物群保存地区

なまこ壁の土蔵がある真木邸は見学可能

笠島重要伝統的建造物群保存地区

城下町らしく通りは入り組んでいる

笠島重要伝統的建造物群保存地区

古いまち並みをのんびり散歩する猫

さらに自転車を走らせ、笠島という集落に向かいます。笠島は笠島城の城下町で、江戸時代・明治時代から昭和初期の建物が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている地域です。本島は江戸時代初期頃まで海運業の要所として栄えましたが、江戸中期頃には徐々に衰退していきます。そこで塩飽の人々は、それまでの船大工の技術を活かし、宮大工や家の大工「塩飽大工」として各地で活躍しました。名工として名を馳せた塩飽大工たちが手がけた建物が、笠島には今も建ち並んでいます。静かな通りはきれいで情緒があり、散策にはぴったりです。

◆笠島まち並み保存地区
住所:香川県丸亀市本島町笠島
電話番号:0877-27-3828(笠島まち並保存センター)

見応えのある「長徳寺のモッコク」と「木烏(こがらす)神社」

長徳寺のモッコク

写真に収まりきらなかった長徳寺のモッコク

笠島周辺を散策しているうちに風が出てきたので、本島港方面に戻ることに。途中、道に看板が出ていた長徳寺に立ち寄ります。平安時代に開かれたと伝わる長徳寺の境内には、樹齢450年を超えるモッコクの木があります。太い枝が四方八方に大きく拡がる巨木で、この樹形はモッコクとしては珍しいのだそう。現在も枝が伸びているというのが驚き。

◆長徳寺
住所:香川県丸亀市本島町笠島484
電話番号:0877-27-3135

⽊烏神社

⽊烏神社の鳥居

⽊烏神社

拝殿には塩飽大工による手の込んだ彫刻が

⽊烏神社

拝殿の前でひなたぼっこする猫

本島港に戻って、さらに港を通り過ぎ、数分走って本島で一番大きな神社、⽊烏神社へ。海に⾯した⽯の⿃居は上部の笠⽊の両端が丸く盛り上がった特異な形をしています。拝殿の彫刻は塩飽大工の手によるもので、見ごたえ抜群です。

◆⽊烏神社
住所:香川県丸亀市本島町泊670

窓からの眺めが美しい「HONJIMA STAND」

HONJIMA STAND

窓からの景色が美しいHONJIMA STAND

本島観光案内所

本島観光案内所の中にはストリートピアノが

本島港から徒歩1分のところにある本島観光案内所内にはカフェスタンド「HONJIMA STAND」が。コンパクトでおしゃれな店内に、瀬戸大橋が正面に見えるカウンター席があるほか、外にはテラス席も。景色を楽しみながらほっと一息つくのにぴったりです。メニューには本島産の香川本鷹という唐辛子などのスパイスを使用したという自家製のジンジャーエールや、地元の魚を使ったカレーなどがありました。私は瀬戸内レモンを使ったホットドリンクで一息。この日は思いのほか店内にたくさんの人が。どうやら、移住希望者を対象にした空き家見学イベントの参加者だったようです。

◆HONJIMA STAND
住所:丸亀市本島町泊494-16 本島観光案内所内
電話番号:070-2301-5862
営業時間:11:30~16:30(LO16:00)
定休日:水・木曜日

HONJIMA STAND 公式HP

奥深い歴史だけじゃない! アートと猫が溶け込むノスタルジックな島

本島

Vertrek「出航」/石井章

本島

咸臨の家/眞壁陸二

本島

水の下の空/アレクサンドル・ポノマリョフ

本島

漆喰・鏝絵かんばんプロジェクト

この日、自転車で走った距離はほんの数キロ程度なのですが、瀬戸芸で公開された作品をいくつか目にしました。アートが島の風景の一部になっているようです。瀬戸芸は、瀬戸内の島々と沿岸部、全17エリアで展開され、各エリアの特有の地域資源(歴史・文化・生活・自然・産業・食の魅力など)を活かしたアートイベントです。春・夏・秋の3シーズンに分かれていて、季節ごとの瀬戸内の魅力に触れられるというのも特徴の一つ。過去に作成されたアートが各地にそのまま残り、それぞれの地域に溶け込んでいくのも面白いですね。

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島の猫

本島

目の前を横切っていったヌートリアを猫と見間違えました

アートとともによく見かけたのが猫。12月の寒い日にもかかわらず、思いおもいに過ごしている猫をあちこちで見かけました。いつか「猫島」と呼ばれる日が来るかもしれませんね。ちなみにヌートリアも見かけました。瀬戸内海を泳いで来たんだろうか……。

今年は三年に一度の祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」

瀬戸内国際芸術祭

本島は瀬戸内国際芸術祭2025の秋会期(2025年10月3日~)での開催

今回は島には4時間半ほどの滞在でしたが、ゆっくりと歩き周りたくなる島でした。次はもう少し暖かい時期に訪ねてみたいと思います。今年は三年ぶりの瀬戸芸なので、本島を訪れる方も多いでしょう。アートに加えて、島の歴史を肌で感じたり、猫たちが穏やかに過ごす島の魅力に触れたりと、本島ならではの旅をぜひ楽しんでくださいね。

瀬戸内国際芸術際2025 公式HP

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#離島 #香川県 #島旅 #旅色LIKES #歴史旅 #瀬戸内海 #猫 #猫に会える #丸亀 #瀬戸内国際芸術祭 #体験レポート #モデルコース

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歴史旅 長月あき

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長月あき

時間を見つけては、歴史や伝統工芸などに触れられる旅スポットを巡っています。ものづくりの技術や創意工夫を知る産業観光も大好き。東海・関西エリアを中心に、歴史やものづくりを身近に感じられる旅体験をお届けします。近年は道の駅とかわいいおみくじ、地サイダーがマイブーム。

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